- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575522327
感想・レビュー・書評
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「そしてバトンは渡された」がすごく良くて、瀬尾まいこ2作品目としてこちらを選んだけど、負けじとすごく良かった。
どの話も少し、というかだいぶ変な展開だし、下手したら重い展開になる要素はあるのだけど、どこか軽くて楽しくて、読んだ後に優しい気持ちになるのが短編集としてはぴったりだった。
瀬尾まいこの作品をもっと読んでみたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あったかい短編集。
『優しい音楽』はタイトル通りの音楽が奏でられたときの情景が目に浮かんで、心があったかくなる。
いちばんよかったのが『がらくた効果』というおはなし。
同棲してる彼女、はな子がある日突然、紳士的なホームレスのおじさんを拾ってくる。
いやいや、え?紳士的だからオッケーってわけじゃない。
いろんなものを集めたりするのが好きで、変なものをたくさん収集してる彼女だけど、おじさんはさすがに...
って思うのだけど、まぁこのおじさん、佐々木さんがいい効果を発揮する。
面白い。
佐々木効果、抜群でした。
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瀬尾まいこさんの書き出しはいつも私の心を掴んで離さない。「卵の緒」でも「幸福な食卓」でもそうだった。この冒頭の数行で虜になってしまう
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書き出しに魅せられ、巧妙なミステリーを読み解くように、ゆっくり楽しく。そして、全貌が見えてくる。時には、ラストまでひっぱる。ふわふわドキドキしっぱなし!
『優しい音楽』も、最後の最後に、あぁなんて善良な人々の物語かと感動する。
二作目『タイムラグ』は、不倫をしているのに、あなたもやっぱり心優しい女性なのね、と想ってしまう魅力がある。
三作目『がらくた効果』は、とにかく面白い。
なんと!紳士的ではありますが、ホームレスのおじさんを拾ってくるんです。断捨離、断捨離と叫ばれる中、"がらくた"に意味をつける"あったかい"お話。
これが、"妹尾まいこ"の世界なんですね。
わたしのはじめての"妹尾まいこ"は、素敵でした。 -
人と関わることのささやかな喜びが散りばめられていて
押し付けられたのではなく、自然と人と関係を築くことに前向きになれました
不思議な出会いから話がどんどん展開されていきます
途中は不穏な空気や不気味さも漂う
しかし終わりに向けて良い光が薄く、だんだん濃くなるように見えてくる3つのお話でした
特に好きだったのは最後の「がらくた効果」です
他者との関わりの中で、
無駄だと思っていたものの意味が変わったり
行動が変容したり発見があったり、、、
他者を、自分と違う価値観を認めることで自分の価値観も広がってくるのではないかな
そこに人と関わる喜びや意味があるのかもしれないと感じます
今回瀬尾まいこさんは初めてでしたが
また他の作品を探してたくさん読みたいと思いました☺︎ -
3編ともに瀬尾まいこならではの世界観の作品。そのなかでも「タイムラグ」が良かったけど、同じ設定でも角田光代や桐野夏生なら凄まじく悲惨な内容になるはず。おそらく瀬尾まいこはどこまでも性善説なのだろう。安定してほんのりできる瀬尾まいこの小説は貴重なものにも思える。
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登場人物がみんな優しい、温かいお話三作の短編集です。
どのお話も違和感を感じる不思議な出会いから始まるのですが、そこから生まれる人と人との繋がりがとても心地よくて。
読み終わるととても優しい気持ちになれると思います! -
・優しい音楽
始まりは一目惚れみたいなもの。
亡き兄の面影を重ねて、彼を好きになった。
そんなことあるのかなと思いつつ、彼のお陰で千波ちゃんと彼女の家族が明るくなっていったことに違いない。
みんなで重ねた音楽はとても優しくて、きっとお兄ちゃんにも届いていただろうな。
・タイムラグ
部屋の時計が10分遅れていたら10分多く過ごせるでしょ、って発想とても素敵。
親がどんな人かは子どもを見ればわかる。
見た目とか年齢とか学歴とかで判断されがちだけれど、子どもにとってはそんなの関係なかったりするね。
愛が全てだ!
優しい時間を感じた。
・がらくた効果
初老のホームレス男を連れこんだことで、寝る前に話すようになったりお休みの日にシャキッとしたり。
停滞していた2人の関係が良くなっていく様子が温かかった。佐々木効果だね。
集めてきたがらくたに意味をつけていけたらきっとそれはもうがらくたではなくなるね。 -
心温まる3編からなる短編種。
どれも冒頭から突飛な展開に驚くが、ラストに向かうにつれ、温かな気分になってくる。
「優しい音楽」
突然駅で女の子に話しかけられるタケル。一目惚れのような感じではないのだが、どうやらそれ以来毎日駅で自分のことを探しているようだ。
彼女の名は千波。
タケルと千波は付き合う事になる。
やがて千波の両親とも仲良くなるタケル。だけど、その実家に置かれたピアノと、家族写真をふと目にして、家族の抱える過去を知る事になる。
後半、タケルのとった行動が素敵すぎる…。
これはいつか実写化もしてほしいな、と思った。
タイトル通り、優しい音楽が流れてくるような物語だった。
「タイムラグ」
深雪は、不倫相手の平太にとんでもないことを頼まれる。
奥さんと一泊旅行をしたいので、8歳の娘、佐菜をその間預かってくれないかと。
しぶしぶ承知する深雪。
そうして不倫相手の娘と1泊過ごすことになる。その距離の縮めかたが個性的だ。
普通ではあり得ない状況だけど、何だか笑えてしまう。
平太。腹の立つ男だが、憎めない一面が次々と出てくる。
短編だからこそ温かな気持ちで終われた。
「がらくた効果」
なんでも拾ってきてしまう同棲相手のハナコには翻弄されっぱなしの章太郎。
しかし今度拾ってきたのはオジさんだった…。
オジさんは佐々木さんという。
大学教授をクビになり、奥さんからも離婚され財産も家もなくしてしまい、公園でホームレス生活をしていたという。
そして、お正月を3人で過ごすことになり、佐々木さんの影響で、年賀状を書いたり、おせちを作ったり、書き初めをしたり、丁寧に日々を送る。
そのうちに、章太郎もハナコも、「佐々木さん効果」なのか、互いによく話すようになったし、気持ちも前に進むように。
瀬尾まいこさんの描く物語の設定は面白いし、個性的だ。
書き出しにも惹きつけられる。
だけど、最後にはほっこりさせられる。