罪なき子 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575524741

作品紹介・あらすじ

凄惨な通り魔殺傷事件が起こった。青年が次々と人を襲い、男女二名を殺害し、ほか二名を傷つけた。青年は死刑囚の息子で、加害者家族への嫌がらせのため、生きる希望を失い犯行に及んだと供述している。青年の心の闇に興味を抱いた水木弁護士は弁護を買って出たのだった……。

感想・レビュー・書評

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  • 加害者家族をテーマにした物語。

    死刑囚の父親をもつ洋平。
    休日の美術館で二人の男女を殺害し逮捕。
    その動機は死刑判決を望むから..

    最近でも、実際に死刑にしてほしいからって人を殺める事件があったりしますね。
    そういうのやめてほしいです!

    と、現実はとりあえずおいておいて、この事件を水木が弁護することになります。

    洋平の望みは死刑判決のみ。
    父親が死刑囚ということで、過酷な仕打ちを受け続け、社会から差別され、もう死ぬしかない。そして、なにも悪くないのに死ななければならないのなら、社会が責任もって抹殺すべき。
    という主張。
    しかし、その動機は本当なのか?

    水木が徐々に洋平の闇、事件の真相をを解き明かしていきます。

    洋平の父親の事件の裁判。
    殺害された被害者たちの背後にあるもの。
    そして、事件の真相。
    とんとん拍子で情報が明らかになっていく感じは否めませんが、全体としては、驚きの結末。

    お勧めです!

  • 父親がお金欲しさの出来心で犯した罪が、子供や親族をどん底に落とす辛い話でした。犯罪の全容をクリアにする事は難しく、人が人を裁く難しさを感じました。水木弁護士の人柄の良さが、暗い話の中でも事件解決への真摯な想いが感じられました。

  • 「犯罪は、被害者やその家族だけでなく、加害者家族も地獄に追いやる」状況に一石を投じる社会派ミステリー。
    ネットの普及により、その傾向はさらに加速している現代社会。
    殺人を犯した男が、自らに死刑を望む。
    男の父親は死刑囚であり、加害者家族として過酷で悲惨な人生を生きてきた男。
    その世間に対する復讐が今回の事件を引き起こしたのか。
    男の心の闇と真意を確かめようと、水木は弁護を引き受ける。
    父親の事件を担当した元刑事や事件に疑問を持つ検事の協力を得ながら、水木は男の隠された意図を探り当てる。

  • 弁護士小説。犯罪者家族への無意味な社会的制裁が引き起こす闇とか、司法の閉鎖性とかの問題を背景にした話。真実に向かっていく行程、事件の真実とかの構成も良くて、気がつけば速攻で読み終わってしまっていた。

  • 「父親が死刑囚だとしても、私は犯罪者じゃない。この社会で差別され、生きる場所がなければ死ぬしかない。何も悪くないのに自分で死ななければならないのは理不尽です。社会が邪魔者扱いするなら社会が私を抹殺すべきです。」加害者家族救済は大きな問題だ。SNSなどがある現在では特に。だからと言って、陽平のした事には矛盾があり、スッキリしない終わり方だった。

  • 初めて読む作家さんですがつまらなかったです。

    大きな理由は文章の稚拙さ。
    素人が書いたようなレベルで、読んでてイライラします。

    そしてストーリーもいまいち。
    死刑囚の子どもの生き辛さという着眼点はよいですが、本作で起きる殺人事件の動機も真相も全然響かない。

    時間を無駄にしました。

    2021年24冊目。

  • 死刑になりたくて無差別殺人を犯した陽平。父親も強盗殺人での死刑因で、陽平は死刑因の子として悲惨な生活を送ってきた。水木弁護士には何も弁護せず死刑になるようにしてほしいと依頼する。弁護士の使命は被告人の利益を考えること。死刑の判決をとることは被告人の利益なのかと考える。水木は事件を検証するうちに二人の男女の被害者、義弟、陽平の恋人から意外な真相に辿り着く。裁判が始まるところで終わるが、波乱が予想される法廷場面を読みたかった。加害者家族も被害者となる世間の偏見の目、ネットの拡散の怖さをおもい知った。

  • 事件がすぐに起こり、無駄な背景描写がなくすっきりタイトなストーリー展開で謎に焦点が絞られてよかった。

  • 死刑囚の子として地獄のような日々を送ってきた男。彼が起こした無差別殺人事件。「死刑になりたかった」と事件の動機を語る被疑者の心に潜む真実を知りたいと、自ら弁護を申し出た弁護士。
    加害者家族が直面する問題をそれが引き起こす新たな犯罪を描くことで切り込んだ社会派ミステリ。

    テーマはいいし、リーダビリティもあるんだけど冤罪や資料の隠蔽など組織的な問題まで風呂敷を広げた割に最後は収拾しきれず終わった感じ。このページ数、この薄さでは到底描ききれなかったのか。。

    小さく無難にまとめた感が否めない。ここはやはり、捜査資料や裁判資料の破棄を指示した上層部の追及、師匠に忖度して弁護に手を抜き、冤罪を作り
    あげた弁護士のその後に何も言及しないのは後味が悪すぎる。
    この倍のページ数になってもいいからそこのところまでしっかり描いて欲しかったな〜

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著者プロフィール

一九四七年、東京都生まれ。八三年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八八年「絆」で日本推理作家協会賞、九〇年「土俵を走る殺意」で吉川英治文学新人賞を受賞。他に「仇討ち東海道」「遠山金四郎」「風烈廻り与力・青柳剣一郎」「栄次郎江戸暦」「蘭方医・宇津木新吾」「親子十手捕物帳」「八丁堀赤鬼忠孝譚」「義賊・神田小僧」シリーズなど著書多数。

「2023年 『剣の約束 はぐれ武士・松永九郎兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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