- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575516593
感想・レビュー・書評
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その日その瞬間、果てしない悲しみは私の頭上から青空を取り除いていった。最も大事なものは、その重さとは無関係にあまりにも呆気なく、だから許せなくて虚しくてマーブル状の想いは空を切るだけだった。良かったね...元気になったんだね…その一言がどれほど苦しいか、言葉は使い方を間違えると痛みを与え雨を降らせてしまう。噛み砕いても噛み砕いても甘味も苦味もあの土の味でさえもう感じない。解決など無い、だから悲しいのだ。それでも人は同じ場所にずっと留まり続けるわけじゃない。一つ許すことを決めたら甘い物が欲しくなったり、ケーキを見たら笑顔がこぼれたり、そうやって小さな一歩一歩で進んでいくのだろうと思う。
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起こってしまった事件の、関係者のお話。
記者さんとケーキ屋さんの話がぐっと来た。
ケーキ屋さん継ぎたい。-
穂高明さんは良い本を書かれていますが、読まれる方は少ないようです。『カナリア』『月のうた』も良いです。穂高明さんは良い本を書かれていますが、読まれる方は少ないようです。『カナリア』『月のうた』も良いです。2016/09/22
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ことぶきジローさん
コメントありがとうございます。
こちらの本は図書館で偶然出会って読みました。
「カナリア」と「月のうた」も読ん...ことぶきジローさん
コメントありがとうございます。
こちらの本は図書館で偶然出会って読みました。
「カナリア」と「月のうた」も読んでみます。
お勧めくださりありがとうございます。2016/09/23
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演劇部の合宿に向かったある日、千春の乗っていたワゴン車が東京の高校バレー部員を乗せたバスと衝突した。
車が崖を落ちるほどの大事故で、助かったのは千春1人だった。
そこから、千春の孤独な日々が始まる。
「どうして私だけ助かったの…」
家族、担任教師、亡くなった同級生の親たち、新聞記者、町のケーキ屋の店主…千春を取り巻く人達からの視点で語られる、それからの日々。
人の気持ちに寄り添うことの難しさを改めて感じる作品。
2019.11.27 -
ふつうによかった
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内容(「BOOK」データベースより)
どうして私だけ生き残ってしまったの。たったひとり、少女はバス事故で助かった。深い心の痛みを抱えて過ごす日々の先に―。とりまく人々の心模様を絡めて描いた、優しい強さが沁みわたる「再出発」の物語。
事故で生き残った人はどうやってその後の生活に戻って行けるのだろうと考えさせられる本です。日航機墜落で生き残った方達も、励ましの言葉も呪いの言葉に思えたでしょう。今のようにネットでなんでも発信できる今、一般の人の心ない一言のダメージは計り知れない物があります。
この本はそんな人間の二面性、強さと優しさ、それを上回るどす黒さがなんともやりきれない。しかもみんな悪気無いんですね、へたすると裏サイトに書きこんでいる生徒ですら正義気取りなのですから。でもこれ日常的に現実あることなんでしょうね・・・。 -
穂高さんの作品は初めてです。
バス事故で奇跡的に一人だけ生き残ったというのは、
普通は周りの人から見ると生きてこられたのだから良かったことと思われがちです。
けれどそれは初めだけで日に日にそんな思いは違っていき、自分の心が事故のせいで癒えていないのにあれこれと色眼鏡や腫れ物に触るような行動になっていくのが怖いなと思いました。
それなのに千春は自分の本音を言うこともせず、
苦しんで自分が生きていることが罪でないかということが読んでいて辛かったです。
千春が主役なのに千春の視点からでは描かれていなくて
他の人達の視点から描かれていることで、
千春の気持ちが分かるという不思議な描き方が良かったです。
千春が苦しみながらも徐々に一歩を歩み出していくところが、
自分が何かつまずいた時にそっと後ろから
押してくれているような温かみを感じました。
血は水よりも濃いというのもこの作品でよく描かれていて、弟の行動は共感できて尊敬できました。
同じような経験をした久住の行動も良かったです。
やはりこうゆう時には身近に分かり合える人がいるというのは心強いなと思いました。
重いテーマなのにとても読みやすく心が痛んでしまってもこれから頑張ってみようと思える心温まる作品でお勧めです。
『月のうた』、『かなりや』も同じように良い作品らしいので、これをきっかけに読んでみたいと思いました。 -
痛くて苦いんだけれど、読み進めてしまう。
優しく、少しだけ光が差す。
人生そういうものかもしれない。 -
「サバイバーズギルド」になってしまった千春。
辛いのはいつの時代もいる、関係ない人達からの批判の無責任な書込み。
本人の辛さはもちろん、千春の母の、どう対処していくかわからなくなっている感じや、担任だった先生が、千春のためには何かしてあげたいと思いながらも本音の感情も出てきてきまったり、その揺れ動く感じが書かれている。
自分が、本人だつたら、母だったら、遺族の家族たったら…。
マスコミはこういう時、煩わしいものでしかないと思っていたが、新聞記者、小泉の書き方で、いかようにもなるんだなぁと思った。 -
自分だけが生き残ってしまった生還者の罪悪感を「サバイバーズ・ギルド」と言うのですね。事故の唯一の生存者である千春は助かった命に前向きに向き合う事が出来ず、笑うことも生きることにも罪悪感を感じ心を閉ざしてしまう。千春を取り巻く人達の心の機微が丁寧に書かれており、最後は前向きに進もうとする明るい未来が見えて、生きる事への前進に喜びを感じる。じっくり沁みる1冊でした。