暗黒女子 (双葉文庫)

  • 双葉社 (2016年6月17日発売)
3.72
  • (163)
  • (323)
  • (278)
  • (53)
  • (4)
本棚登録 : 3415
感想 : 251
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784575518955

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いわゆるイヤミスと言われるミステリー。
    でも、読後感が胸糞悪くなるという感じではなく、ブラックなミステリーでイヤミスとは思いませんでした。

    設定は、女子高でカリスマ女生徒のいつみが屋上から落下し死亡。手にはすずらんの花。
    自殺なのか他殺なのか?

    集められた文学サークルのメンバが、闇鍋をつつきながら、自らが書いた小説を朗読し犯人を指摘していくというモノ。
    なぜ、闇鍋?(笑)

    それぞれが語る小説では、ドロッとした女子同士の人間関係から、犯人がこの人って語っていく形です。
    どこまでが事実で何が創作なのか。

    それぞれの語る小説で、事件の真相が明らかになると思いきや...
    最後の最後で明かされる真相。
    なるほど、そうきたか、やられた!!って感じ。

    これ、面白かったです。
    闇鍋の理由もわかります。

    エンターテイメントとして楽しめました。
    映画化もされているんですね。

    お勧めです。

  • 最近読んだ作品の中でも特に素晴らしかった。
    ゴシックな世界観が大好きなのも相まって世界観に酔いしれてしまった。ワインを飲んでいるような酩酊感。あまりに美しいラスト。
    こういう作品が、好きだ。全く話は違うのに何故が下妻物語を思い出した。
    女性同士の友情。こう言う形があってもいいじゃないか。美しいじゃないか。作品にもあった通り、完璧じゃつまらない。少しの歪さがあってこそ美しいのだ。
    すずらんから導かれる様々な考察──。どれも美しく魅了される物語りだったけれど、やっぱり真実こそが1番美しく魅惑的だった。
    ワインを飲みながらチョコレートでも摘みたくなる、そんなお洒落で毒々しい物語りでした。

  • 結末は予想しなかったものでした。それぞれ書いた小説は誰かを犯人としていて、順番に読み進めて行くと真犯人が分かる流れかと思ってた。

    白石いつみの小説を読んでいて、「慎二さん」と名前が出てきて、ん?!教師と生徒の関係?!…北条先生か??短期留学に同行はしてて、影薄かったけど男性は他にいなかったよな…

    とすると、二人の関係が発覚していつみを殺すとしたら…父親?!でも、突き落とした事を匂わせる描写はなかったような…

    え?死んでなかったの?!自分から飛び降りた?!…何で?!

    まんまと思考回路を壊されました。戸惑って狂わされて、頭の中がまとまらずに読み終える感じ笑。ストーリーの設定や小説で気持ち悪い状態がずっと続き、読み終えてもスッキリとはならず"イヤミス"っぷりはさすがでした。

    結末を知ってしまったので残念ですが、映画を観たいと思いました。映画のカバーが付いていて、女子生徒役の女優が並ぶ中に千葉雄大が一人。そういうヒントになってたわけね笑。

  • 美人で賢い女子高生の醜い闘い…
    皆んな女王様やん!
    容姿はともかくとして、賢いとは思えんな。成績優秀とか、そんなんだけで、ほんまの意味の賢い子はおらんって感じ。
    もう、お金持ち、容姿端麗、成績優秀だけで、満足しなはれ〜
    私なら、それだけで充分満足(^-^)v

    ここに出て来る女子高生は、外見は美しいけど、中身はあかんな…
    容姿いずれは朽ちていくんやから、朽ちない中身を磨いて欲しいな。
    大どんでん返しみたいなのはあるけど、周りが敵ばっかりなんで、あり得るといえばあり得る。
    裏切りばかり…しんどい学校や!
    良い友達作って、楽しい学校生活して欲しいと切に願います!

    愚痴は言うけど、スラスラ読めて、ええ感じの後味でした〜!(どんな後味かは…です)

    人の事言ってる場合ではなく、私も磨かんと!

  • 名門女子校の光と闇の描写がスゴイ 魅力的な女子高生たちが、秘密の小説を書き綴る鬼怖イヤミス #暗黒少女

    名門女子高の文学サークルで発生した過去の事件。部員が集まった定例会では、その事件に対して一人ずつ証言をしていくことになった。果たして事件はどういった真相だったのか、うら若き彼女たちの闇が垣間見えて…

    純粋に面白い作品ですね。独特の構成ながらも、良くまとまっていて楽しめました。
    そしてイヤミスではありますが、それほど胸糞悪くなるわけでなく、バランス感も絶妙!素晴らしい。

    世界観の描写がとても上手で、女子高校生独特の人間関係、文学サークルや建物など、学生たちの憧れ空間に立ち入れたようで、ドキドキしちゃいました。
    しかしそんな環境にも関わらず、物理的にも心情的にも閉ざされたで空間で繰り広げられる定例会では、女子高生たちの鬼のいがみ合い。怖すぎですよっ

    そして本作の読みどころは、やっぱり個性あふれるメンバーたち。
    それぞれの背景や信条がある中、正直な思いと、隠されている嘘が見え隠れして、まさに暗黒少女の怖さが伝わってきます。

    最後もミステリーらしくきれいにまとまっていてGOOD たださすがにリアリティが欠けている気もしますが、エンターテイメントとして高品質、バッチシですので、全く問題ないと思いました。

    バランスのとれた、とても楽しめるイヤミスです。おすすめです!

  • 主人公いつみの死と、彼女にまつわる少女たちが書いた【小説】によってそれぞれの視点から死の真相〈推察〉を独白していくという展開。

    しかも、なぜか闇鍋をしながらという設定付きで…。この時点で相当怪しく、正直薄っぺらい珍劇を観せられるのでは…と読み進めてみると、なかなか面白いではないか。

    最後の結末はある程度予想出来つつも、やられた感を以って読了。

    ミステリーエンターテインメントショーと捉えれば、私としては合点がいく作品だった。

  • 暗黒女子て...。私はこのタイトルと表紙を小馬鹿にしていた。否、猛省する事となる。

    華やかさと綺麗な言葉遣いが逆に薄気味悪い。不穏な世界観に夢中になっていた。

    闇鍋のツッコミは皆が通る道だろう。

  • 秋吉理香子『暗黒女子』双葉文庫。

    面白い構成のサスペンス風イヤミス。

    名門女子高の文学サークルのお洒落なサロンが舞台。文学サークルを創設した美しく、聡明な女生徒の白石いつみが死亡する。その1週間後にメンバーが集められ、闇鍋を楽しみながら、メンバー各自が白石いつみを題材にした自作の短編を朗読していくのだ。

    少しずつ明らかになるメンバーたちの心の闇と白石いつみの本当の姿と死の真相。

    最後の最後に。何たることか……

    本体価格611円(古本110円)
    ★★★★★

  •  ミッション系女子高の文学サークル。このサークルの中心人物で、学院経営者の娘でもある美貌のいつみが謎の死を遂げます。
     死後1週間、メンバーたちはサークルの定例朗読会で「いつみの死」をテーマにした短編小説を順に語っていく形式が、本書の大きな特徴です。
     お互いに矛盾だらけの告発をし合い、多くの伏線が張り巡らされているようです。そもそも小説なので、語った内容が真実なのか虚構なのか、読み手にも混乱を生じさせます。
     留学生の朗読(小説)に、「日本の女子校は異空間。表面では無関心を装い、笑顔で他愛ない会話をしながら主導権という糸を引っ張り合っている」という的を射た表現があり、女子同士のドロドロの世界を助長するようです。
     イヤミスと呼んでいいのか分かりませんが、衝撃的な結末でした。最後まで真相が不明で、現実離れの世界観もあり、恐怖感よりは唖然とした気持ちが強かったです。
     いつみは万人に憧れられる女神か、それとも悪魔か? サークルメンバーの言動の真偽は? 物語の構成と設定、人物造形が魅力的でした。

  • 初めての秋吉理香子さん。まずは出世作らしいこちらから。
    美しい語り口調から始まり、6人が朗読小説を読む。みんなの証言の食い違いがおもしろく、どんどん物語に引き込まれた。
    美しく、恐ろしい女学生たちを覗き見し、最後はお決まりのゾワゾワーっを見事にくらいました。
    美味しいお菓子と紅茶をいただきながら読みたいイヤミス。
    イヤミスはもちろん、美しい女子高生、文学サークル、お洒落なサロンなど憧れの世界観も相まって、大変好みの作品。ご馳走様でした。

    個人的には表紙がもっとお嬢様学校の気品さや文学サークルをイメージさせるような表紙だと手元に置いておきたいと思える一冊だなぁと思った。まぁ題名が【暗黒女子】なのだけれども。

    「それではみなさま、ごきげんよう。」ゾワゾワ-!

全251件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ロヨラ・メリーマウント大学院で映画・TV製作の修士号を取得。2008年、短編「雪の花」で第3回「Yahoo!JAPAN文学賞」を受賞、翌年、同作を含む短編集『雪の花』で作家デビューを果たした。ダークミステリー『暗黒女子』は話題となり、映画化もされた。他の作品に『絶対正義』『サイレンス』『ジゼル』『眠れる美女』『婚活中毒』『灼熱』などがある。

「2021年 『息子のボーイフレンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

秋吉理香子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×