珈琲屋の人々 どん底の女神 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575524390

作品紹介・あらすじ

避けがたい理由で人を殺してしまった喫茶店『珈琲屋』の主人・行介と、かつて行介の恋人だった冬子。ふたりの恋の行方を軸に、『珈琲屋』のある商店街に暮らす人々の苦しみや喜びを描いて人気を集めるシリーズ最新作。まさに〝人間ドラマ〟と呼べる7つの物語がつながる連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 池永陽『珈琲屋の人々 どん底の女神』双葉文庫。

    シリーズ第4弾。殺人事件を犯して服役した過去を持つ喫茶店の主人・宗田行介とかつての恋人・冬子の恋の行方を軸に様々な人間模様を描く連作短編集。

    未だに自分を許すことの出来ない行介、河川敷に犬と暮らす男、パパ活に走る女子高生、コンビニで働く訳ありの女性、母親と二人暮らしのニート、夫への仕返しで不倫に走る妻、癌であることを告げられた浮気な男、医学部を目指して勉強中という闇を抱えた若い女性……様々な人びとが悩みながら幸せを夢見る……

    『ひとり』『女子高生の顔』『どん底の女神』『甘える男』『妻の報復』『最終家族』『ふたり』の7編を収録。

    本体価格690円
    ★★★★

  • '23年5月25日Amazon Audibleで、聴き終えました。シリーズ、4作目。

    感想としては…前作よりは、落ち着いて聴けたかな、と思います。変わらず、ほのぼのとしたラスト、好きです。

    機会があったら、ドラマも観てみたいです。

  • 人殺しの男が営業する珈琲屋での店主、行介と幼なじみの冬子と島木を中心に展開する連絡短編。
    先の4作同様ストーリーにいつもの筋書きである、行き詰まった人が人を殺した男がの店に興味を示して来店する、「あついですから」と差し出す旨い珈琲、そして店主に事情を明かす流れが自分にはとても心地よい。その先は読者に想像させる結末があるのもかえって印象的でアリだと思う。長く続いてほしいシリーズの一つです。

  • ちょっとずつ男女間の書き方が昭和初期から抜け出てきてて、読みやすくなっている。が、しかしまだまだ昭和中期頃。
    作者の年齢(70代)から価値観のアップデートってかなりハードな問題なのでは。それで、ここまで出来たんだから、それはそれですごいことかも。

  • 『珈琲屋』の店主・宗田行介(そうだ こうすけ)は、義憤に駆られて人を殺め、服役していたことがある。
    彼の「人を殺した手」を見に来る物好きな人々は決まって、屈折したものを抱えているのである。

    人間は弱い生き物で、そこいらじゅうに罪の誘惑が転がっている気がする。
    警察のお世話になるような大きなものから、自分の心の中に沈むだけの小さなものまで。
    罪を抱えたままでは、何を手に入れても幸せにはなれないのだ。
    どこで行動に線を引くか、どこで怒りを収めるか・・・
    自分で決められないから珈琲屋を訪れるのだろうか?

    重厚な作りのレトロな喫茶店。
    高い窓から注ぐ光、十字架を背負った店主。
    その前で懺悔する人々・・・
    なんだか『珈琲屋』は教会のようで、行介のストイックな佇まいは、僧侶を思い起こさせる。


    『ひとり』
    犬だけが家族だった。
    河川敷に暮らす老人の凄まじい孤独。

    『女子高生の顔』
    女の人生は顔で決まるのか。
    良くても不幸、悪くても不幸。
    それでも彼女は整形したい。

    『どん底の女神』
    やりきれない。
    この世の不幸を全部肩代わりしてしまったかのような、ついてない人生の男。この後、どうなってしまったのか・・・

    『甘える男』
    明るいニートを続けるカッコつけの息子のために、母は歯を食いしばる。

    『妻の報復』
    本人たちはめでたしめでたしかもしれないが、浮気の道具に使われた男の子の気持ちはどうなるのか?という疑問が残る。

    『最終家族』
    仕事ばかりで家族を顧みなかった編集者が癌になる。
    不仲だった妻の反応とは。
    長年、妻の代わりに心の支えを務めてきたおでん屋の女将の決断が立派。
    男はどこまでも甘ったれで自分本位、と思ってしまう。

    『ふたり』
    この本一冊を通してのヒロイン(?)黒木舞がしてきたことと、やっと出した答え。
    米倉と犬の絆。

    ーーーーーーーーーーーーー
    主人公・宗田行介の幼馴染で、刑務所から出所してきた時にも、昔と変わらぬ態度で接してくれた、島木と冬子だが・・・

    すみません、島木がうっとうしい。
    今でもこういう人種はいるのか?
    ちょっと綺麗な女性を見ると、たちまち目の色を変えて、歯の浮くようなセリフを恥ずかしげもなく並べ立てる。
    昭和のプレイボーイ(死語)それも、バブル夜明け前の。
    現代では、島木の行動と発言は、セクハラのイエローカード、それも限りなく赤に近い。
    でも、島木がいなかったら、この物語はもっとずっしりと、暗く重くなってしまうのだろう。

  • 近くにこの珈琲屋があればいいな。

  • 久しぶりにおもしろくない本を読んだ。
    読書に合う合わないはあるのはわかっており、これが自分に合わない本だったとは言っても、それにしてもなんか出来が良いようには思えなかった。
    個人情報を根掘り葉掘り聞いてくる常連、それをおかしいとも思わずホイホイ話す客、殺人の罪を犯したという珈琲屋のマスターに、「それなら好きなこと聞いていいと思って」とかでやってくる客… どいつもこいつもサイコパスか?少なくとも誰も本当に人の心を持っているようには思えなかった。最悪、コーヒーが美味い相談所とかならともかく、珈琲屋だぞ…?普通の客もいる中、みんな知ってるからと言って店主の殺人の過去をホイホイ話しはじめて、「客は唖然としていた」みたいなこと書かれてたけど、そりゃするよ。いっそ途中で帰るレベルだよ。

    珈琲屋のマスターが毎回毎回「熱いですよ」と言ってコーヒーをサーブするのは口癖だとして最後には慣れてきたが、受け取る客もどれも同じような「本当に熱い!…でも、とても美味しい」という紋切り型のセリフしか吐かないし… シリーズの最初から読んでたらまだキャラクターとかに慣れ親しめていったのかもしれないけど、別に続きものというわけでもなく短編集という形でこの入り込めなさはすごい。

    特に最終話でいいアイデアを思いついた、これなら問題解決だ!とか言ってるのにどういうアイデアだったかもわからないまま、店主が悪漢を絞め落とし、ついでに行方不明だった犬が戻ってきてめでたしめでたし… えっ?思わずちょっと前から読み直してしまったが、わからなかった。

    子供も大人もみんな芝居がかったそれっぽいセリフを喋り続けて、できの悪いドラマを見ている気分だった。

    というか、店主がアルコールランプで手を焼くという苦行をしているような店に絶対入りたくないんだが…

  • う〜ん…

  • 商店街の一角に、宗田行介が経営する喫茶店があった。行介は殺人を罪で刑務所の服役した経験をもつ。八年の刑期を終えて温かく迎えてくれたのは、幼馴染で洋服店をやっている
    島木と蕎麦屋の冬子だけだった。
     歯を食いしばって生きている人々に、一杯の熱い珈琲が何をもたらすのか?

  • 小説推理2019年6,7月号ひとり、8,9月号女子高生の顔、10,11月号どん底の女神、12,2020年1月号甘える男、2,3月号妻の報復(妻の復讐改題)、4,5月号最終家族、6,7月号ふたり、7つの連作短編を2021年1月双葉文庫刊。シリーズ4作目。続きが読めるとは思っていなかったので、最新巻は嬉しいです。行介と珈琲屋の常連冬子と島木が珈琲屋に訪れる人々にお節介をやくという人情劇パターンは、今回も健在で変わらす。相談に来る様々な問題を抱えた人に応える対応と成り行きが楽しいです。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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