人喰い (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 197
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575521122

作品紹介・あらすじ

熾烈な労働争議が続く「本多銃砲火薬店」の工場に勤務する、花城佐紀子の姉・由記子が、遺書を遺して失踪した。社長の一人息子の本多昭一と心中するという。失踪から二日後、昭一の遺体は発見されたが、由記子の行方はわからない。殺人犯として指名手配を受けた姉を追い、由記子の同僚でもある恋人の豊島とともに佐紀子は必死の捜索を続けるが、工場でさらなる事件が起こる。第14回日本推理作家協会賞を受賞した傑作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 笹沢左保『人喰い』双葉文庫。

    第14回日本推理作家協会賞受賞作。1960年の作品というだけに流石に時代を感じるが、大昔のサスペンスドラマのような展開はなかなか面白い。だが、終盤の些か焦ったような結末への展開が勿体無いし、真犯人と対峙した主人公の花城佐紀子が真犯人をもっと徹底的に奈落の底に突き落とした方が面白かったかも知れない。

    物語は姉の花城由記子が妹の佐紀子に宛てた遺書の内容から始まる。

    ワンマン社長の遣りたい放題で熾烈な労働争議の渦中にある本多銃砲火薬店に勤務する花城由記子は、社長の一人息子の本多昭一と心中するという遺書を残して失踪する。由記子と昭一との結婚を快く思っていない本多社長の妻が二人の結婚を妨害していたのだ。

    由記子の失踪から2日後、昭一の遺体は発見されたが、由記子の行方は判らず、殺人犯として指名手配を受ける。由記子の妹の佐紀子は同僚で恋人の豊島宗和と共に姉の捜索を続ける。

    その後、本多銃砲火薬店の火薬庫で爆発事故が発生し、本多社長の妻が死亡。さらには本多社長自身も何者かに殺害され、花城由記子の立場はますます危うくなる。そもそも由記子は生きているのか、生き延びて本多家に復讐を行っているのか……

    本体価格611円(古本100円)
    ★★★★

  • 久しぶりに懐かしいミステリー小説を読んだ気になった。普通に面白いと思う。解明のダメ出しの嵐に唸る!途中で犯人がわかったけど、どう主人公が解明して行くのか興味があって面白く読めた!
    テレビでやってそうなミステリーでした!

  • これから心中することを告白する手紙を残して蒸発した姉。しかし、遺体で見つかったのは相手の男性のみだった。その後、姉の影がちらつく連続殺人が起きる。割と王道なミステリも、昭和50年代ごろの時代風景が読み慣れたミステリと少し違う風合いになっています。

  • 内容も文体も時代を感じさせるものだった。7万円の金銭価値が不明でどう読み取っていいやら。ちょっと帯は大袈裟だったな。

  • 既に初出から60年近くが経つ、笹沢佐保氏の初期の傑作が復刊ということで、温故知新。
    プロット的には当然、今のミステリーを読み慣れている人には物足りないだろうが、まさに高度経済成長期真っ只中、日本が元気だった昭和30年代の空気が存分に感じられる。
    そして松本清張氏がこの少し前からその名を轟かせていたということも併せて考えるとより興味深い。

  • 内容は面白かったけど、時代背景と話し言葉が合わなくて読むのに苦労した。
    トリックは面白かったと思う。

  • 予想外のとこもあってよいが、ちょっと読み難い部分もあったかな?

  • 2023/7/5

  • 辛い結末。2時間ドラマのような展開。

  • 花城由記子は熾烈な労働争議が続く本多銃砲火薬店の工場に勤務していたが、ある日遺書を残して社長の息子である本多昭一と心中した。しかし、見つかった遺体は本多昭一だけで、由記子の遺体は見つからなかった。妹の佐紀子は姉を探しに恋人の豊島にも応援を頼むが、仕事で2、3日は行けないと言われる。
    姉は自殺に失敗して怖くなり逃げたのではないか?という憶測が飛び交い、約2週間後に社長の妻を巻き込み工場内で爆破事故が起こる。そこでは、犬猿の仲である豊島と美土里が由紀子を見たという目撃情報があった。
    さらに現場には由紀子のスプリングコートとストール、ボストンバックが置いてあった。
    さらに数日後には、社長が自殺か他殺か分からない形で死亡する。
    ナイフを買ったのはマスクをしたスプリングコートを着た女だとお店の人は証言する。
    佐季子は豊島と一緒にあらゆる、推理を組み立てるが真相に近づけない。ついに犯罪者の妹として勤めてる銀行を首になる。
    誰が犯人か謎がつかめないまま、退職の前日に刑事が訪れ、姉の遺書を渡そうとしたがないことに気づく。同日、美土里も工場を退職し向かった先は婦人科であった。
    美土里には3ヶ月の子どもがいて、豊島は唯一佐季子の家に上がったことから遺書は豊島が盗んだことが判明する。
    恋人だと思っていた豊島が犯人だったことから、靄がかかり真相に辿り着けなかった。また、豊島と美土里が犬猿の仲である芝居をしていたことから周囲も誰一人疑うことはなかった。
    2020/02/10 12:12

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著者プロフィール

1930年生まれ。1960年、初長篇『招かれざる客』が第5回江戸川乱歩賞候補次席となり、本格的な小説家デビュー。 1961年『人喰い』で第14回日本探偵作家クラブ賞を受賞。 テレビドラマ化されて大ヒットした『木枯し紋次郎』シリーズの原作者として知られ、推理小説、サスペンス小説、恋愛論などのエッセイ他、歴史書等も著し、380冊近くもの著書がある。2002年、逝去。

「2023年 『有栖川有栖選 必読! Selection11 シェイクスピアの誘拐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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