日本推理作家協会賞受賞作全集 66 横浜・山手の出来事 (双葉文庫 と 14-1)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575658651

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  • 明治29年に横浜の外国人居留地で起きた砒素による毒殺事件。
    犯人は15歳年下の名家出身の妻なのか。

    日本の司法が及ばない居留地でのイギリス人による領事裁判が行わるが死者は元々砒素を飲んでいた事、子供の家庭教師が盗んだ婦人宛の手紙、過去に夫と交際していたと思われる黒衣の謎の女、夫人の浮気相手…と色々と思いもよらない証拠や状況に裁判は泥沼化。
    最終的に夫人は死刑宣告を受けるものの恩赦により減刑となる。

    本の3/4弱は当時の裁判の記録や人々の動き。残りはこの事件の不可解さに疑問を持った著者がイギリスで行った調査の記録及び類推。
    この調査が凄く、現地でアシストを依頼した女性の父親が偶然にも系図の研究を趣味で行っていたり、1通の手紙から夫人の晩年の手がかりを得たり、と偶然とは思えない幸運が重なる。
    最終的には恐らく真犯人はやはり夫人なのだろう、となるのだが事件当時のヴィクトリア朝のイギリスでの婦人の地位の低さ、『結婚』の厳格さを知ればさもありなん、と思えてしまうのでした。

  • 日本推理作家協会賞(1991/44回)

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著者プロフィール

昭和5年1月 大阪市生まれ
毎日新聞社で社会部、サンデー毎日、英文毎日の記者、編集次長、編集委員などを歴任。
ニューヨーク・タイムズのコラムニストも務めた。
第34回「菊池寛賞」受賞。
著作 「五衰の人ー三島由紀夫私記」(新潮学芸賞受賞)、
「横浜・山手の出来事」 (日本推理作家協会賞受賞)、
「悼友紀行」ほか多数。
訳書 「アイアコッカー我が闘魂の経営」ほか。

「2020年 『夕陽ヶ丘 昭和の残光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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