未来 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575524871

作品紹介・あらすじ

「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」ある日突然、少女に届いた一通の手紙──。家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちに待つ未来とは!? デビュー作『告白』から10年、湊ワールドの集大成となる長編ミステリー、待望の文庫化!!

感想・レビュー・書評

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  • ある日突然、30歳の未来の自分・章子から「未来の自分は幸せ」だと綴られた手紙が届く。しかし現実の章子は絶望の渦中。未来の自分に向けて手紙を書きながら、様々な思いを馳せる社会派ミステリ。

    久しぶりの湊かなえだった。
    私は著者が描く、喜怒哀楽の隙間に潜む湿っぽい本意を、遠慮なく性懲りもなく突き付けてくるところが好きだ。人間らしい。それが良い。

    本作品は主人公、親友、担任教師、主人公の父の4つの視点をエピソードとして、様々な時系列で語られ綴られていく。

    【未来】という輝かしい表題名は、読み進めるごとにどんどんと闇へと変貌し、容赦なく【負】を突きつけてくる。

    いじめ、家庭内暴力、うつ、自殺、放火、二重人格、コンプレックス、性被害など、これでもかと。いやこんなもんじゃないと徹底的に。


    しかし結論、私には本著者他作の『告白』や『ユートピア』などから受けた衝撃や感銘までに至らなかった。

    構成や視点の切り替え、血肉を感じる心情描写はさすが巧みと感じた一方で、社会問題を一切合切詰め込み過ぎて、演出感が前面に、求めるリアル感が背面に、といった印象を抱いてしまった。

    よって著者の思い願い綴ったであろう本意を理解しつつも、素直に受け取れず読了となったのは悔しい。

    ただし、本作は著者初のあとがきまで綴られており、非常にメッセージ性が強く、デビュー10周年を迎えた著者の覚悟と放つ熱量が感じられる作品であることは、最後に記しておきたい。

    • akodamさん
      はなちゃんさん、こんばんは!
      こちらこそいきなり夜分に申し訳ありません。

      柚月裕子、東野圭吾、貴志祐介と既読作品が同じであることと、歯に着...
      はなちゃんさん、こんばんは!
      こちらこそいきなり夜分に申し訳ありません。

      柚月裕子、東野圭吾、貴志祐介と既読作品が同じであることと、歯に着せぬ率直なレビューを拝見させていただき、感銘を受けたものにいいねさせていただきました。

      今後もご迷惑でなければ、レビューを参考にさせていただければ嬉しいです。
      よろしくお願いいたします^ ^
      2021/11/13
    • はなちゃんさん
      akodamさん
      ありがとうございます。
      私ごときのレビューなぞ
      とんでもございません。
      こちらこそあなたさまの
      レビューに感銘を受けてます...
      akodamさん
      ありがとうございます。
      私ごときのレビューなぞ
      とんでもございません。
      こちらこそあなたさまの
      レビューに感銘を受けてます。もしかしてプロではなんぞ思っております。
      わたくしは後期高齢者でございます。物忘れが激しくてー何を書いてるのか
      しどろもどろです。
      2021/11/13
    • akodamさん
      はなちゃんさん、こんにちは。
      それでは双方感銘を受け合っているということにさせていただき、今後も遠慮なくいいねさせていただきます!

      ちなみ...
      はなちゃんさん、こんにちは。
      それでは双方感銘を受け合っているということにさせていただき、今後も遠慮なくいいねさせていただきます!

      ちなみに私はただの中年ビジネスマンでございます。

      今後ともよろしくお願いします^ ^
      2021/11/13
  • 最後まで読んでもう一回読みたくなるぐらい壮絶なお話しでした。まだ話を整理中です。

  •  これでもか、というほど、登場人物が困難を抱える描写が続く。家族の死、学校でのいじめ、家族からの虐待、性被害…。読んでいて息苦しくなった。
     努力した先の未来には、楽しいことが待っている。主人公、章子の父がよく言っていた言葉だと言う。悲しみの先には光差す未来が待っている。20年後の章子からの手紙に書かれていた言葉だ。
     苦しい状況の中で、楽しい未来を信じることができなければやっていけない。その「楽しい未来」を象徴するのが「ドリームランド」だ。ドリームランド行きの直前に命を絶った森本、森本の母、健斗。これまでの絶望から、楽しい未来を思い描くことはできない。
     あとがきで作者が書いている。「作中の人物たちに起きた出来事は、現実でも起きていること。それなのに自分のことだけで精いっぱいの人が近年増え続けているのではないか。」
     最後の場面での章子の言葉に応えられる大人でありたいと強く思った。そんな大人の一人が作中では、原田くんなのかなと思った。「過去に吞まれない未来は確実にここにあるから。」
     章子に残されたフロッピーディスクの存在はちょっとひっかかった。こんな状況の章子に、さらに、変えることのできない過去を背負わせる必要はないと思った。

  • 最愛の父を亡くし途方に暮れていた時に20年後の”未来”の章子から手紙が来る。
    前半は章子の手紙の現状報告で話しが進む。それが唯一のアイデンティティを守るかの様に返信のない手紙を書く。(小学生の章子の手紙なので、ひらがなが多く読むのに苦労しました。)

    この物語は毒親からの虐待、性暴力や貧困問題が背景にあり不幸な”未来”しかない子供たちの苦痛に胸を締め付けられました。毒親の存在に吐き気すら覚えた。

    善良な大人の助けを求めて欲しい。
    章子と亜里沙が心から「ハイテンション!」と笑顔でドリームランドを楽しめる幸せな”未来”が有る様に願うだけだ。

  • 前半は、章子が未来の自分に出す書簡形式。
    人の手紙や日記を読むのはとてもドキドキするので、私は書簡形式が大好きです。
    この本からは、ヤングケアラーについて考えさせられました。また暴力の非道さにも心が痛くなりました。
    語り手の主が変わりながら進むので、とても面白く最後までスラスラ読めました。

  • 帯に書いてあったのですが著者のデビュー作【告白】から10年とありました。率直に『10年しか経っていないの?』と思います。

    本書は【湊かなえ】さんの、初期の作品達の何かを引っ張っていて、それらがアップグレードというか醸造されたような物語となっております(あくまでも大雑把な主観ですが・・・)

    技術的には手紙パート(前半)とエピソードパート(後半)に別れているせいで手紙パートで未解決というか保留状態の謎がいつ語られるのか気になって気になっての一気読みさせる構成となっております。


    父を亡くした章子のもとに30歳の自分から手紙が届く!?心に病を抱える母と章子の母子家族に手を差し伸べる人達と不幸をもたらす者達が現れては消え残り消えていきます。

    個人的な感想としては読んでいて苦しくなりました。章子や亜里沙が何故こんなに不幸にならなければならないのか?不幸の連鎖が読み手の心を苦しめます。

    他の作品で著者が述べていた、浅瀬で溺れている人達のせいで深い所で死ぬ可能性を孕み溺れている人達が助からなくなる。と言う場面を何故か思い出しました。

    本書で述べられた問題に対して自分に何が出来るか考えてみたいと思いました。

    それと、夢の王国ドリームランドに行ける人は行った方が良いと思う。日常の全てを忘れられて、また来るために明日からを頑張る事が出来るから!

  • なんか流行ってたので読みました。湊かなえ作品だし、どうせ一気読みだろうなって思っていましたが、やはり一気読みでしたね。メッセージ性の強い作品でした。読み終わって思うけど、未来って素敵なタイトルですね。

  • 目を背けたくなる、容赦ない地獄が広がる。
    まぎれもなく、現実に存在する地獄。
    流石の湊かなえワールドだと思った。

    親から愛されて育つということは、当たり前ではない。
    私自身も親と絶縁しているので、共感できる部分もある。
    親と全然連絡をとっていないことを他人に言うと、「お母さんかわいそう~」なんて言う人もいる。
    育ちが良い人の「当たり前」は無自覚に人を傷つける。
    もしかすると、「育ちが良い人」と思い込んでいただけで、この本の登場人物達のように、地獄を隠して生きている人なのかもしれないけど。


    また、本書で「悪魔のような人格の人間」が、おかれた環境によって自己防衛のために、「悪魔のような人格」を作り上げている描写も秀逸だと感じた。


    メッセージ性の強い作品で、読んでいると様々な感情がとめどなくわいてきます。

    未来からの手紙を書くことになった経緯や想いに、思わず涙が出た。
    電車の中で読んでいて、「泣いてはいけない」と思っていたのに、止められなかった。

    「実の娘にそんな鬼畜のようなことができる親なんか、いるはずがない」という一文。
    同じように考える育ちが良い人は、ぜひ現実を知ってほしい。

    子供を大事に思っていない親は間違いなく存在する。


    しかし、地獄の中で手を差し伸べてくれる人は、周りを見渡せば存在する。もしくは、今はいなくても未来には存在する…


    本書は湊かなえ先生が初めて後書きを書いた本です。
    後書きには子どもの貧困問題がどれほど深刻であるか、本書がレアケースではないということを書いてありました。

    ぜひ沢山の方に読んでほしい1冊です。

  • 大学の授業で、社会問題について取り上げた本を読みましょうというのがあり、読んでみた。

    子供の貧困、性的虐待、育児放棄などさまざまな社会問題が出てくる。
    これでもかというほど主人公が追い詰められていく状況に読んでいて心が暗くなってしまう。

    また、親が過去に犯罪を犯し、その子どももまた犯罪を犯してしまうという連鎖があった。誰かを頼ることができない状況に立たされた子どもたちをとても不憫に思った。

    うーん。題名が「未来」とあるだけに、もっと主人公たちが救われる展開を予想していたので、ちょっと残念。

  • 20年後の自分から「未来の手紙」が届く!
    著者もSF小説を手掛けたか、と疑いながら読み始める。
    読み進めるにつれて、小説世界に、著者の術中に。
    いじめ、虐待、貧困等々現代社会の抱える問題が、これでもかとばかりに描き出される。
    やがて、『エピソードⅡ』で、手紙の謎が解き明かされる。
    あとがきで著者が書いている。
    「作中の人物たちに起きた出来事を、大袈裟だと感じるひとがいるかもしれません。・・・すべて、現実でも、起きていることなのです。特別な場所で、ではなく、多くの人たちが普通だと感じている社会の中で、現在進行形で起きていることの、ほんの一部を切り取っただけです」
    現代社会を告発した書であり、読者も現実を見つめてくれれば、この小説を世に出した意味があると。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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