珈琲屋の人々 ちっぽけな恋 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575517835

感想・レビュー・書評

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  • '23年1月29日、Amazon audibleで、聴き終えました。池永陽さんの小説、二作目。

    シリーズ二作目ですが、僕には、前作よりも良かったかな。
    前作の作品に感じた「尻切れトンボ」的な部分は、本作には感じませんでした。内容も読みやすく、面白かったです。
    ただ、終わり方が…次作が気になります!audibleへのアップを待って、また聴いてみようと思います。

  • "珈琲屋の人々"の続編。
    珈琲屋のマスター、行介はチンピラを殺した過去があり、"じぶんは幸せになってはいけない、結婚なんてできない"と考え、贖罪のつもりでアルコールランプに手をかざしては火傷のあとを作りながら暮らしている。
    そして、珈琲屋にやってくる、心に深い闇を持つ客たちが、最後の一歩を踏み出さないですむように立ち回る。

    本書は副題に"ちっぽけな恋"とあったので、少しは明るい話になるかと読んでみたが、夫からのDVが嫌で別れたのに、息子にDVを働いてしまう母親の話など、珈琲屋に来る客たちの闇が深すぎて、読んでると気持ちが沈んでいく話が多く、残念。

  • 今作品も恋の話がぎゅっと詰まったショートストーリー。タイトルが「特等席」で始まり「指定席」で終わる。前作は「初恋」からの「再恋」この珈琲屋の熱い珈琲を飲んでみたい。今回、先の話がとても気になる形で終わってしまった。主人公と冬子には幸せになってもらいたい。

  • 1作目は違和感なく 
    珈琲屋の物語のとして、うまく作り方だねと思ったが。
    2作目の『ちっぽけな恋』篇は、話によってかなり 
    ムラがあるような 気がした。

    行介が 節くれ立った大きな右手を アルコールランプで
    焼く描写が 何ともなくせつない。
    『人を殺した手』とシンボライズされるが、その手だけが人を殺したわけではないだろう。
    と思う。そして、それが贖罪なのか。罪を忘れないようにしているのか?
    また、おとづれるヒトが、その手を見て、何らかの感慨を抱く。
    そのシーンが たびたび、くり返されることが 読んでいて怖いのだね。

    ここに出てくる人は、離婚歴があり、何らかのトラウマがあり、
    それが、子供にまで及んでいる。
    人殺しがマスターの珈琲屋が、駆け込み寺みたいになっている構成だね。 

    島木のもつキャラクターは、なんともいえず、憎めないオトコ。
    しかし、友人でありながら、行介のかたくなな心を融かすことができないのはなぜなのかな?
    冬子の想いが理解できるがゆえに、島木は プレーボーイだけでなく、もっと踏み込まなければ。

    『特等席』
    おでん屋の木綿子。美人でどこか陰があり、凛としている。
    そんな木綿子に 島木は 惚れるが、一番の特等席に さえない山下がすわっている。
    その山下は、妻子とも分かれ、ひとりぼっちで 生活していた。
    木綿子に惚れ、無理心中を企むが、行介の何げない励ましで。
    ちょっと、心理的に飛躍があり、ムリがあるなぁ。

    『左手の夢』は、すばらしかった。☆は10個くらいあげたい。
    なんと言っても、君代だよ。そのセツナイ想い。
    そして、なんとしても、心がとどけと 願う。
    刑務所からでてきた 夫に対する 寛容でありながら辛辣な言葉。
    夫のあいかわらずの行き当たりばったり。

    『大人の言い分』
    この物語は 果てしなく 奈落に堕ちていくようで つらかった。
    理世子の どうしようもない マイナスパラレル。
    勇樹が、おもいっきり,かわいそうなのだ。我慢が爆発する。
    あぁ。島木が くどいた方が 別の展開があったのでは。

    『ちっぽけな恋』
    杉原千明。快活で、先走っている勝ち気な女の子。
    軟弱な 彼氏 芳樹。必死に守ろうとする。
    母子家庭と父子家庭。結構簡単に ハッピーエンドにもっていこうとする。
    でも、芳樹。ちょっと 千明はやめた方がいいと想う。
    それも、ムリがあるよ。

    『崩れた豆腐』
    60歳近くになると、たそがれ症候群になってしまうものなのか。
    邦子の なんともいえないような 心の隙間に、
    オカラコロッケが、花を添える。
    勇三が なんともいえず しぶくて、いいなぁ。

    『はみ出し純情』
    自分の居場所がないというのは、なんとも言えず つらい。

    『指定席』
    木綿子が 再び登場。
    木綿子と冬子が 鞘当て。
    でも、なんでそんな風になるのだ。次に続けたいのかな。
    しかし、なぜか この珈琲屋の物語 せつなすぎる。
    次作 3弾目は ちょっと、読む気が起こらないなぁ。

  • 『珈琲屋の人々』の続編。連作形式の短編が7編収録されており、そのいずれもが胸に熱く迫る物語であった。

    こんな時代だからこそ人々の心に荒んだ風が吹き、時に迷い、悩み、過ちを犯すのかも知れない。過去に過ちを犯した主人公の行介の無骨で、不器用で、極めて真摯な生き方を見ていると、ふとそんな考えが頭をよぎった。

    『特等席』『左手の夢』『大人の言い分』『ちっぽけな恋』『崩れた豆腐』『はみだし純情』『指定席』のいずれもが素晴らしい短編だった。

    最後の『指定席』では…えっ…

    続編が7月下旬に単行本で発売されるようだ。果たして文庫化まで待てるだろうか。

  • ひゃー!暗かった!!ねっとりと暗かった!
    主人公も暗ければ、住んでる商店街の人々も珈琲屋に訪れる人々も全員男女関係の問題抱えすぎ。
    なんだか一巻より、昭和の男と女の歌謡曲みたいな雰囲気が強くて、時代劇かと。東宝の映画かと。。。
    ヤクザだの地上げ屋だの、携帯電話の電話としての機能しか使わないだの、一体どこの昭和初期か。
    さらっと書いてるけど、恐喝で三万稼いだとか、そんなん気分悪い犯罪なので。警察もっと機能してほしい。

  • シリーズ2作目
    前作にも増して人々の倫理観や犯罪に手を染めるという意識のハードルの低さ
    どうも慣れない・・・
    人って向こう側へ飛び込むハードルはそんなに低くはないと思うんだけどなぁ

    ところで、朱美はどこいった?(笑)
    そのかわりに木綿子が出てきたけどね

    それはそうと、アノ終わり方はどうなん?
    まぁ、次作があるからいいけどさ
    これで完結だったらとても後味の悪い話だよな

  • 前作も気に入って、今作も読みましたがやっぱり面白い!
    大なり小なり色んな事件に心優しい行介さんと、その仲間達(?)が解決したり助け合ったり心温まる話しです。

    • ことぶきジローさん
      こういうハートウォーミングな先品を読むと、心が洗われるように思います。
      こういうハートウォーミングな先品を読むと、心が洗われるように思います。
      2017/06/11
    • 旅猫さん
      そう思います!
      ハラハラするミステリーも面白いですが、たまにこんな作品も落ち着きます。
      そう思います!
      ハラハラするミステリーも面白いですが、たまにこんな作品も落ち着きます。
      2017/06/11
  • 続編が出ているとは…。珈琲屋に通う人々、一人一人の悲喜交交、、。二人の距離は相変わらずなんだねぇ♪。

  • 小説推理2011年4,5月号:特等席、7,8月号:左手の夢、10,11月号:大人の言い分、2012年1,2月号:ちっぽけな恋、4,5月号:崩れた豆腐、7,8月号:はみだし純情、10,11月号:指定席、の7つの連作短編を2013年5月双葉社刊。シリーズ2作目。2015年5月双葉文庫化。殺人で服役した過去を持つ主人公という設定部分が重いが、それは、事情を知る誰もが、一目置くという意味が強く、主人公を取り巻く人々との人情話。コミカル色も感じられ、楽しく読めました。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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