- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575520736
感想・レビュー・書評
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ため息しか出ない、一冊。
これは読ませてくれる時代ミステリだった。
一話目の表題作からいきなり心つかまれる。
ねじれた関係、真相には感嘆のため息しか出なかった。
二話目の「血みどろ絵」の真相はもちろん、ラストの一文にもため息吐息。
この一文に凝縮されたような思いが心を揺さぶる、この感じが良かった。
「虫酸」の裏側に隠された真相にも驚きと共にせつなさのため息吐息。
扉のそのまた向こうに隠された小さな扉…開ければため息と予想外のものを味わえる、そんな作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第22回(2000年)小説推理新人賞受賞作の影踏み鬼と4つの短篇を収めた初短篇集を2001年12月双葉社から刊行。2004年3月双葉文庫化。2018年1月新装版を双葉文庫刊。時代推理もの。巧妙などんでん返し的な部分もあり堪能できるのだが、人の闇を描く部分で、気が滅入ってしまう。
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翔田寛『新装版 影踏み鬼』双葉文庫。
『書店員さんが選んだもう一度読みたい文庫 時代ミステリー部門第1位』という帯に惹かれて読んでみたものの今一つの作品だった。及第点は表題作の『影踏み鬼』くらいか。表題作の他、『血みどろ絵』『虫酸』『藁屋の怪』『奈落闇恋乃道行』の5編を収録。 -
江戸末期、市井のありきたりの人々が、ただ身の丈の生活をすることがどれだけ大変であったのか思い知る。そんな中でも人は捨て身の恋に身を焦がし、金や恨みのために人間であることをやめ…。ホラーと言っても差し支えないほどの人間の心の痛々しさをうっかり自分の中に取り込んでしまったら最後、暗闇や匂いまで感じながら、キリキリと締め上げられる苦痛に耐えて読み進めるしかない。こんなにがっちりつかまれるのに、ラストには翻弄され、これが紛れもないミステリであることを思い知る。そんな短編が5つ。選べないほどどれも良かった。大満足。
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翔田 寛の短編集、表題となった『影踏み鬼』ほか4編を収録。全て、江戸や明治の時代ミステリ。
『影踏み鬼』は、翔田氏得意の誘拐もので、なぜ犯人は金を取りに来なかったのか?
また、なぜ、裏の戸の閂が外れていたのか?
最後の謎解きでスッキリしましたが、話にやや無理があるかしら...
時代物ゆえ、分かりにくい言葉が出てくるのは仕方ないのですが、やや難解に感じました。