贖罪 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 9989
レビュー : 966
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515039

感想・レビュー・書評

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  • 田舎の殺人事件に関わった4人の当事者らが当時と今に至るまでの心境を話し、本当の償いとは何かをテーマにした本作。殺された被害者の母親が引き起こす悲劇の連鎖。それぞれの当事者らが事件をきっかけにどんな人生を送ってきたか。事件の重さとそれを抱えることの辛さを書き連ねている。

    湊かなえの作品はどれもハズレはありません。人間の悪意や心理を克明に描き、話の運び方が本当にうまい。当事者のそれぞれが被害者の母親に言われたことに怯えるシーン、自分の存在意義を疑うシーン、それが悲劇を起こすシーン。どれもがここぞと言う場面で引き出してくれる。僕は湊かなえに出会えてよかった。

    被害者と当事者のどちらに同情できるかは難しい問題だった。殺された側からすれば、「どうしてうちの子が」「なぜ助けなかったのか」と行き場のない本音を呟いても現実は残酷のまま。一方で当事者も、「何もできなかった」「まさかこんなことになるなんて」と言うしかなく、取り返しがつかない。被害者の母親が放った一言で彼らの悲劇は始まるのだが、事件に関わった全員が可哀想でならない。立場によって気持ちも考えも変わるし、それが望まない結果を生む事もあるし、理想は両方が理解し合うこと。でも事件という辛い出来事の場合、ヒステリックになってもおかしくない。

    僕は事件に関わったことがないからどれほどの辛さかはわからない。ただ、一方を悪と決めつけて他人の気持ちを踏みにじって自分を強く主張するのはしたくない。事件の当事者だからこそ、慎重な歩み寄りが必要なんだなと思う。

  •  15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
     娘を喪った母親は彼女たちに言った。
    「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい」
     十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖


    鬱…、鬱だ。『告白』のように、事件にかかわった四人の手記や記録といった形で、事件が彼女たちに与えた恐ろしい影響が描かれていく。それぞれが意識的・無意識は別にして、この事件に対する贖罪を強いられる不条理さ。人の身勝手さ。
    女の子特有の人間関係のごたごたや親への気持ちなど、共感する部分も多い。読みやすく面白い。…ただし、スッキリしないエンディングに、読んだ後は暗い気持ちになった。

  • やめられない止まらない湊かなえ。
    『告白』同様独白かと思ったら高まる期待で飛行機の中でもホテルでも車の中でも、旅が邪魔になるくらい、前に戻り、あ、この伏線とか思いながら一気読み。
    なんだかドラマも面白そうなんだけど見られないかなぁ。

  • イヤミスの女王湊かなえの本だったけど、これは告白に比べると読後感はそこまで悪くなかった。一通り読んで再度読みたいと思った。あとドラマも是非観たいね。面白かったなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そこまで悪くなかった」
      んーーー何となく敬遠して、読んだコトの無い湊かなえ。でも装丁に惹かれるのよね。
      この作品は比較的穏やかそうかな?
      「そこまで悪くなかった」
      んーーー何となく敬遠して、読んだコトの無い湊かなえ。でも装丁に惹かれるのよね。
      この作品は比較的穏やかそうかな?
      2012/09/11
    • さるさん
      想像よりは…。でも出てくる人たち皆可愛そうな感じです。
      想像よりは…。でも出てくる人たち皆可愛そうな感じです。
      2012/09/14
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「皆可愛そうな感じです」
      んーーやっぱり読むのは難しいかな、、、←弱気になって、どーする?
      「皆可愛そうな感じです」
      んーーやっぱり読むのは難しいかな、、、←弱気になって、どーする?
      2012/09/18
  • 単純に「面白!!」な作品。
    小学生時代の未解決事件が尾を引いて、関わった人たちの人生が次々と壊れてく話。
    ラストといい、サスペンスのいいとこ取り作品。

  • 理不尽な贖罪を背負わされた四人の女の子。受け入れるのか飲み込まれるのか、その出来事から十五年、それぞれが抱えてきた暗い部分が描かれます。目が慣れないほどの暗闇ってあるのだなと思いました。

  • これは面白かった。色々とケチをつけがちな自分だけど、これはなし。
    真紀ちゃんの子どもの頃が自分に重なったので、PTA臨時総会は読むのが1番辛かったかな。
    細かい描写がとても上手いと思う。乱読なのに目に浮かぶ程。死体のシーンなどは、自分も目撃者になった様で気が沈み、1度休憩を入れてしまった。
    犯人は、被害者と自分の関係を知ってたのかな。
    多分知らずにだったと想像しているけど、恐ろしい。。。
    あと、大人が軽々しく放った一言が、子どもにはとても重たいものになる可能性があること。これは自分でも気をつけなければいけないと、本当に強く思った。

  • 湊かなえさんの作品の中で一番好きかも。

  • すぐに思い出せるぐらい面白かった

  • 湊かなえ作品はずっとどれも気になっていたものの
    初作品はこの本になりました。
    小さな町で起きた少女の殺人事件。現場にたまたま居合わせてしまった4人の同級生それぞれの15年間の心情と、そこから引き起こしてしまう別の事件の描写が手に取るようにリアルに描かれていて一気に読んでしまった。
    全員、ずっとずっと引きずってしまっていた。誰も悪いわけではないのに、自分をずっと責め続け、後悔し苦悩していた4人。ちょっと読んでて辛かったところもあったけど、最後は全てつながってスッキリ。
    「都会の子」と「田舎の子」の描写がよかったな。それが事件につながってしまったけれど。
    湊かなえさん、やはり期待を裏切らなかったです。他の作品も読んでみます。
    Amazon videoでドラマ版があったので、こちらも観てみよう。

    2019.2.23

著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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