- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575516739
感想・レビュー・書評
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恋をして、結婚して、仲良く暮らして、の、その、先を描いた物語だ。
バツイチの夫と結婚して8年目になる夫婦。夫の収入は申し分なく、高級マンションで和小物を作る趣味のような副業で暮らしながら何か空疎なものを感じている「妻」。
自分は妻のつもりで暮らしているのか、夫は夫のつもりで暮らしているのか・・・。
穏やかに凪いでいるように見えて相手との距離に愕然とし、その距離を縮めようと、季節感を演出してみたり、問題の多い夫の母(義母)と関わってみたり。
好き、の先にあるものは、穏やかな諦念なのかもしれない。
諦められない者だけが、家庭の外へと出ていく。
優しいようでそっと毒を含んだラスト(鳴って、無視される携帯電話)に、切ないような怖いような気持ちになる。 -
文体がちょっと苦手で、なかなか読み進めなかった。
夫が定職に就いておらず、私が働いて家計を支えているので、この妻の不満が甘えにしか思えない。
ただ、唯一共感できたのは、子供を作らない理由みたいな所かな。
そうはいっても、どんな内容だったかわすれてしまったけれども。 -
140720
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う〜ん。
以前の野中さんの方が好み。 -
文体のリズム感にはまった~。
何が起こるわけでもない夫婦間の他愛ない日常だが、光る表現が満載。帯にある「女だったころは勇敢だったのに、妻になったらへたれになった」とか「でも結局、夫婦なんて肩透かしの連続なのかもしれない。」「夫婦だって、いくら妻のつもり、夫のつもりをしてたって、まずは自分だけに戻らなきゃ始まらないのである」等。
よき妻であるべくじたばたする妻に心の声が「それでもつまのつもり?」とねちねち問い詰める下りなどはユーモアを含んだエッセイ風だが、読み進むうち危うさや寂しさが滲み出てくる。夫婦だけでなく母や義母との関係を描いた家族小説。
最後のセックスレスの捉え方も唸った。野中さんの新境地だ。