Nのために (双葉文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575517040

感想・レビュー・書評

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  • 人にはそれぞれの愛の形がある。そして、それがどんな結末を迎えようと、信じた愛があるというのは幸せな事なのかもしれない…

  • 超高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で、そこに住む野口夫妻の変死体が発見された。現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。それぞれの証言は驚くべき真実を明らかにしていく。なぜ夫妻は死んだのか?それぞれが想いを寄せるNとは誰なのか?切なさに満ちた、著者初の純愛ミステリー。
    ストーリーは、野口夫婦と西崎真人と西崎の隣人・杉下希美と杉下の友人・成瀬と安藤の間で起きた野口貴弘殺害事件をめぐって、杉下・成瀬・安藤それぞれの証言と回想を通して、3人と野口夫婦の関係や事件の真相が解き明かされるという展開で、それぞれの過去の繋がりや自分の心の中で封印した事実が解き明かされる中で、それぞれの思い込みや誤解で歪められた事実が解き明かされるという湊かなえの十八番の語り口はいつも通り冴え渡っているが、今回は恋愛要素が強く、誰よりも近くにいながらに違った想いを抱いていたり、片思いの相手が別の相手に片思いしていたり、両思いなのにお互いに気づいていなかったり(高校時代の杉下がシャープペンシルを鳴らす回数によって成瀬に気持ちを伝えようとするが解釈がすれ違ってしまうなど)、ままならない人間関係を基本的には優しい目線で描いているのが、「告白」「贖罪」「白ゆき姫殺人事件」のように人間のダークサイドをえぐり出した劇薬のような作品を愛する読者には物足りないかもしれないですが、イヤミスの流れから新しい路線に踏み出したミステリーの名作として楽しめました。

  • 切ない。切なすぎるすれ違いが、私たちには分かって、彼らには一生分からない。
    木しか見えていなかったはずなのに、徐々に根っこの細かいところまで見えてくるような小説。
    私たちが見てる世界って、木だけなんやろうな。
    見ようとしなければ見えないものだらけ。
    登場人物のイニシャルは全員N。
    それぞれが、それぞれのNのためだけを考えた行動の先にあるのは、一体何なのか。
    有名すぎる小説。とても良かった。好。
    再読必須。

  • 自分の読解力のなさに自己嫌悪...。
    最初から最後まで頭の中に「???」が止まりませんでした。
    大抵本を読み終わった後、皆さんの評価を確認して「この時はこう言った心情だったんだ!だからこの行動をとったんだ!」と納得できるのですが、
    今回は評価を読んでも全くモヤモヤが解決できず...。

    「罪の共有=愛」を軸に話が進んでいるのはなんとなく分かったが、
    「皆ちゃんと自分の想いを伝えればいいじゃん!」と終始思ってしまい、もどかしさを感じました。
    登場人物に誰一人として共感できるキャラクターがいなかったのと、
    私自信が表面上はそう見えても、心の底から誰かのために何かをしたい、と考えられないタイプの人間だからこのお話は理解できなかったように思います。

    ただ単純に苦手な分野の本でした。
    もっと心情を理解できるようになりたいです...。

  • 大事な歯車がきれいに抜け落ちて、それでも回っているような感じの話。
    こんなうまくいくもんなのか。
    ドラマも見たかったなー。

  • 面白い!けど、珍しく原作よりドラマの方が面白かった作品。のぞみの母の毒親感が怖かった。

    愛とは罪の共有。

  • ドラマを見たから小説版も読んだ。ドラマの方が描写はすごくできていたとは思うけど登場人物の細やかな心理描写はこちらの方が上だなと思ったり。

  • 登場人物は全員N。一つの事件がそれぞれのN目線で綴られます。N(誰か)のための思いや行動が、糸が絡まるように縺れていく様は切ないです。誰かのためは痴がましい。N(自分)の人生はN(自分)のために*°
    後書きの"立体パズル"、"読者だけに真実がわかるルービックキューブのような本"という表現が的確です。

  • 著者お得意の多角的な視点で描かれた群像形式のミステリ。今までは一つの事件をそれぞれの人物が独自の視点で回想するという形式で、本作も概ねそれは同じである。だが大きく違う点として、起点となる事件だけでなく、時系列も変わるため、今までの著者の作品で感じた「同じ話のリプレイ感」はまるで感じず、新鮮な気持ちで頁を捲れたというのは非常に大きい。単純な多角的な視点ではなく、各キャラクターの視点が個人の物語として完全に独立していたのが大きいだろう。個人的に一番良かったのは途中に挟まれた高校生パートである。閉塞的な田舎暮らしと劣悪な家庭環境、その中での憧れの君との一瞬の会話。それを大人になってもリフレインし続けているというのは非常に切ない。そしてまた相手も同じ感情でいながらも、シャープペンのノック音の解釈ですれ違いを演出するなど、多角的視点が存分に生かされた名シーンである。過去回想の土下座して飯を乞うシーンなどは少し演出過多に感じたし、将棋繋がりでの出会いなどはややファンタジックな気はするものの、作品全体のリアリティの骨子はしっかりしている。特に「冷蔵庫がいっぱいでないと落ち着かない」という貧乏人の感覚などは分かる部分が大きい。オチや真相は意外ではないものの、物語の締めとしては綺麗で、タイトルとのリンクもある。途中にあった十年後の記述などは、読了後に読み返してみたくなる。総じて高水準なエンタメミステリだという印象。ドラマ化は納得。

  • 大好きなドラマの原作

    ドラマの原作としか思えないくらい
    セリフや背景が巧妙に映像化されていたと実感する

    究極の愛は罪の共有

    その強がりのような弱さが邪魔して
    素直に人に頼れず不器用に生きていく人間に
    どうすれば人は愛を与えてあげられるのか

    映像でも活字でも胸に突き刺さるメッセージは同じだった。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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