夜行観覧車 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2013年1月4日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515527

作品紹介・あらすじ

高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。

感想・レビュー・書評

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  • このあたりの湊かなえさんの小説が好きだった。
    高級住宅街の一家に起きた妻による夫殺人事件。
    それぞれの家庭に幸福そうというベールに包まれた真実。
    隣の芝生は青いし、隣の花は赤く見える。
    他人の不幸に共鳴したり、蜜の味だったり。
    どんな家庭にも何かしらの不安や亀裂は、ある。
    それでもバランスをとりながら成り立っていくものだろうと思うのだけれど。
    当事者でないと、理解できない、許せないこと。
    限界を迎えた家族と 乗り越えるかもしれない家族。
    登場人物がそれぞれの立場から殺人犯となった妻の印象を語りながら、人物像を確立していく。
    皆が思っている以上に追い詰められていた前妻との葛藤が静かに辛かった。
    人に相談できる話の奥にもっと深い悩みがあるなと思う。

    • yukimisakeさん
      これ、ドラマで見たんですが胃に来ました…。
      宝塚の高級住宅地がモデルだったかなあ。
      これ、ドラマで見たんですが胃に来ました…。
      宝塚の高級住宅地がモデルだったかなあ。
      2024/01/18
    • ゆーき本さん
      ドラマ 咲ちゃんだったんだー。観たかったな
      ドラマ 咲ちゃんだったんだー。観たかったな
      2024/01/18
    • おびのりさん
      私もドラマの印象が強い。
      で、小説だと、この妻の実像は出てこないのね。
      もの足りないような、これで良いようなという感じ。
      読む本が亡くなって...
      私もドラマの印象が強い。
      で、小説だと、この妻の実像は出てこないのね。
      もの足りないような、これで良いようなという感じ。
      読む本が亡くなってきて、昔の再読しちゃた。
      明日から多少本が増える。良かった。
      2024/01/18
  •  湊かなえさんの新刊を読んだことを機に、積んであった2作品を読んでみることにしました。まずは「夜間観覧車」を読んでみることに…。

     高級住宅街ひばりヶ丘で生活する3世帯、遠藤家、高橋家、小島さと子の視点から物語が展開します。

     遠藤家:背伸びしてひばりヶ丘に住宅を構え、娘の彩花は中学受験に失敗したことから、時々感情を爆発させ母親である真弓は対応に苦慮していた。父親の啓介は、そんなふたりを遠巻きに見るのみ…。
     高橋家:長男良幸は医大生、長女の比奈子は彩花が不合格となったS女高等部に在籍し、次男の慎司は進学校でもある私立中学に通い、あるアイドルに似ているイケメン。父親は医師で母親は上品な印象を誰もが持たれている。この一見何も問題のないように見える家族内で、母親が父親を鈍器で殴り死亡させるという事件が起きる…。
     小島さと子:長年ひばりヶ丘で生活し、ひばりヶ丘への愛着が強い女性。一人で生活しており、離れてく暮らす息子夫婦とは電話でのやり取りが主。

     読み終えて、モヤモヤ感が残りました。高橋家の両親、特に母親からの告白みたいなのがあればよかったかなって…。そして、あんまり好感の持てる登場人物がいないのも気になりました。

  • どんでん返しは無いものの
    最後まで楽しめました

    見栄も大事だけど見栄を切って良いのは歌舞伎だけ…

    見栄って自分、家族それぞれに【適量】が存在すると思う

    比べるものでもない…

    その醜さ、生々しさ…それが良く描かれてると思う
    普通が大事
    普通が1番難しい

    今、世界で起きてる事も【適量】をわかってないから起きてる事だと思う

    真実とは何か 事実は何か…
    真実と事実は人が見栄を使って捏造するものじゃないはずです…

  • 高級住宅街で起こった家庭内殺人事件。

    総じて、殺人事件の真相を追求していく…というよりも、登場する家族の考え方、家族の在り方、こだわり方などがそれぞれ自己中心的で見苦しい戯言を、人間模様を見させられる作品。

    登場主要人物の誰1人として共感出来ず、母や娘が言い放つ悪態には不快を感じ、読み終えてページを閉じてからも、結局それぞれの本質的な問題は解決されていないことにモヤモヤが残った。すべて中途半端なのだ。

    しかしこれはすべて、著者の意図する狙いなのだ。
    そう捉えると、私は面白い作品だと思った。

  • 意外とあっさり薄味な結末だった。当時ドラマを食い入るように見ていた記憶はあるのだが、内容はすっかり抜けていたので小説を手に取りましたが...月日による感覚の変化を痛感した。

    家族はどう足掻いても家族であり続けるしかなく、
    繋ぐ糸となれば、縛る鎖ともなる。登場人物皆、癇癪スイッチ押したり押されたりしていたんだろうなぁ。グレーな終わり方だったが、読者に対して何か課題を課しているかの様な、妄想が膨らむ 読了後も余韻を楽しめる作品だった。

  • 著者、湊かなえさんの作品、ブクログ登録は3冊目になります。

    湊かなえさん、どのような方か、ウィキペディアで再確認しておきます。

    湊 かなえ(みなと かなえ、1973年1月 - )は、日本の小説家。広島県因島市中庄町(現・尾道市因島中庄町)生まれ。武庫川女子大学家政学部被服学科卒業。

    趣味は登山。大学時代はサイクリング同好会に所属して自転車旅行で日本各地を旅し、社会人になっても続けられるアウトドアスポーツとして登山を勧められ、大学4年の時に登った妙高山で登山の魅力の虜になる。1999年夏から12年間のブランクを経て2010年に登山を再開。家庭、仕事、趣味を自らの三本柱としている。

    で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。


    もしかしたら、現実に似たような事件は起こりうるのではないかという内容。
    壊れかかっている遠藤家、殺人事件がおこった高橋家。
    世の中、思い描いたような家族を簡単につくれるものではないと思いますが、実に嫌な家族模様を描いてくれています。

  • 家族を持つ人全員が、必ず読む必要がある。

    とは言わないけれど・・・

    人は生きていけば、
    自分が正しいと思い、
    自分は間違っていない、
    自分はこういう考えの基行動している、
    など自分を1番に考えてしまいがちだと思う。

    遠藤家の人々も、その積み重ねが
    こういった家族間にヒビをいれてしまったのだね。

    なので、
    自分が正しいと思ってしまっている人
    全員が、読んだ方が良いよって思いました。

  • 2020(R2)8.30-9.1

    久しぶりの湊かなえ。
    「閑静な高級住宅街で起こった殺人事件を切り口にした家族の再生物語」と言えるだろうか。

    湊かなえにしては、特有の「ドロドロ感」があまりなく、さらりと読んでいける。結末も穏やかで、湊かなえにしては「大ハッピーエンド」な印象。

    Amazonの書評を見ると、家族の姿に胸糞悪くなる、とか、どこにも感情移入できない、とか目にしたが、僕はあんまりそういうことは思わず、むしろ、どこなでもありそうでけっこうリアルだなあと思った。

    「家族」って、まさに「隣の芝生は青く見える」だけど、実情はいろいろあって、家族の数だけ苦しみがあり、家族の数だけ倖せのかたちがある。結局は、自分たちなりの倖せのかたちを追い求めていくしかない。うちもそうだなあ…。帰りたくないから職場でこれを書いてるけど、それではダメなんだよなあ…、と自己反省して閉じます。

    どなたか、“夜行観覧車”の意味を教えてください。
    あまりよく分かりませんでした……。

    • さてさてさん
      theamaries1994 さん、はじめまして。

      > どなたか、“夜行観覧車”の意味を教えてください。

      私もこの作品を読んで意...
      theamaries1994 さん、はじめまして。

      > どなたか、“夜行観覧車”の意味を教えてください。

      私もこの作品を読んで意味が掴めず、自分のレビューでも触れずじまいでした。今回、theamaries1994さんのレビューを読んで、気になって眠れなくなり読み返してみました。

      それで、私なりにこのように考えがまとまりました。
      遊園地の中でも一番高いところから景色を見ることができ、かつ、ジェットコースターのようなスリルとも無縁で、何か夢心地な気分で乗るのが観覧車だと思います。街の高台の方にある高級住宅地、それを街の麓から見上げたとしても、その光景を観覧車に例えることは難しいと思います。でも、夜だったらどうでしょうか。遠近感のなくなる夜に見上げる高台の風景。作品の表紙のように輪郭が暗闇に溶け込んだ中に明かりだけがポツポツと見える風景。それを観覧車に重ねてみる。それぞれのゴンドラの中には、それぞれの人生があり、街から見上げるには、高いところに上り詰めて遠くを見ているであろう幸せな家族の情景が思い起こされます。でも実際にそのゴンドラの中は必ずしも穏やかな幸せに包まれているとは限りませんでした。そのゴンドラに乗っている人から見ても、結末の文章が語る通り一周してくると、そこは一周前とも異なる人たちがいて、同じようであって世界は少しづつ変わっていることに気づきます。でも、高台を見上げれば、そこには幸せな象徴として観覧車に例えられる幸せそうな明かりが灯っているのがみえる。そんな人の営みを湊さんは例えられたのかな、そんな風に感じました。
      すみません、的外れだったらごめんなさい。

      湊さんの作品、いいですよね。また、読んでいきたいと思っています。

      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
      2020/09/02
    • theamaries1994さん
      さてさてさん

      的確な分析、ありがとうございました!
      すごく納得しました。
      そういえば、登場人物は、高台の高級住宅街への上り下りの時に自分の...
      さてさてさん

      的確な分析、ありがとうございました!
      すごく納得しました。
      そういえば、登場人物は、高台の高級住宅街への上り下りの時に自分の人生についてよく考えていますよね。
      「美しく光り輝く観覧車に乗り、高いところから世間を見下ろす立場にいる(立場になった)はずなのに現実は…。」
      観覧車はそれぞれ色が違います。家族も同様で、「光り輝き方(倖せのかたち)」はそれぞれですよね。そのあたりの光明が見えてよかったという読後感です。
      2020/09/02
    • さてさてさん
      theamaries1994さん、こんにちは
      そうですよね。それで、面白いと思ったのはお書きいただいた色もそうですし、表紙のそれぞれのゴンド...
      theamaries1994さん、こんにちは
      そうですよね。それで、面白いと思ったのはお書きいただいた色もそうですし、表紙のそれぞれのゴンドラに乗っている面々です。どこまでどういった打ち合わせもしくは、湊さんからの発注で表紙が出来上がるのかわかりませんが、もし綿密な打ち合わせですこうなっているとしたら、また違った見方もできるようにも思えました。
      湊さんって、イヤミスのイメージが先行しますが凄惨な現場が出てくるわけでもなく、もっと人の深い部分を描いている方だと思います。少し世の中のイメージが違っているようで残念です。
      まあ、お互い家族を大切にいたしましょう!

      どうぞよろしくお願いいたします。
      2020/09/02
  • 湊かなえさんの人の洞察力に関心。どのキャラも弱いところやズルいところが、自分にもあると感じてしまう。

  • ドラマ化した小説と聞き買った小説

    ドラマは多分見ないけど

    読み始めすぐに読み入ってしまった。

    事件の家族、向かいに住む家族、近所のおばさん
    いろんな視点から事件の事がわかっていくが、それぞれの家族のこれからがどうなるのかがはっきりわからなかった。

    そうゆう小説はあまり好きではないが、この小説はなんかあまり嫌な感じがしなかった。

    この小説で一番むかつくのは向かいに住む家族の娘。
    事件が起こったのもこの娘の癇癪が原因じゃないかと思った。

    この本にも書いてあったが、この本に書かれている事件は近所で起こっても不思議じゃないと感じた小説でした。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

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