JUNK 毒にもなれない裏通りの小悪党 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575517088

感想・レビュー・書評

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  • この人は、もっと売れて然るべき作家だと思います。

    第1章の『指』は、安定した生活を送っているのに、掏摸(スリ)の天賦の才を持ってしまった男が主人公。あの財布、抜けそうだと思うと血が騒ぎ、通勤途中にやらずにいられない。そんな彼が大がかりな掏摸集団にスカウトされる。

    第2章の『飯』は、彼女との格差に悩むプー太郎の男が主人公。借金があることを打ち明けられないまま同棲中の彼は、刑務所前のちっぽけな定食屋で破格の報酬を提示されて働くことに。

    文庫化に合わせて書かれたという第3章は正直に言って蛇足かなという気もしなくはないですが、第2章までは参りました。自分のことを好きになれなかった男たちが、生きることを実感して、少しずつ熱い感情を持ちはじめるくだりに脱帽。

    同著者の『太陽がイッパイいっぱい』がツボで、著作を大人買いしましたが、寡作なんですよね、この人。しかしどれも今のところハズレなし。ガンガン書いて外すよりもこれぐらいのほうがいいのか。めっちゃ好き。

  • スリの話よりメシのほうが面白かったが、つぶれかけの定食屋が繁盛するまでの経緯が面白かっただけで、本筋の人間ドラマは今ひとつ心に刺さらなかった。

  • こういうバガボンドというかピカレスクものは元々大好きなんだけど、浅田次郎が最近書いてくれないので(笑)久々。浅田氏の痛快さはないが、思いのほかホロっと来る。『飯』がいいね。古びた定食屋って好きだなー。

  • むっちゃjunkってほど、
    junkやなかったけどなかなかのjunk感。

    【飯】が好き!星4つ。
    あれを長編で読みたいな。

    他は星3つ!

  • ジャケットのセンスが良くて、購入(笑)

    もう一つは、先日、平山夢明の『DINER』を読んだ後味が残っていて、気になったアウトロー小説。

    掏摸を辞めたくても辞められない「指」という話と、借金返済のために月収三十万の仕事を引き受ける「飯」、両方の登場人物が出てくる文庫初「嘘」の三本。

    中村文則なら、もっとギタギタに心を堕としていくだろうが、この作品は柔らかい。
    私には、このくらいの方がすっきり読める。

    特に「飯」が良い。
    請け負った仕事とは別に、潰れかけた飯屋を「そうとはしらず」繁盛させてしまう流れも面白いし、出てくる悪役が皆中途半端に柔らかい。なるほど、さすがのサブタイトル。
    また、主人公と付き合っている高級ホテルのコンシェルジュ、アキが可愛すぎて、いい具合に作品を持っていってくれている。

    あんまりビビらず、読んでみて欲しい。

    また、解説の藤田香織さんの作者愛?が素敵。
    こんな語られ方をしてみたい。

  • 社会的にはダメなヤツらの、ダメな人生の、だけど、どうにも憎めない二つの物語。
    詐欺師と鍵師。どちらも指を使うシゴト。
    手の指って、家族にたとえられたりするんだけどさ、その指を使ったシゴトで家族につながる物語を描くってのはなんとも粋だね。
    二つの物語うち、鍵師を描く「飯」にじんわりやられたね。ダメな血筋もきっとここで踏ん張れるに違いない、と思わず応援したくなる。
    しかし、あれだね。ダメなオトコはオンナで変わるんだね。

  • 、、、だ。、、、だった。、、、た。、、、だった………

  • 2019.4.12
    爽やかで読みやすかった。2章と3章が好み。
    そして解説もよかった!
    作家さんへの愛情が伝わってきて、他も読みたくなりました。

  • タイトル通りスリや鍵師、回収屋など小悪党たちがたくさん登場する三編の物語。
    小悪党たちそれぞれの事情や人情がうまく絡み合い、何故か青春ものみたいに爽やかな読後感になっているのは三羽氏の個性か。
    それにしても寡作な人だな。忘れた頃にインパクトの強い作品を発表するのを待つしかないか。

  • 善人でも悪人でもない、街の小悪党たちが遭遇する人生の奇跡を描く三編の作品集。
    スリという天賦の才に苦悩する主人公がある仕事に加わるのが『指』。刑務所前の小さな飯屋を思いもかけず繁盛させてしまう『飯』。この二編を結びつける短編の『嘘』。想像を越える展開に唖然とし、このドラマティック過ぎるストーリーを誰かに説明したいが、上手く話せそうにない。是非とも映像化してほしい。

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著者プロフィール

1968年岡山県生まれ。2002年、第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した『太陽がイッパイいっぱい』でデビュー。06年『厭世フレーバー』で第27回吉川英治文学新人賞候補、09年『太陽がイッパイいっぱい』で第5回酒飲み書店員大賞受賞。12年『Junk 毒にもなれない裏通りの小悪党』で第33回吉川英治文学新人賞候補。『ニート・ニート・ニート』は18年に映画化された。他の著書に『イレギュラー』『タチコギ』『Y.M.G.A 暴動有資格者』『路地裏ビルヂング』『ヘダップ』『俺達の日常にはバッセンが足りない』などがある。

「2021年 『共犯者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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