図書室のキリギリス (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
3.49
  • (22)
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  • (10)
  • (4)
本棚登録 : 714
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575518184

作品紹介・あらすじ

バツイチになったのを機に、資格を持たない"なんちゃって司書"として高校の図書室で働きはじめた詩織。慣れない仕事に戸惑うものの、生徒たちと本の橋渡しをしたり、謎めいた本の来歴を調べたりするうちに、次第に学校司書の仕事にやりがいを覚えるようになる。-自分の道を歩きはじめる女性と、読書を通して世界を広げていく高校生たちの姿が爽やかな感動を呼ぶ、ハートフルブックストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽教師の友人からの紹介で資格はないが学校司書として図書室へ勤めることになった詩織。男子学生が自分と同じ誕生日に亡くなったカメラマンである星野道夫さんの最後の写真を探しに図書室へやって来る。詩織から渡された「旅をする木」を読んだ男子学生は後に北海道へ旅に出かける。読書を通して広げられていく彼らの世界。私もこの本と続編の図書室のピーナッツ、詩織によって読書の世界が広がった。



  • 「真っ当な司書は、好奇心で元利用者の貸出履歴を閲覧して内容を友人に漏らしたり、貸出履歴から思考や行動を分析して一面識もない元利用者に会いに行ったり、などということは決してしません。」

    丁寧な文章と人物描写、必要性に疑問のある超能力設定、図書館業務の詳しい説明、作中図書を1冊ずつ紹介した巻末附録。この本には、評価の対象になる要素は他にも色々あります。しかし本職としてレビューの形でお伝えしたいことは最初の一文に尽きます。
    本を借りたら会ったこともない司書が好奇心から貸出履歴を見て他人にも話し、こちらの思考や行動を探ってある日突然訪ねてくる。そんな図書室/図書館を誰が安心して利用できるでしょうか。
    あれが主人公の行動として肯定的に描かれていて、作中でその評価が覆されることはないと確認できた時点でもうだめでした。読書状況は「いま読んでる」ですが、これ以上読み進めはしません。

    個人情報保護の観点から、どの図書館も貸出履歴の扱いにはとても気を遣っています。返却と同時に記録を削除し、利用者本人の履歴照会にさえ応じない(応じられない)所も少なくありません。その一方、カウンターで「私が予約してる本、今誰が読んでるの?」「この本を読みたいんだけど誰の研究室に備え付けてあるの?」と訊かれることもたまにあります。
    ただでさえ知名度の割に現実と乖離したイメージが一人歩きしがちな職業なのに、悪気なくこうした誤解を広められるのは本当に困るのです。

    なまじ作者さんの図書館業務の知識や本への愛着が伝わってくるだけに、「良くないと知りつつ」軽い気持ちで職業倫理に背く司書が主人公に据えられたこと、この本がどのレビューサイトでも「理想の司書、素敵な図書室を描くハートフルストーリー」として高評価を得ていることが、とても残念でならない。

    • syoriさん
      同感です。
      フィクションとはいえ、わたしもとても残念に思いました。
      同感です。
      フィクションとはいえ、わたしもとても残念に思いました。
      2020/06/22
  • なんだかもう、夢中で読みました。

    本に触れるとそこに残った思念や感情を
    読み取れる学校司書。

    この怪しい設定は、少しも怪しくないかたちで
    とても効果的なスパイスとして、あちこちに
    振りかけられている。

    本にまつわるミステリーの数々も、
    成長してゆく生徒たちも、詩織も、
    何もかもが素敵だった。

    物語の中に散りばめられた多くの本は
    これから私の読書歴に加わるかもしれない。

    本が好きなら、三倍は楽しめる本です。

  • いまひとつ感情移入できなかった。舞台となる図書館は大好きなのに。詩織の隠れた能力が存在が中途半端になっているように思った。登場人物の設定や、題材は面白いのに残念な感じだった。

  • 前半は本にまつわるちょっとした謎を解決する、プチ推理モノ。
    1章ごとに1つの謎が出てきて、かつ1冊を通して主人公の成長が垣間見えるという構成が袖木麻子さんの「ねじまき片想い (~おもちゃプランナー・宝子の冒険~)」を思い出しました。
    後半は登場人物たちがブックトークをしているのですが、そのイベントに参加しているような気持ちになれました。

    主人公は高校の図書室で働くことになった”なんちゃって司書”。
    学生時代から図書室が好きだった私にとってはある意味「憧れの存在」です。
    自分の通っていた高校の「司書さん」(←今となっては学校司書だったのか、司書教諭だったのかわかりませんけど)をふと思い出しました。
    図書室の間取りも勝手に母校の図書室のようなところを想像しながら読んでいました。
    また作品に出てくる登場人物たちと私との共通点がたくさんあったので、余計に自分が高校生に戻ったかのような感覚になりました。

    中でも翻訳家を目指している「楓ちゃん」は、今も英語の勉強を続けている私にとっては「仲間」でもあり、「ライバル」のような存在に感じました。
    その彼女がブックトークで話していたことがとても印象に残っています。

    「もともと受験勉強のために始めた英文和訳なんですけれど、最近は翻訳自体が楽しいです。極端な話、大学に入れなくたって翻訳を続けてたらいいかなって思う。受験なんてどうでもいい、っていったら言い過ぎだけど、受験って目的じゃなくて手段なんだなって実感できた気がします。大学に入って翻訳の勉強ができたらいいと思うし、そのために勉強も頑張るけど、あたしにとって大切なのは翻訳が好きだってことで、受験勉強はその好きって気持ちに気づくためのものだった気がします。」

    高校時代、その好きなことをみつけたいってどれだけ思ったことでしょう。
    それがわかればその道を目指して、がんばれるのに!って思っていました。
    なのでこんな風に語る「楓ちゃん」をとっても羨ましく思いました。
    「私もそうなりたかったのに!!」って。

    でも人を羨ましがっていても仕方ありません。
    自分もそうなりたいなら、今からでも頑張るしかないのです。

    私は「楓ちゃん」のように強い動機をもって英語の勉強をしているわけではありませんが、
    彼女の目標を達成しようとする姿勢を見習って、もっと努力しなきゃいけないなという気にさせてくれた作品でした。

  • 素人の学校司書と言いつつ、すごい読書量と豊富な知識を持つ主人公。さらには特殊な能力も効果的に活用して、あっという間に司書としての存在を確立していく。
    竹内真さんのサクセスストーリーは元気のない時にパワーがもらえる話が多いので、今回もそれを期待して読んで、それなりに楽しめた。
    図書室に来る生徒だけでなく、友人つぐみ、元夫、校長先生、若森先生、永田さんなどとの関係にもう少しふくらみがあるかと期待したけど、本によって成長する高校生が主役ならばこれもありかと納得。
    巻末付録として、文中に出てきた作品の解説があったが、残念なことに手に取ったことのある本がほんのわずか…私の読書なんて、本当に一部の一部なんだとわかってはいるつもりだったけど、突き付けられた。

    まぁでも、数少ない楽しみで細々続いている趣味の読書なので、こんなことで嫌になったりあきらめたりはしなくていいか…など、何を中途半端に影響受けてるの?と笑われそうな読後感を持った本だった。

  • 初めは成り行きで、学校司書として働き始めた詩織が、先生や生徒との会話で出てきた本や映画をすぐに読んだり見たりしようとする行動力、興味のアンテナ感度の高さを尊敬する。

    本を通して人に出会い、人を通して本に出会う。
    そんな素敵な連鎖を、ワクワクしながら読んだ。
    本や図書館が好きな人はもちろん、あまり本を読まない人へのブックガイドとしてもオススメ。

    • ユラさん
      図書館が舞台となっているお話が好きなので、今度読んでみたいと思います。
      図書館が舞台となっているお話が好きなので、今度読んでみたいと思います。
      2017/09/12
    • もちこさん
      >ユラさん
      ぜひ読んでみてください!学校図書館ならではの、生徒たちとのやりとりも楽しめます♪
      >ユラさん
      ぜひ読んでみてください!学校図書館ならではの、生徒たちとのやりとりも楽しめます♪
      2017/09/12
  • 自分が昔憧れた、図書館で働くということ。

    実際は司書ではなくて、パートとして年間契約で高校で働くことになったという話なのだけど。

    気になる点を最初に提示してくれるので、その話がいつ、どこで出てくるのか興味を持って最後まで見ることができた。

    夫婦(離婚)のこと、前の司書の人の話、わけありな高校生たち。

    ちょっとしたミステリー風にしてくれるから、もちろん殺人事件なんておきないし、ミステリーといったって日常レベルのことなんだけど、それが逆におもしろいわけで。

    図書館という、学校の中でも少し特別な場所だからこそ。
    広がる世界があると思えた。
    こんなこともできるんだと、司書の仕事のおもしろさにも気付けたし。実際はこんな上手くはいかないとは思うけどね。。

    それでも、最初と最後では主人公の言動にも違いが出てたし、その象徴として描かれる夫婦関係が、結果的にはよい着地点で(円満という意味ではないけど)よかったと思う。

    個人的には好きなタイプの話でした。

  • 実在の書籍が多数紹介され、すごく読書への興味を引き立てられる1冊。図書館を舞台にした作品は様々ありますが、本作は高校の図書館(というより図書室)であり、主人公も素人司書。主人公そして生徒と一緒に図書室のあれこれを解決していく感覚がある。私自身中学高校と図書委員をやっていたので、懐かく感じながら読み進めることができた。いい本でした。

  • 文庫化を待ってた本。
    単行本の評価が、不思議な感じたったのだけど、文庫化して読んでみてなるほどと。
    とても良い本だったし、本を通して生徒たちが少しずつ変わっていく様も良かったし、ブックマークコンテストも楽しそうだった。
    ただ、詩織の妙な能力は物語には不要な気がする。
    後半はほとんど、その能力は出てこないけど冒頭部分で出たときは「どんな内容なんだ」と怪訝に思った。

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