隣りの不安、目前の恐怖-日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(3) (双葉文庫)

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575658972

作品紹介・あらすじ

隣家の人妻に思いを抱く少年が、明け方に隣りの裏庭で繰り広げられる奇妙な光景を目にすることになる(「空家の少年」)。事故で夫を喪った隣家の未亡人が、夫がかわいがっていた愛犬をいじめるようになり、やがて事件へと発展していく(「その犬の名はリリー」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、傍らに潜む不安や恐怖を取り扱った珠玉作短編集シリーズ第三弾。

感想・レビュー・書評

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  • 有馬頼義、石沢英太郎、江戸川乱歩、折原一、鈴木輝一郎、宮部みゆき『隣りの不安、目前の恐怖 日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集(3)』双葉文庫。

    日本推理作家協会賞受賞作家6名による日常に潜む不安や恐怖をテーマに描いた珠玉作の短編集。シリーズ第3弾。

    平凡なはずの日常も錯誤な勘違いで事件へと変貌する。そんな平凡な日常が恐ろしい事件へと変貌する過程を描いた短編が並ぶ。有馬頼義『空家の少年』、石沢英太郎『その犬の名はリリー』、江戸川乱歩『陰獣』、折原一『耳すます部屋』は面白いが、鈴木輝一郎『あなたのためを思って』と宮部みゆき『さよなら、キリハラさん』は全くつまらない。明らかなる選定ミスではなかろうか。

    有馬頼義『空家の少年』。隣家の美しい人妻に思いを抱いた少年が、明け方に隣りの裏庭で夫婦がシャベルを使い、何かを埋める光景を目にする。そして、迎える恐ろしい結末。

    石沢英太郎『その犬の名はリリー』。事故で夫を喪った隣家の未亡人が、夫が可愛がっていた愛犬を虐めるようになる。リリーという名前の愛犬を虐める理由は……

    江戸川乱歩『陰獣』。物語の語り手の探偵作家が小山田静子という人妻から相談された彼女の身にに降りかかった恐怖を綴る。ある時、静子の元に平田一郎という人物から彼女への復讐を誓う恐るべき手紙が届く。平田一郎は静子が一時だけ恋仲になった男で、いつの間にか大江春泥という探偵作家になっていた。謎に包まれた大江春泥の正体と彼が行おうとする復讐とは……

    折原一『耳すます部屋』。じわじわと恐怖が背後に忍び寄って来るようなストーリー。これは間違いなく久恵が八重子の娘のゆかりを殺害したのに違いないと思えば……

    鈴木輝一郎『あなたのためを思って』。ミステリーではなく、筒井康隆の初期作品のような風合いの短編。主人公は千代田区民定着サービスを名乗る老婆に平凡な生活をかき乱される。

    宮部みゆき『さよなら、キリハラさん』。思いっきりつまらないSFチックな短編。

    本体価格694円(古本100円)
    ★★★

  • 6人の有名ミステリー作家の短編集である。
    有馬頼義氏の作品は、今まで読んだ事が無かったのだが、「空家の少年」は、少年の初恋の感情が、隣家の15歳もの年上の人妻に 心が奪われる。
    精神的な恋心なのだが、、、空気銃の発砲から、隣の庭の穴を掘っている事から、殺人事件の共犯者として、隣人の夫が、逮捕されるのだが、、、、最後の隣人の妻と少年の会話の後、空き家になった隣家から、見つかった者は・・・・インパクトが、強い作品である。

    石沢英太郎氏の「その犬の名はリリー」
    妻が、事故死した夫の残した可愛がっていた犬の名は、リリー。
    そして、親しく通っていたスナックの名も「リリー」で、そこの雇われママは、妻の学生時代の友で、憎悪が、剥きだす。
    しかし、本当に付き合って浮気した相手は、予想外の女であった。

    江戸川乱歩氏の「陰獣」
    ストーカーが、殺人へと発展するのだが、、、
    屋根裏に居た人物は、誰だ?
    実業家の小山田六郎か、探偵作家の大江春泥の平田一郎か?
    なぞときに、乱歩の上手さが、光る。

    折原一氏の「耳をすます部屋」
    仕事を持つ母と、主婦業の母との子供の同士の付き合いで、人の良い主婦が、学校の終わった後、面倒を見るのだが、、、子供も、遠慮が、助長してきて、横柄な態度に、、、、
    一瞬、読んでいて、主婦の方が、堪忍袋の緒が、切れたのだと思ったのだが、、、意外な終り方であった。

    鈴木輝一郎氏の「あなたのためを思って」
    ゴミの中に、たまたま捨てられていた猫の死骸を入れたことから発端に。
    そこに現れたのが、区民定着サービスの老婆。
    そして、中国のようなどこの場所に居ても見られている感覚と、自分の生活に土足で、踏み込まれている感覚が、爆発してしまって殺人を犯して、老婆をゴミ袋に入れるのだが、、、、そこで、又別の人物が、現われるのである。

    宮部みゆき氏の「さよなら、キリハラさん」
    突然に耳が聞こえなくなってしまったら・・・・
    ある一家に 家の中で、音が遮断されたようになる。
    そして、キリハラなる人物が、現われ、音波管理委員会からの派遣されて来たという。しかし、実態は、父親と一緒の会社の研究スタッフであり、祖母の自殺をも止めた男である。
    今まで、平穏に過ごしていたのに、、、、
    会社の上司が、難聴をしないようにと、高性能の耳栓開発の為であった。

    どれもこれも、読み終えて、短篇なのに、どっしりとした感覚であった。

  • 【収録作品】「空家の少年」 有馬 頼義/「その犬の名はリリー」 石沢 英太郎/「陰獣」 江戸川 乱歩/「耳すます部屋」 折原 一/「あなたのためを思って」 鈴木 輝一郎/「さよなら、キリハラさん」 宮部 みゆき

  • さっくり読めるミステリー短編集

     ほのぼのした宮部みゆき作品は既読だったけど、その他は楽しく読めた。短編は短時間一気読みてきるから、細切れ時間の活用に良いなぁ。

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