拳に聞け! (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
3.62
  • (4)
  • (1)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 49
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575521276

作品紹介・あらすじ

芸人になることを諦めた池上省吾は、便利屋でアルバイトをしていた。ある日、古びたボクシングジムの前で佇む女性を見かける。聞くと、ジムに立ち退きを迫っているらしい。一枚かんで金儲けをしようとジムに通うようになる省吾だが、そこでひとりの若いボクサーと出会い、ボクシングに魅力を感じ始める。やがて省吾自身の中であることが……。『罪の声』の著者が、綿密な取材を重ねて描いた意欲作。息を詰めるボクシングシーンや人物の深い心理描写はまさに圧巻!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 著者初読み。大阪の貧乏ボクシングジムを舞台に青年ボクサーの成長とうらぶれた中年の再生を描くスポ根人情もの。題材のボクシングを差し置き、パンチの代わりにこれでもか!とボケとツッコミの応酬を繰り広げる登場人物たちだが、その所為で肝心の物語はかなり大味で予定調和。しかし、クライマックスに待ち構える因縁試合のカタルシスには思わず胸が熱くなった。未読ながら「罪の声」の硬派なイメージとは大凡結び付かない作風に驚くばかり。作中で少年隊の楽曲「湾岸スキーヤー」をしつこくいじり倒すシーンはさすがに笑ってしまった。(^ ^)

  • 何より塩田さんの作品の醍醐味はリズム。
    関西弁のつらつらと音になって耳から入ってくるかのようなリズム。迫真のボクシングシーンは文章を読んでるとは思えないほどジャブ、フック、アッパーがリズミカルに繰り出される絵が浮かぶ。そして何より。登場人物の造形が新喜劇みたいに愛すべきキャラクターで活き活き動いてくる。そして最後はいつも予定調和でなくじんわりじんわり心が温かくなる。読んで楽しい一冊です。

  • サイン本に釣られて購入しただけなのに。ツボでした。

    芸人の話もボクシングの話も今やあちこちに転がっていて、ちっとも珍しくはありません。冒頭では『火花』や『笑う招き猫』を思い出し、二人組の便利屋が登場すると『まほろ駅前多田便利軒』、そしてその後は当然『ボックス!』を思い出す。下町の雰囲気に『泣いたらアカンで通天閣』が頭をよぎり、ところどころ『戸村飯店 青春100連発』まで連想する。それなのに、寄せ集め感はゼロ。ちょっとそこいらにはおらんぐらい素直な少年の夢に大人が乗っかりまくって、みんなが再び夢を追いかける。読み終えたときには彼らと一緒に3年間を過ごした気持ちに。

    読み手を置いてけぼりにしない熱さがありました。どストライク。あくまで私にとっては、ですけれど。

  • いわゆる鉄板ストーリー。関西弁だし読みやすい。

  • 読み終わった時。思わず何かに挑戦したくなる作品。胸が熱くなる。文字通り命がけで取り組む姿が美しいのだと、結果だけが全てではないと教えられた。

  • BGM ダメージ / BARBEEBOYS

  • ボクシング関係のコンテンツは好きで(詳しいわけではないです……)、映画や漫画などは良く手に取っていましたが、ボクシングを題材にした小説は「西野に世界は無理だろう」という作品しか読んでいなかったようです(ブクログの記録調べ)。

    で、本作を手に取ってみたのですが、ボクシング小説というよりは一度挫折した人達が再び立ち上がるお話という印象が強いですかね。

    中心になっているのは勇気のボクシング話ですが、主人公の省吾や優香、貞次郎など、各登場人物にたびたびスポットライトが当たることがあるので、群像劇かな、と。彼らに共通しているのは、人生において何かに躓いて一度は諦めた何かを再び目指すところだったので、先のような印象を抱いた次第。

    なので、最初はボクシングの話だけを期待していたために肩透かしを食らってしまいました。しかし、節々に差し込まれた笑いの要素がじわじわとボディブローのように響いて来、登場人物に特別な才能を持った人がいないという等身大なところに由来する共感から、少しずつ作品に没頭していきました。

    終盤の勇気のボクサーとしての急成長は少し出来すぎに感じましたが、クライマックスの日本タイトルマッチは固唾をのんで見守るように読みふけってしまいました。久々に熱くなって読んだ作品でした。

  •  3cm×15cmほどの新聞広告に心が揺らいだ。本屋に行くと、探すまでもなく平台にサイン本が置かれていた。
     チャンピオンを目指す若いボクサーがいる。周りを囲む人々は、各々に「湿った人生」を抱えている。若いボクサーが一段ごと階段を上がるたびに、周りの人々も湿った人生を一つづつ、しばいていく。夢をしばきあげるために、主人公が、スポットライトの中に飛び出していく光景が目に浮かぶ。よし、俺も走り出すか!

     サイン本には『湿った人生しばいたれ!!』と書かれていました。

  • 塩田武士『拳に聞け!』双葉文庫。

    はっきり言って、つまらない。百田尚樹の傑作ボクシング小説『ボックス』の足元にも及ばない。この作品の前に読んだ『罪の声』が非常に良かっただけに残念。

    芸人を諦め、便利屋でアルバイトをしていた池上省吾はひょんなことから貧乏ボクシングジムと関わるが……

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

塩田武士(しおた たけし)
1979年兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒。新聞社勤務中の2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー。2016年『罪の声』にて、第7回山田風太郎賞受賞、「週刊文春」ミステリーベスト10 2016国内部門で第1位となる。2019年『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に、『女神のタクト』『ともにがんばりましょう』『崩壊』『盤上に散る』『雪の香り』『氷の仮面』『拳に聞け!』『騙し絵の牙』がある。『罪の声』の映画化が2020年公開決定し、小栗旬・星野源の共演が決まっている。

拳に聞け! (双葉文庫)のその他の作品

拳に聞け! (双葉文庫) Kindle版 拳に聞け! (双葉文庫) 塩田武士

塩田武士の作品

ツイートする