- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575518184
感想・レビュー・書評
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文庫化を待ってた本。
単行本の評価が、不思議な感じたったのだけど、文庫化して読んでみてなるほどと。
とても良い本だったし、本を通して生徒たちが少しずつ変わっていく様も良かったし、ブックマークコンテストも楽しそうだった。
ただ、詩織の妙な能力は物語には不要な気がする。
後半はほとんど、その能力は出てこないけど冒頭部分で出たときは「どんな内容なんだ」と怪訝に思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本を触ると人の思念を感じる事が出来る詩織。
夫が失踪して3年、離婚が成立したのをきっかけに、学校司書として働きだします。
生徒達と本を通して生まれていく交流に心温まり、日常の謎解き要素がたっぷりあるので、一緒にワクワク考えたり、一気に読み進められました。
何より本の楽しみ方の幅広さを改めて知れた事が、
☆5つの理由です。
作者がそのタイトルをつけた理由を考えたり、
関連する本を読んで世界観をより深く理解したり、
1冊の本をじっくり楽しむ方法がたくさん出てきて、
速読気味の私には目から鱗!!
特に、一つの本を色んな役割分担で検証して、深く理解する「リテラチャーサークル」とってもやりたくなりました!!
お話の中に、実在の本が何冊も登場するので、
読みたい本が増えるのもお勧めの理由です。 -
先に2巻である図書室のピーナッツを読んじゃったので、1巻であるこちらを読んでみてる。
そういえば、小学生になると途端に何年生?だわ。
西暦と学年が他人の基準だなんて考えたこともなかった。
かつてはこの道を進むことができたのだ。そして今は来た道を振り返ることができた。それを丸ごと受け入れて、この先へと進んでいきたい。
なぜか分からないが響いた言葉。
ピーナッツを読んだ時も思ったけど、よく分からないなというのが正直な感想。やっぱり読みにくい。 -
学校司書のお仕事良いなー!と素直に思った作品。
ここまで図書委員会に力を入れている学校ばかりでは決してないことは分かっているが、是非この直原高校の図書室で働いてみたい、もしくは生徒として図書委員会に入りたかったなと思いました。
出てくる作品のほとんど知らないけれど、興味が湧いてくるし、知らなくてもその世界に少し触れられるので問題なし! -
「なんちゃって司書」になった主人公が高校の図書室(館)で働くお話。生徒たちの若さやキラキラしたものが感じられる内容でした。このキラキラ青春感、小説だからこそ純粋に楽しめるものの1つだなと思います。
残留思念を読み取れる不思議パワーの設定はなくても大丈夫な気もしますが、本を読んで語る楽しさがぎゅっと詰まっている内容でした。 -
図書館があったのは隣の学区だった。
大人にとってはなんてことない距離だけれど、
子どもにとってはちょっとした距離だ。
自転車に乗って20分くらい。
いつの頃からか忘れたけれど、
週末になると僕は図書館に通うようになった。
はっきりと覚えているのは小学校の高学年、
たぶん2~3年生くらいから通っていたのではないか。
ちょっとした距離が気にならないくらい、
図書館は喜びにあふれた場所だった。
寝っ転がれるスペースで漫画や本を眺めたり、
時には上映される映画や音読会に参加したり。
そして何といっても、たくさんの物語と出会った。
お気に入りの作家さん、
お気に入りのシリーズの棚を回った後も、
面白い本を探して書棚の周りをぐるぐると巡る。
どこにどんな本が置いてあるか、
ほとんど記憶していたから、
本の大きさがデコボコの違う以上に、
僕にとって各書棚は立体的に見えた。
作家さんが描く物語の世界が、
本から吹き出ているような印象。
どこにどんな本があって、
このコーナーはこんな物語たちで、
こっちにはちょっと毛色が違うこんな物語があって、
なんて今でも鮮明に思い出すことができる。
マガーク探偵団シリーズ!
だから作中でそのタイトルが出てきたとき、
僕の頭には子どもの頃通った図書館の姿が蘇った。
黄色を基調とした本の感じ、あの特徴的なイラスト。
作者は1970年代生まれ、なるほど同世代。
江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは、
はらはらドキドキさせられた。
アルセーヌ・ルパンシリーズは、
ちょっと大人になった感じを味わった。
マガーク探偵団シリーズは、
同じくらいの子どもたちが、
日常のちょっとした事件を解決していくんだよな。
小林少年のような完璧さでなくて、
欠点も弱点もある個性的なメンバーが集まり、
それぞれの長所を活かすところもよかった。
他にも本好きにはたまらない逸話が溢れる。
図書館の物語は、やっぱり面白い。 -
この物語に出てくる人物、作者、みんな本が好きなんだなと思いました。巻末にブックトークがついていましたが、物語を読んでいるだけで「この本読んでみたいな」と思わせてくれます。
残念ながら学生時代に図書室には縁がなかったので、図書室がこんな場所なら行ってみればよかったなと思います。 -
夫と離婚し、職も失った詩織は、友人のつてで高校の図書館の司書の契約職員となる。とても有能だった司書が突然やめてしまった高校で、校長や図書委員の学生たちと、本の楽しさを伝えるべく奔走する。
数ヶ月前に、某所でこっそり書いている小説のネタとして、架空の小説の読書と、実際の生活の中と、実際の書籍との比較などを、書評型小説という形にするのも悪くないなと思いついたところだった。本書の1作目でとある本と、そこから派生する別の本によるインスピレーションというところが、同じような話であったので驚いた。
本作は、双葉文庫で柔らかめのイラストが表紙ということから、ライトノベルのようなものかと手にとったのだが、全体にはお堅くない普通の小説である。難しい人間関係もなく、作者は本が好きという雰囲気は、そこかしこから漂っている。
本作の中では、やはり『小さな本のリタ・ヘイワース』が白眉。大人の読者にとっては、ちょっと幼稚と取られるかもしれないものの、もととなったスティーブン・キングの『塀の中の~』をうまく取り入れて書かれた、小さな謎解きの話である。
後半数作は、むりくり引用を多用したところがあり、読んでいてちょっと息苦しかった。ワタシは他のレビューでも、書評に引用はしない。
全体に文章は柔らかいのだが、会話に入ってストーリーを進めようと前のめりになっているところが多々見られ、逆に地の文のリズム感がおろそかになっている用に見えた。これはワタクシ自身の書いているものも同様であるので、改善していかなければいかんなあ。
また、「残留意思」という超能力を有することを序盤に入れ込んで来て、中高生向けの話だと仕方ないかなあ(大人向けなら余計な設定でしか無い)と生暖かく見ていたのだが、ストーリー全体を通して、結局はそれ必要か?となってしまったので、蛇足要素でしかなかったのは残念。無いほうが良かった。
ま、最初の何本かは、読書初心者にも楽しめる内容となっているだろう。中高生にもおすすめできる1冊である。