黒野葉月は鳥籠で眠らない (双葉文庫)

  • 双葉社
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本棚登録 : 205
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575525854

作品紹介・あらすじ

はじめて担当した離婚案件に隠された仄暗い企み、ロースクール時代の友人が起こした殺人事件の真実、淫行容疑で逮捕された家庭教師を救う少女の切り札――新米弁護士の木村は先輩の敏腕弁護士・高塚に助けられながら難儀な依頼を解決していく。大ヒット『花束は毒』で注目を集める著者による、全話驚きのヒューマン・ミステリ! 新装版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 高塚・木村弁護士シリーズの第3弾から読んでしまっていたので、第1弾(本書)と第2弾を読んでいるところ。

    本書は私が読む織守きょうや氏作品の3冊目。
    本書の第1話(表題作)は私はちょっと好きになれなかったものの、それは黒野葉月のことであり、本書丸々1冊通してやはり高塚・木村両弁護士のことは好きだ。
    第2話と第3話は、途中で私は依頼人の本当の狙いに薄々気付いたので驚きは無かったが、充分面白かった。
    第4話は、「これは純愛の話だ」と思った。
    芦沢央氏による解説にも「純愛」という言葉が出てきていた。

    ただ私には、それぞれの内容から、どうしてそれぞれこの題名になったのかということを理解できる頭は無かった。
    (読み終わっても題名と内容が結びつかない)

    現在では尊属殺人が無くなっていることは知っているが、約40年前の(一般教養の法学を取っていただけのレベルだが)六法全書には確か載っていたよなと記憶していたので、いつ無くなったのかを今回調べてみた。
    本書に出てきた違憲とされた実際の事件を私は知らなかったが、調べると、50年以上前の事件。
    しかし法律から消えたのは、長い長い時を経て、平成に入ってかららしい。
    驚きだ。
    だから40年前の六法にはまだ載っていたということなのだろう。

    私にとっての織守きょうや氏作品の3冊目である本書を読み終わった時点で、著者についても初めて検索してみたら、女性であった。
    今まで3作品読んでいる間、ずっと男性という印象だった。

  • まだ比較的純粋な心を失ってない弁護士が主人公の連作短編。悪ではないけど手練手管を駆使できる先輩弁護士との差が面白い。
    4篇で4つの家族が描かれますが、強い願望を持った人の強さ、怖さがそれぞれに描かれていて面白い。個人的には4話目が好きですね。

  • '23年1月27日、Amazon audibleで、聴き終えました。織守きょうやさん、三作目だっけ?四作目かな?

    いやぁ、素晴らしかった!いわゆる連作短編集ですが…どれも大好きです!ビターなチョコレートのような、作品たち!僕は、大好きです!

    同じ登場人物で、シリーズになっているようで…次作も、聴いてみます。

  • 初・織守さん作品。
    花束に毒も記憶屋も読んでみたいと思いつつ…これが最初になってしまった。

    御子柴さんシリーズでも常々感じていることだけど、譲れない想いのために自ら不幸(に見える)道を選ぶ友人を、止められない悔しさ、無力感がすごかった。

    その人が、達成して心からの笑顔で幸せそうにする時の、自分の存在感のなさ…あ、こいつにとっては自分は、その程度でしかないんだなっていう…
    弁護士ならそこに、倫理的には正しくない(かも?)ことに加担した後ろめたさ?みたいなものも重なるのかもしれない…

    そう、そう言われてみれば…ちょっと前まで、子供が親を殺すってすごいタブーみたいに言われていたよね。尊属殺人。量刑も普通の殺人より重かったんだって。当時は「そりゃー親を殺すんだもんな…」て思ってたけど…今となっては「…なんで親だからって理由だけで????」たしかに。親は敬わなければならなかった。お世話ちゃんとしてくれた人には、親じゃなくたって自然と感謝して敬うものと思うが。人間関係の基本として。

    今は、親だからって敬わなくても全然よくて(極論)、そういう意味では親の方も、昔の親みたいに無理して「親の威厳」を保つ必要はなくなったのかな。そういう肩書きが強い効力を持たなくなったのは、親にとってはいいような、悪いような。楽だけど、自分を律するものも緩んでしまう、気もする。
    会社とかでも肩書きがつくと、意外に能力発揮できちゃう人もいるじゃない。

    一番わからんかったのは表題作だなー。
    彼はそもそも彼女のことが好きなのか?
    好きじゃないのか?
    どっちなのかわからないのか?
    むにゃむにゃと拒絶もしない許容もしないままでいるのが一番悪かったのではないか?
    好きなら「筋を通そう」って然るべき年齢まで待つよう話し合うべきだし、はっきりしないまま、押されたままでいるのは、未だによくわからない。
    それとも彼のその受動的な部分も「そういう人もいる」という見本だということなのかな…?

  • Audibleで。
    日常ミステリーのジャンル。
    設定が少し変わっていて、できる弁護士と新米弁護士のペアで、事が終わってから本質に気づくという流れ。
    残酷なシーンなどなどない代わりに、犯人(?)の異常性というか執念が怖い。

  • オーディオブックにて。著者様の他のお話が面白かったので。リーガル短編集で裁判とかはないけれど、法律の穴をつくお話が多かったです。
    他の作品でも思いましたが、著者様の描く女の子がとても魅力的で素敵です。

    『石田克志は暁に怯えない』はそれしか道がなかったのか…って気持ちとダメってわかってても、そうするしか無かったって気持ちが分かってしまってとても辛かったです。頭がいい人の合理性は全部を予見した上での行動なのですごいなって圧倒されました。

    『三橋春人は花束を捨てない』は最後まで知ると、頭の奥を突っつかれたような視界が歪む感じが凄かったです( 帰ってきて語彙力 )
    「絶対に欲しいものが決まっている人間が、どれだけ強くて、どれだけ怖いものかを」って言葉が、ガツンと殴られたようで身に染みました。

    とても面白かったです。

  • 現役弁護士らしく、リーガルミステリの連作短編。ベースは家族もので、ネタに使われる法律も多くないし難解でもなく分かり易かった。主人公は頼りない感じなので、裏主人公は先輩の方なんだろうな、と思って読んでた。もうちょいハードめとか、毒があるのも読んでみたい。

  • 法律の中でも民法の親族がメインテーマ。
    ドラマ化すると模倣犯が出そう。
    2015年時点の法律をもとに書かれているので、
    2022年の民法改正は読後におさえていただきたい。

    作品としては非常に面白く続編もすぐ買ってきた。

    ※評価はすべて3にしています

  • おもしろい!木村先生がんばれ!

  • 新米弁護士木村×敏腕弁護士高塚 シリーズ第一弾
    短編連作集

    4作品とも最後には驚きがあった。

    色んな愛の形。当たり前は当たり前じゃなくて
    異端な事が人によっては当たり前な事もあるよね。

    小田切の話が切なくて好きだなぁ。

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著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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