ドライブインまほろば (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 193
感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575525304

作品紹介・あらすじ

山深い秘境の村を走る旧道沿いにぽつんと佇む「ドライブインまほろば」。客は滅多に来ないが、比奈子は今日も店を開けた。そんなある暑い日、突然少年が幼い妹を連れて現われる。憂と名乗る男の子は、夏休みが終わるまで住み込みで働かせてほしいと懇願する。娘を亡くした過去を持つ比奈子は逡巡しながらも、ひと晩だけ泊めてやることに。だがその夜更け、月明かりの下で憂は、義父を殺して逃げてきたと告白し――親とは、子とは何か。家族の愛を問い、人生の暗闇に光を灯す魂揺さぶる感動長編。

感想・レビュー・書評

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  • 峠越えの山道にある古びたレストラン「ドライブインまほろば」。
    経営しているのは一人娘の里桜を交通事故で亡くし、夫と離婚した比奈子36歳。

    そこへ「義父を殺した」という小学校6年生の坂下憂が父親の違う妹の来海5歳を連れてやってきて「何でもするから8月いっぱいだけ置いてください」と頼まれます。
    憂は8月の終わりに、十年にいっぺん現れるという十年池を見たいのだと言っています。

    比奈子は憂が、おそらく親から虐待を受けていたことを感じ取り、勘によって憂と来海を警察には連れていかず、8月いっぱい匿うことに。

    以下最後までネタバレしていますので、お気をつけください。


    憂の義父の坂下流星には双子の兄の坂下銀河がいてヤバい系の仕事をしていたので、憂の盗み出したノートパソコンを追って探しにやってきます。
    憂は来海を連れて逃げ出し、比奈子は銀河を包丁で刺し立ち向かいますが、かなわず、二人で憂の行った、十年池を目指します。

    作者の遠田さんは今回も凄いと思いました。
    最低の父親、流星と銀河の物語もちゃんと読ませてしまうところがなんといっても凄い!

    そして、憂と銀河と比奈子さんは十年池で夜を明かし、一晩話をして、十年池の言い伝えにあるように、生まれかわります。
    そして憂が生きる希望を見出したこと。
    比奈子さんのおかげで銀河とその妻と子もやり直すことになったこと。
    比奈子にも希望が見えたことは本当によかったです。

    そして何といっても、遠田さんの作品の中でもまれに見る悪役キャラが再生したのは本当に凄い作品だと思いました。

  • 遠田潤子『ドライブインまほろば』双葉文庫。

    理想郷という意味の『まほろば』という名前のドライブインを舞台にした家族と人生の物語。果たして、苦しみを抱え続けて生きていくことに意味はあるのか……

    何処までも深くて暗い哀しみと閉塞感に包まれる中、静かにストーリーは進行する。登場人物の誰もがこれでもかと言わんばかりの家族の哀しい過去と悲惨な境遇に苦しんでいる。時折見える微かな光に救われるが……最後には光射す明るい場所に出られるのだろうか。到底、救いなど無いのではと思われる胸が締め付けられるような重い物語。

    序章での驚愕の描写から物語は始まる。

    奈良県南部の深い山々に囲まれた秘境の村の旧道沿いに佇む『ドライブインまほろば』。店主の比奈子は実の母親の不注意から5歳の愛娘を失い、そのことが切っ掛けで夫とも離婚し、独りひっそりと生きていた。

    夏のある日、『ドライブインまほろば』に迷いこんで来た小学6年生の憂と5歳の来海。激しい虐待を受けていた憂が、堪り兼ねて義父を金属バットで撲殺し、妹の来海を連れて家から逃げ出して来たのだ。比奈子はそんな二人を受け入れ、二人と暮らし始める。

    一見幸せそうな三人の暮らしの背後に渦巻く暗雲はやがて近くへと……

    人を生まれ変わらせるという幻の十年池……救いはあるのか……

    本体価格750円
    ★★★★★

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著者プロフィール

一九六六年大阪府生まれ。関西大学文学部卒。二〇〇九年、第二一回ファンタジーノベル大賞を受賞した『月桃夜』でデビュー。一二年、『アンチェルの蝶』で第一五回大藪春彦賞候補となる。また、『雪の鉄樹』が本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国2017」第一位、『冬雷』が本の雑誌2017年上半期エンターテインメント・ベスト10 第二位となる。その他の著書に『あの日のあなた』『オブリヴィオン』『カラヴィンカ』。

「2018年 『蓮の数式』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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