夜行観覧車 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社 (2013年1月4日発売)
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本棚登録 : 8326
レビュー : 765
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515527

感想・レビュー・書評

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  • 湊かなえさんのファンというわけではとくにないけれど、読むと面白いと思うし、続々映像化されるのも頷ける。
    売れてるミステリ作家さんの小説ってきっとそういう点が共通してるんだと思う。読みやすくて、どんどん読み進められる力があって、伏線もきちんと回収されてて。
    (伏線を回収しない系の恩田陸さんの小説も好きだけど映像化はしにくそうだなと思う。視聴者が納得しなさそうだし)

    登場人物みんな“普通”だけどみんな少しずつ“普通じゃない”。
    それは現実世界もそうだと私は思うから、そういうところがリアル。極端にオカシイ人はそうそういないけれど、だからってオカシイ部分がまったくない人なんていない。
    章ごとに視点が変わる、という手法だけど同じ章でもその家族間で視点が変わったりする。だけど不思議とややこしくはない。面白いつくりだと思う。

    人を憎んだりカッとなったりする原因って本当に些細なことだったりする。ある人にとっては何てことのない言葉が、別のある人にとっては地雷になりえる言葉だったりする。
    そこで勢い余って殺人に至ってしまうことだって、実際ある話だと思う。
    そうなったとき周りの人たちは…
    ラスト辺り、高橋家の前のシーンでは、思わず泣いてしまいました。

    去年放送したドラマは夢中になって観たのだけど、登場人物も設定もラストも違う。だけどとくに違和感はなく、ドラマはあのラストがベストだったと思うし、小説はこの余韻の残し方がよかったと思う。

    ちなみにこの小説、最近読書にはまり始めた小6の姪っ子から借りた本、という嬉しいエピソード付きです。
    湊かなえさんにはまってるみたいで、私は持っていた「告白」を貸しました。

  • ある高級住宅街で発声した家庭内殺人事件。
    昔からその土地に住む住人、後から引っ越ししてきた住人。皆が少しずつ無理をしながら生きていることで、生まれる妬み、エゴ。その歪みの描写が登場人物それぞれ個性的であり面白い。
    最後が微妙に腑に落ちなかった事で☆4つとさせていただく。

  • 湊作品3作目です。今までは読んでいて怖い作者だ。と思っていました。この作品はそういったイメージを払拭してくれた物でした。もう少しこの作家を追ってみても・・・・と思える作品でした。

  • 日常を暮らす中でどうしても
    堪えられず感情を爆発させてしまうこと、
    つい卑屈な言い訳で自分を甘やかしてしまうこと、
    安直な感情処理方法に身をゆだねてしまうこと…

    自分自身にも覚えがある
    卑怯さの加減が抜群にうまい。
    「しょうがないよね、人間だもんね」なんて
    慰めの言葉はかけられないことくらい
    自分自身でも分かっている。
    でも許しを欲している。

    自己批判しすぎる感想でもなく、
    自己憐憫に傾きすぎるのでもなく、
    「そういう人間である自分」を
    淡々と受け止めるクッションのような読後感。

  • 子供は大人をみて育つ ということがよく分かった。

  • 湊さんはむかつく子供を描くのが本当に素晴らしくうまいなぁと思う。
    でもそれぞれの言い分とまではいかないけど、気持ちの流れ的なものはなんとなく理解できる。
    最後らへんのみんなでお向かいの家の貼り紙はがすシーンとかちょっといい感じに思えたんだけど、それに対しての厳しいつっこみがあったり、納得しやすい予定調和な閉じ方をしていなくてなんとなく爽快感があった。

  • 「痛くない人間など存在しない」。そう思った。
    のっけからぐいぐい読ませる展開だが、誰に感情移入して読めばいいのかわからなかった。娘の顔色を伺いながら事なかれ主義の夫と生きて行かなければいけない真弓か?母親の理想のために振り回された結果日々学校で辛い思いをしている彩花か?同じく母親の期待を一身に背負ってストレスを感じている慎司か?亡き前妻と戦わなくてはいけない淳子か?
    誰でもない。一方的に同情されるべき被害者などいない。それぞれに弱さがあり、その弱さゆえに他人を傷つけ、その弱さは御都合主義的にあっさり克服されない。大人というものが責任感を持ち感情のコントロールをできる人間、と定義するなら、最も「大人」らしいと思われた高橋家の長男良幸でさえ事件を知った直後妹のSOSメールを読んだあとにも関わらずすぐ実家に駆けつけることができなかった。
    この小説は2つの家族の物語だが(小島さんちをいれれば三家族)、殺人事件をきっかけに、それぞれが他の家族にとって意外な一面、本性の一面を見せただけ、それもかなりチラリと見せ合っただけで、弱さや問題を抱えたまま幕が下りる。それでも家族同士で実は自分が本当はどんな人間か、どんなことを思ってきたのかを少しでも見せ合ったのはすごく大きな事で、それがこれからの遠藤家と高橋家にとって一つの足がかり的なものになると思った。
    と他人事みたいに書いてみたけど、読んですごく怖くなったのは事実。痛くない人間などいない、ので、どの家庭でも起こりうることだと感じたから。

  • ドラマを見終わったタイミングで購入。

    ドラマ版は長く続けるため、かなり脚色していたが、原作はあっさり風味。ミステリー要素も薄い。
    ただ、ドラマでは描き切れなかった登場人物の胸の内などがしっかり描かれていたので、読み応えはあった。

    また、遠藤家の負の側面がきちんと描かれているので、ドラマでのハッピーエンドな結末に少しモヤモヤした私には、リアルですっきりするラストだった。

    人のちょっと嫌な側面を、客観的に描き出した良作だと思う。

  • 湊かなえさん。何だかんだで文庫化された作品は全て読んでますが、この『夜行観覧車』が今までで一番よかったです。

    高級住宅街のある家族に起きた殺人事件。残された家族や向かいに住む家族の視点から、事件の真相が明かになっていきます。先を知りたくなるよう、情報を小出しにしていく展開の仕方は、湊さんらしい巧さがありますね。

    あと、人間の「ズルさ」を描いているのが、この作品の面白いところです。都合の悪いことが起こったとき、それを見なかったことにしたり、自分以外の誰かのせいにしたり、逃げてしまったり…。そんな人間の本質を、家族というテーマを中心にしながら、うまく描き出していると感じました。

著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

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