蛇行する月 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575518948

感想・レビュー・書評

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  • 桜木紫乃さん特有の終始陰鬱な雰囲気が流れ、内面に様々なものを抱えながら生きる6名の女性の関係性を時系列で描く。中でも高校時代の図書部員であった個性的な4人を中心に、所々出てくる駄目な男たちがさらにストーリーに陰鬱さに際立たせている。
    途中から順子を中心に物語が展開。他者から見ると終始何かしらの問題を抱えながら生きている登場人物達から感じ取り方は人それぞれ違うのだろう。

  • 何かしら繋がってる(同級生だったり母親だったり)6人の女性が幸せや生き方に焦点をあてた連作短編集。桜木さんって普通の女性の普通に持つであろうちょっとダークな心情を掘り下げて描くのがすごく上手。20代から50代の女性が短編の主人公になっていてその世代に直面する問題が共感できる。全編に出てくる妻子ある男と逃げ貧しい生活をしながらも「幸せ」と言い切る順子。その姿を見て納得できない友人たち。現実に順子みたいな人を私は知らないけどいるんだろうか?? 読み応えのある本でした。

  • 釧路の高校を卒業してまもなく、二十以上も年上の和菓子職人の男と駆け落ちした順子。親子三人の貧しい暮らしなのに「私は幸せだ」と伝える彼女に、高校時代の仲間と母親、そして捨て置かれた女性の心情を描く連作小説。
    「しあわせ」という価値観を改めて考えさせられる。人生に行き詰まった時に見えてくる客観的な自分という存在が、誰かに必要とされているのかどうか。他人との比較では、決して幸福とは思えない順子が、なぜ素直に幸せと口に出せれるのか。とても深い人生論を教えてもらった。

  • こちらも短編集なんだけど、みんな高校の同級生という1冊。友達なんだけど、私より幸せなことに苛立ちを感じる、、というちょっと女の嫌な一面がメインな感じ。もがいてやっと掴んだ、幸せだと思っていたものが崩されるような…やはり幸せって条件じゃないんだと思う。重い話ってわけではないけど、自分は将来この人たちの中の誰に当てはまるんだろうって、見えない不安を感じさせられた。

  • 高校卒業後に年上の既婚者男性と駆け落ちした順子。転々と逃避行をしながらも、自分は幸せだとなんのてらいもなく無邪気にまわりに伝えてくる彼女に、不審なり疑問なり優越感なり友情なり、何らかの気持ちを抱いて関わってくる同級生や回りの女性たち。
    順子のかざらなさ、幸せと言い切れる真っ直ぐさに、それぞれが惹かれ、悩み、自分の幸せを探し始める。
    はたから見たら、決して幸せそうには見えない貧しい生活のなかで、強がりではなく幸せと言い切れる順子の純粋な強さ、愚かさ、魅力。
    幸せとは人と比べることではなく、自分が幸せと思えればよいのだろうけれど、つい比べてしまうんだろうな。比べない順子は、今なかなかいないタイプ。自分の生き方や幸せ感についても考えさせられる小説だった。

  • なんかこう、普通の人にもいろいろあるよねな感じが気に入っている

  • まっすぐ生きることって、難しい。
    蛇行して、色々巻き込んで、最終的にどこに辿りつけば、しあわせと言えるのかな。

  • 釧路の高校を卒業してまもなく、20歳以上も歳上の菓子職人と駆け落ちした順子。親子3人の貧しい生活を「しあわせ」と伝えてくる彼女に、それぞれ苦悩や孤独を抱えた高校時代の仲間たちは引き寄せられる。
    自分にとっての本当のしあわせを問い続ける彼女たちが綴る、順子という女性を軸にした短編集。

    前に読んだ同じ桜木紫乃さんの「星々たち」と似た匂いがする作品。
    軸になる人物が1人居て、その人物と関わりのある(あった)人たちがその人物について語る。だけど最後までその人物が語り部になることはなく、本心を掴むことは出来ないまま物語は終焉する。
    その「分かったような、分からないような感じ」がまさしく、この世界に生きていて日々感じることなのだと思う。
    誰かのことを見てその心情を想像することは出来ても、その人にならない限り本当のことは分からない。

    順子という女性は、他人から見ると恐らく幸福には見えない暮らしをしている。駆け落ちして、その後の生活はずっと安定せず貧しいままだ。
    彼女は高校時代の友人たちにしばしば手紙や葉書を送る。そこには「私は今とてもしあわせだ」と綴られている。
    それは強がりや見栄なんかではなくて、きっと彼女の本心だ。
    彼女は幸福の基準をあくまで自分の中だけで測れる強い人で、他人と比較することにはそもそも興味がないのだ。
    だけど順子を取り巻く女たちは、他人と比較することで自分の幸福を測る。
    だから順子が「しあわせだ」と言い切ることに疑問を覚えるが、同時に強く嫉妬しているのだとも思う。

    6つの章に分かれている短編集で、4つは同級生、1つは順子の母親、そして残る1つは順子の人生を語る上では外せないとある人物が語り部を務める。
    全員女性。だからこその少しずつの醜さや嫉妬、打算が見え隠れする。
    ただそこにあるのは日々を必死に生きようとする女たちの姿なのだけど、誰かと較べずして自分のことを「しあわせ」と言い切るのはとても難しいのだということを感じる。

    女が、ものすごく冷めた感情で男のことを観察するように見る描写も所々に。
    それはもはや、彼女は彼に盲目状態ではない、ということ。

    自分のことを「しあわせだ」と言い切れる人が言葉通り一番幸福なのかも。周りの人間が、どう思おうとも。

  • 桜木紫乃さんの本。
    まだまだ読んでいないものがあります!

    「何が幸せ?」なんてわからない!
    いつもまっすぐな「順子」の生き方に影響される
    6人の女性たち。

    丹念に丹念に、微妙な女心を描いています。

    あとがきにも書いてありますが、
    この6人+1人の7名の女性たち、
    どれも「好き」にはなれない。
    でも「共感」はできる。
    その一筋縄ではいかない感じが
    まさに「蛇行」なんです。

    みんな違って、みんないい。
    そして、みんな、海に向かって突き進む。
    女性の生き方はそれでしかないのだ。

  • 同級生6人、それぞれ比較仕合いながら自分の求める幸せとは?自分の進むべき道は?と考えながら何かに気付く物語り。あぁ~若い時、そんな感じだったわ~て思った。短編なんだけど1人の同級生を中心に上手く繋がってる。誰とも比べず、背伸びせず、見栄もなく「自分」というものをシッカリ持ってる人は強いよね。流されず、自分だけの幸せの基準を持ってる人は例え他人から下に見られても強いよね。とても静かな物語りだったけど、良い本だなぁ。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。『ワン・モア』『起終点駅(ターミナル)』『ブルース』『それを愛とは呼ばず』『霧(ウラル)』『裸の華』『氷の轍』『ふたりぐらし』『光まで5分』『緋の河』等、著書多数。

「2020年 『砂上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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