ときどき旅に出るカフェ (双葉文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575522808

作品紹介・あらすじ

氷野照明に勤める奈良瑛子が近所で見つけたのは、カフェ・ルーズという小さな喫茶店。そこを一人で切り盛りしているのは、かつての同僚・葛井円だった。海外の珍しいメニューを提供する素敵な空間をすっかり気に入った瑛子は足しげく通うように。会社で起こる小さな事件、日々の生活の中でもやもやすること、そして店主の円の秘密――世界の食べ物たちが解決のカギとなっていく。読めば心も満たされる“おいしい"連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 店主の円が旅先で出会った美味しいものをメニューにのせている『カフェ・ルーズ』
    それらのメニューは、お客さんに旅を感じさせる。
    聞いたことのないスイーツがたくさん登場していて、どれも美味しそうで想像するだけでも楽しかった。
    それぞれの話で日常的な謎あり、それらが解けるのだけれど、スッキリした中にもどこかほろ苦いさを少し感じた。

    特に食べてみたいのは、ドボシュトルタ (ハンガリー)とセラドゥーラ(ポルトガル)

    “自分が常識だと思っていることが、狭い範囲での常識に過ぎないことを思い知らされる
    「エエ、そうなんです。だから、わたし、旅が好きなんです」”

    “バクラヴァに比べたら、私がこれまで甘すぎると怒られてきたお菓子なんて、甘いうちにも入らない。それに気づいたとき、他のこともそうなんじゃないかって気づいたんです。自分が当たり前と思っているけど、本当は苦しいこと。自分が従わなくてはならないと思い込んでいること、全部、当たり前でもなんでもなくて、逃げ出してしまえば縛られていたことが馬鹿馬鹿しくなってしまうようなことなんじゃないかって”

  • 以前から気になっていた作品。
    旅に出るカフェって、どういうこと?と思っていました。
    読んで納得です。
    店主が世界を旅をして、そこで出会った食べ物を再現?してお店のメニューとして出している。
    そして、その食べ物がどれも美味しそうで、一度は食べてみたいと思いました。

    このカフェを舞台に日常の小さな出来事を解決していくという物語でした。
    続編も出ているので読んでみたいです。


  • 表紙には美味しそうなスープが(≧∀≦)
    これは苺?苺のスープ?
    食いしん坊のワタシは、まず表紙に掴まれる。

    続編から読んでしまい、急いで図書館で借りた

    優しくて、美味しくて、ホッとするカフェ
    世界の食べ物を味わえて、旅している気分
    アフターに寄れるこんなカフェがあれば毎日通うわ!

    続編よりも
    円の推理が際立ってる感じ

    美味しいものは値段が高くて、賞味期限が短い!
    膝パーカッションしまくり

    第八話 食いしん坊のコーヒーより 抜粋
    「なんか……常識って、すごくあやふやなものなんだね」
    自分が常識だと思っていることが、狭い範囲での常識に過ぎないことを思い知らされる

    囚われていると見えなくなることが多いなぁ

    近藤史恵氏の本は二作目、他の本も読みたい!


  • ほんとにときどき旅に出るカフェ♡
    どれも出会ったことないけれど食べてみたいものばかり。

    カフェ巡りほっこり系かと思ったら
    結構日常の謎系で読むとスッキリ。

  • 表紙を飾る素敵なお写真は、なんと苺のスープ!
    フィンランドの冷たいスープなのだそうです。
    カフェ・ルーズは、世界にあるおいしい飲み物やスイーツに出会えるというカフェ。


    アムルドゥドラー(オーストリアの炭酸飲料)
    ツップフクーヘン(ドイツのロシア風ケーキ)
    ドボシェトルタ(ハンガリーのザッハトルテ)
    アロス・コン・レチェ(スペインのお米スイーツ)


    言いにくいけど、美味しそうなメニューがズラリ。
    その度ごとの検索はとても楽しい時間でした。
    簡単にレシピの紹介もありましたが、なかなか思いつかない内容で驚きの連続でした。
    描かれていた人間模様についても同様に。
    知らず知らずの内に、縛られている固定観念を実感してしまいます。


    ついついしがちな「普通〜」の発想を反省しつつ、気がつくといつの間にか最終話。
    オーナーの円が語る場面があります。
    ???と理解するのに約1秒考えてしまいました。
    今更ながら世界は広く多様な価値観や文化があ
    るのだと再認識し、反省しきりな作品でした。

  • 会社勤めの瑛子が近所で見つけたのは、日当たりが良い一軒家のカフェ。店主はかつて同僚だった円だった。
    メニューにあるのはどれも円が旅先で見つけたものを再現したという、初めて見るものばかり。すっかり気に入った瑛子は、カフェに足しげく通うようになる。


    平凡に生きる会社員の瑛子を主人公とした連作短篇小説。
    かつて同僚だったカフェの店主・円との交流の中、日常で起きる小さな事件を解決したり、ささやかながらも新しい視点を広げていったり。
    何気ない日々の中にも、まだまだ自分の知らない事や、見えていなかったことがたくさんあるんだという事に気が付かせてくれる本です。

    カフェを舞台に珍しい飲み物やスイーツ、周囲の人たちの交流などをメインにしていますが、それぞれが抱える事情は甘いだけではなく苦さも混じっています。
    それが甘いカフェスイーツの口直しのように効いていて、優しくて居心地が良いのにそれだけの話ではないのも良い。

    出てくるドリンクやスイーツもどれもおいしそうで、こんなカフェが近くにあればな~、と思わずにはいられません。

  • 非常によかった。
    食べ物の話だけではなく、人間のやり取りや出来事が絡まっていて、読者を飽きさせない。食べ物の描写がうまく、本当に美味しそうな食べ物なのだということが文章から伝わってくる。

  • 初めて聞くスイーツはどれも魅力的で
    食べてみたいのに食べられないもどかしさ…

    レシピを調べて自分で作ってみれば良いのだろうけど
    それだとなんか違う気がする。

    こんなカフェが近くに欲しい!

    日常の小さな事件を解決しつつ
    登場するスイーツの背景や文化が知れるのがおもしろい。

    とても満たされた。
    続編があるみたいなので嬉しい。

  • 主人公の瑛子は自分と結構境遇が似ていて、
    とても感情移入できたので、
    こんな居心地のいい素敵なカフェが
    家の近くにあったら私も通うのに…
    と夢見てしまう。
    私自身あまり外国に行ったりしないので、
    旅に出た気分になれるというのもいい。

    一つ前に読んだ近藤さんの作品同様、
    少し角度を変えたら見え方が違ってくる
    という事を考えさせてくれた作品だった。

  • 穏やかな話だと思いながら読んでたけど、色んな問題が出てきたりして、癒しだけの話ではなく楽しめました。
    こんなカフェが家の近くにあればいいのにと思います。居心地のいい場所を見つけれて羨ましいです。
    カフェ・ルーズのケーキがすごく食べたいです。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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