- 双葉社 (2014年10月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (191ページ) / ISBN・EAN: 9784575517170
みんなの感想まとめ
心に残る短編集で、登場人物たちがそれぞれ抱える「誰かが足りない」という思いが、静かに描かれています。宮下奈都の文体は、心情描写が深く、読者に共感を呼び起こします。6つの短編は、個性豊かなキャラクターた...
感想・レビュー・書評
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再読。この本は自分の中でもベスト4か決勝戦に入るほど心に残っている本です。
宮下奈都さんの文章は、静寂に満ちていて心地よいのです。だから、心情描写が心に染みます。あぁ、わかるなぁ。そんな思いもあるよなぁ、と。
本作は6つの短編で構成されています。そして、レストラン『ハライ』と繋がる連作小説です。
登場人物たちは『誰かがたりない』思いを抱えています。
○コンビニの店員
繰り返しの毎日の中でこのままでいいのか?と思いつつ時間に流されていく。自分も就職したての時によく思っていたなと懐かしく思いました。そして、あの頃の自分が今の自分を見てどう思うだろう?なんて想像してしまうのです。
○認知症の老婆
『元通りになったかのような気分のよさは、気分だけを連れてきて、現実は過ぎていったままだったらしい』体調を崩した時にそんな気持ちあったなぁとしみじみ。
○引きこもりの若者
『人を信じられないのは自分を信じられないから』失った自分を取り戻していくということ、過去ではなく、真に今を生きるということ。描き方がよかったなぁ。一番共感した場面でした。
○仕事に忙殺されるOL
仕事に追われ、付き合ってた人とも別れ、それでも坂道を上っていく。こんな時ってありますよね。何気ないことが幸せだと気づかされるのはこんな時かも知れない。
○ビュッフェの見習いシェフ
料理以外これといった魅力を持ってない青年。でも、一つだけだとしても生活の糧を得られるものを持っているなんて素晴らしい。自分はそれを得るために膨大な時間をかけてきたし今もそうです。食べ物って生きることの大本。それを自在にできるなんて憧れをもってしまいます。そんな幸せはきっと誰かを支えている…そうかも知れない。
○失敗を匂いでかぎ分ける女性
人生に時として引き起こされる『絶望』。そんなものと向かい合っていく姿に共感。乗り越えられるときは乗り越えられるし、ダメなときはなにやってもダメ。時間薬なところもあると思うし、笑えるってすごく大切なことだなと思えました。
レストラン『ハライ』そんなレストランがあったら自分もいってみたいです。
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最近宮下さんの作品読みすぎでは?ってくらい読んでるけど、基本全部好き。こちらもよかった。
他の方の評価・コメントを見ると、意外と高くないことに驚いたけど、好みは人それぞれなんだと改めて感じた。
前情報無しだったから、タイトルと表紙のちょっと暗いところから、ホラー要素でもある?と思ってた。そんなことないです。むしろ心温まる。タイトルはともかく、表紙は明るくしても良かったのでは、、、
どこかの国の言葉で晴れという意味のある店名「ハライ」に訪れようとする人々の短編集。
予約が取りにくくて、いつもいいにおいのする町のレストランに行くときって、どんなときだろう。そういうちょっと特別なお店って、素敵だよなぁ。
登場人物はみんな何かしら問題を抱えてる。それが深刻かどうかは人の感じ方次第だけど、最後には明るい光が見える。
作品には描かれていないけど、ハライでおいしいものを食べたら、元気が出て、また前を向けるんだろうな。 -
『いつもお客さんでいっぱいで、あたたかなにぎやかさに満ちている。何を食べても素晴らしくおいしいから、お客さんたちはつい笑顔になってしまう。ハライ。俺の憧れの店だ。』、6つの短編の6人の主人公がこの人気レストラン『ハライ』に10月31日の午後6時という偶然にも同じ時間に赴くことになるまでのお話が展開します。
6つの短編から構成されています。ありそうな話から、いや、そんなこと絶対ないでしょうという設定まで極めて多彩です。男女、年齢そして境遇もバラバラなのでキャラも被りません。
そんな中で、えっ!と驚いたのが〈予約2〉の主人公でした。最初この方の境遇が理解できなかったのですが、『どうして私はいつも身内からさりげなくニュースについて聞かれるのだろう。どうしてそれにきちんと答えることができないのだろう。』という表現から彼女が認知症であることが分かります。認知症の人を看る視点ではなく、認知症の人の側からの視点。これはある意味とても新鮮でした。行ってしまったり、戻ってきたり。そんな彼女の薄れ行く記憶の彼方にもこのレストランの名前が残っていました。
『自分ひとりで塞ぎ込んで息が詰まって、もうどこにも逃げ場がないように思えるときに、誰かに笑ってもらえたら、さっと気が晴れたりすることもあるのかもしれない。』どこかの言葉で『晴れ』の意味だという『ハライ』。みんなの憧れるレストラン。
何だか取り止めのない、まとまりのない話が展開していくようにも感じますが、この作品は最後の最後の場面で悩んでいる人が一歩前に進むためのヒントをくれます。
仕事で失敗をして落ち込んでいる時、取り返しのつかないことをしたと苦しんでいる時、そんな時に、この「誰かが足りない」という一見すると不安定なこの書名の意味するところが、少し違う視点から優しく声をかけてくれる、そんな作品だったと思います。 -
久しぶりの宮下奈都さんの作品。
レストランを舞台に6組それぞれのお客さんの物語。
レストランでのお話かと思いましたが、レストランに来る事になった経緯までが中心となっています。
それぞれの物語は派手さは無いのですが、生きるってそうなのかもと思わされます。解決してスッキリするお話ではありませんが、帯に書いてある、「足りないことを哀しまないで、足りないことで充たされてみる。」そういう事か、と。
どう思い考えるかは読者次第と言われているような感じがしました。 -
予約で埋まっているはずの席が、ぽつんと空いている。
誰かが足りない。
誰かが足りない。(私は)いつもそう思いながら生きてきた(かもしれない)。大事な何かが足りない、その答えを探りながら私は恐る恐る読んでいたのかも。
足りないのは、もしかしたら、私ー。
ドキリとした。こんなに気持ちがはまるとは思っていませんでした。表紙のレストランらしきテーブルの椅子の絵、ミステリーの要素(誰かが消えたとか)があるかと思っていたら違った。
煉瓦造りの古い一軒家、屋根に蔦を這わせ建っている、予約を取るのも難しいレストラン「ハライ」。
10月31日午後6時、たまたま店に居合わせた客らの物語。
印象的だったのは予約4
母の病気、家族の形が変わってしまってから、部屋に引きこもっている主人公、僕。僕は、ビデオカメラを回してなければ外へ出られない。人に会えない、向き合えない。そんな兄の心を解きほぐす妹遥香と篠原さん。
「ビデオを通して話すのは、過去に向かって話しているようなものではないですか。今、ここに目の前にいる私を見て話してください」
篠原さんは言う。自分がいじめに合った時、遥香は私をぎゅっと抱きしめてくれた。遥の温かさが今だと気づいた。もう過去のことで震えたり泣くのはバカバカしいと思えた、と。だが、僕は生身は脆い、苦手だと。
そんな僕だが、徐々に心のリハビリをしてゆく。今を生きている目の前の相手に自分を重ねた。
10月の青い空。妹たちの笑い、美味しい食べ物。
笑い、涙、喜び、悲しみ、驚き、みんな「今」。
予約6も良かった。
何かあったときに乗り越えるコツを教えてもらいたい、と。あたし、不安なんです、大きなショックに弱いんです。精神力もないし、機転も利かないし。
一緒に共感してくれる人も必要だが、塞ぎ込んで息が詰まって、もう逃げ場がなくなったとき、誰かに笑ってもらったら気が晴れたりする。
笑っていいんだ、笑ったらいいんだ。そしたらもう怖くない、失敗も生きてゆくことも。
この言葉で気持ちが楽になりました。
好きなところ
誰かが足りない。そう思えるのはしあわせなことではないだろうか。誰かを待つ、満たされる日を夢見ることができるのだから。 -
とても美味しいと大人気のレストラン「ハライ」に予約した6組のお客さんのお話。
みんなそれぞれ辛いこと、悲しいこと、苦しいことがあるけれど、新しく一歩を踏み出そうと決意する姿に勇気をもらえた。
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おいしいと評判のレストラン「ハライ」。
6組の客が前を向いて一歩踏み出そうと決心し同じ時に「ハライ」を予約する。
認知症に対する葛藤。
人の失敗の匂いをかぎとってしまう重たい心情。
経験したことがあるかのように心の動きを見事に描いている。 -
何かをなくした人々が一歩を踏み出す…そんなお話。6話の短編集。
6話共「ハライ」というレストランに10月31日の6時に予約を入れるが、実際ハライに関する描写はあまりなく、幸せの象徴みたいな感じに描かれている。でも、温かいレストランに心のこもったスープ…それだけで立ち直れそうな予感があるから不思議だ。私もハライに行ってみたいな~ -
ハライという、レストランを訪れた何かしら問題を抱えた人達のお話。短編で、関係ないお話しなのだけれど、ハライという、レストランが共通項なので、面白く読めてしまう。電車に乗っていると、自分の知らない人生が人の数だけ有るのだなと思うそれに、似ていた。
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装丁やタイトルの字体の印象からしてミステリーなのかと思ったらそうでもありませんでした。
老舗のレストラン、ハライに同一日時に予約した6組の客の物語でした。
私は認知症の女性の話もよかったですが特に引きこもりの男性の話、匂いで失敗臭を嗅ぎ付けてしまう女性の話が好きでした。
引きこもりの男性は進歩が目まぐるしく希望が持てるし、失敗臭の話は、失敗に対する捉え方の変容があり、大きな進歩だな!と思いました。
予約1以外は希望が見えて個人的にほっこりした気分になれました。
私の読解力のなさのせいで
プロローグの客は、6つの物語に関係する人なのかが分からなかったので少しもやもやしています。。。
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なかなか重いなぁと思いながら読み進めた。
何かしらを抱えている登場人物がリアルすぎる。今この日本のどこかにいるんだろうなぁって思える人たち。
光と言えるほどのものはないけど、何かしら自分の中で消化して折り合いつけて生きていこうと決めた登場人物がハライに集まってくる。
人生はそう簡単に大きく変わらないけど、自分の捉え方で光のある方に向かっていけると気づかせてくれる。
この本を読んでなにかの渦中にいる人が救われてほしい。 -
誰かが足りない。、
いつも予約でいっぱいの美味しいお店。
そこへの予約1.2.3.4.5.6.
6つの短編から成り立って、みんな繋がっていく
同じ日にそのお店「ハライ」
10月31日
期せずして同じ日の予約。やはり宮下奈都は素敵だ。
それぞれの人に投げかける眼差しが優しい。
読めば読むほどこの作家が好きになる。
本文よりー
しあわせな記憶がこの人を支える
思い出せるしあわせだけではない。思い出せない無数の記憶によっても人は成り立っているみたいだ。
本文よりー
失敗自体は病じゃないんだ。絶望しなければいいのだ。
苦しんでいる人を助けられたらと思う。
作品の中にホルストの「惑星」が出てくる
その水星
ユーチュブで聴くと
馴染みの曲で嬉しかった。 -
分かりやすい、優しい物語だった。うっすらとした寂しさが絵になったような日々の中に、訪れた「ハライ」というレストランでの幸せな時間が、しみじみとしみる。
読む本の中にはむずかしい漢字ばかりの時がある。鋭く心の中をかき回してあとはわずかに理解の外にあるような疑問符を残す。考え続けて著者の深遠な思いに気が付いたり、迷路に迷い込んだりする。
そんな何かを求める読書もたまにはいい。生きている実感がある。それでもこうした暖かい日々を優しい言葉でつづってくれる小説に、癒されたいときもある。
文字好きが選ぶ文章は、生きていく指針だったり喜びだったりするが、生活の中で、そんな文字好きだけでなく、いろいろな手段で喜びを感じて生きている人に感動する。アスリートは身体を使って、書家は墨と筆で、料理人は食材で人を慰め喜ばす。幸せの輪に包み込まれるなら何だっていい。読書家の世界にだけにとどまらない、自分に合った生き方がある。
「ハライ」というレストランの評判がいい。行ってみたいけれどまだ行ってない人たちが、幸せな時間を過す事になる。6組の人たちが「ハライ」に行くことになった出来事が、そのちょっとした心の旅が暖かく書かれている。
何げない生活が描かれてはいるが、中でも
「予約 4」
ビデオ越しでないと生活できなくなった僕。何をするにも右手に重いビデオカメラを持っている。
三年前に母が何気ない微笑みを浮かべてもうすぐ死ぬのだといった。そして死んでしまった。その笑顔を憎み人が信じられなくなって部屋に閉じこもった、結婚する姉や妹のことを思うとそれではいけないと気が付いてはいた。姉の婚約式の時ビデオ係をかって出てみた。それは勇気がいったが何とか写すことができた。それからはビデオカメラ越しなら何か変化が起きるのがみつかるのではないかと探し続けている。
妹の友人が転がり込んできた。学校にも行かず昼間もひっそりと過ごしているだけ。静かな彼女に僕はいらいらしたが、次第に彼女の存在にもなれていき、彼女がこもっているわけを知った。彼女は言う「ビデオは過去じゃないですか」
妹は僕にも友人にも何も聞かなかった、彼女と二人でおにぎりを食べた。窓を開けて季節の風を感じた。
「ねぇ ハライに三人で行かない?」と妹が言った。
かいつまんだけれどこんな話が6編、レストランに行くだけのことに勇気がいったり、日常のこだわりを解決したり、孤独を乗り越えたり、ささやかな気持ちの切り替えで、足りない誰かや何かを見つけて席を埋めるいい話 -
「 年をとってよくなかったことなんてなんにもない
どこもかし こもぴんぴんしていた頃の身体とは違うけれども、少しずつ少 しずつ変化が来るからその間に十分慣れることができる
顔や首や手の甲に皺ができるようになったのも、もともと美人だったわけでもないから、そうたいしたダメージはない
若い頃の無用な焦りや見栄や欲望や何かそういった追い立てら れるようなものから解放されて、私はずっと生きやすくなった
流行りのものを気にしなくていいし、今さら何かを成そうとしなくていい 」
『 予約2 』より
老いることを恐れるのではなく、こんな風に受け止められたら、何と楽だろう
カツ!を入れられたような爽快感だ
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読み終えた今、日曜の夜ながら心がぽかぽか温かくなりました。
"誰かが足りない"
心の拠り所のないような、淡い喪失感のような、この感覚。
普段から意識しているわけではないのに、言われてみれば既視感を覚える、この「足りない」という感じ。
1つ1つのエピソードを通して、ここにはいない誰かに思いを寄せました。
静かで淡々としたこの物語、章を追うごとに音楽が聴こえ、色や温度を感じるようになってきます。
この、物語が動き出すような感覚が絶妙で、おまけに美味しくて特別ながらも、ぽつん、と所在なく佇んでいるようだった「ハライ」が、最後はとても温かく居心地のいい場所となっているのが印象的でした。
「誰かが足りない」という、すこし淋しさを感じさせるようなこの言葉が、いくつものエピソードを下地に、最後のページで一転してこんなにも温かい意味を持つだなんて。何度も繰り返し読んじゃいました。最後のページ、だいすき。予約6のお話も。
それから「抽斗(ひきだし)」とか、「薬缶(やかん)」とか、あまり漢字で見ることのない言葉をあえて漢字で書いていたように、1つ1つの言葉が丁寧に選ばれていたのも心地よかったです。
マイナスを、マイナスと思われるものをプラスに持っていく力、というのはこんなにも心を温かくしてくれるものなんですね。 -
美味しいスープのように軽くてサラッとした、でも少し温かくなる、そんな小説でした。
予約2、予約4、大好きな人を亡くしてしまうとそこで時が止まったようになるけれど、その人のことを想いながらも前に進むことができるのが人間なのかもな、と。 -
[予約2]の認知症の症状がでてきた女性の話しが私にとってはリアルで未来が怖くなった。
でも、"少しずつ少しずつ変化がくるからその間にじゅうぶんに慣れることができる"
うーむ、妙に納得‼︎ たしかに今は若いときより生きやすくなった。
私がとしをとって忘れることが多くなっても、試すような質問はあまりしてほしくないな… -
ちょっと変わった設定のある短編集。「予約4」が好み。失いたくないがために得ようとしない今...。内にこもった感情の扉を開くのは...。
それぞれのハライでの食事風景を想像し、温かな気持ちになる...。そっと優しく手を引いてもらったような読後感。 -
予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。
10月31日午後6時に、たまたま店にいた客たちの、それぞれの物語。
認知症の症状が出始めた老婦人、
ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、
人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、6人の人生と後悔や現状の悩みを描く。
「ハライに行って、美味しいものを食べる」ことをひとつのきっかけにして、
前に進もうとする気持ちを、それぞれ丹念にすくいとっていく。
美味しいものが出てくる話が好き。
宮下奈都さんも好き。
ひきこもりの兄の話が印象的。
本の内容自体も、苦しさもあるが優しい。
ただ、
表紙が私には寂しすぎて、怖くて、手元に置いていくのを躊躇している。
表紙が違えば間違いなく手元に残しておくのに…
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著者プロフィール
宮下奈都の作品
