遊里の旋風-大富豪同心(5) (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575664959

感想・レビュー・書評

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  • 大富豪同心シリーズ5作目。
    今回の舞台は吉原です。
    そうです、卯之吉が大好きな遊蕩の地。

    お忍びで遊びに来ていた内与力の沢田氏。
    下手人にされそうになって、咄嗟に思いついたのが卯之吉のこと。
    この方、卯之吉を同心にする為三国屋の爺様に丸め込まれた人。
    当然卯之吉の正体を知っている数少ない一人なのでした。
    ところが、卯之吉にしてみれば粋な若旦那として顔が売れているので、
    絶対に同心姿ではウロチョロできない。
    という訳で、本筋の捕り物とは別にドタバタ有ります。
    もちろんそこは苦労知らずでマイペースな卯之吉ですから、
    周囲のヤキモキを余所に、吉原を満喫してるのが笑えます。
    心の中で卯之吉に突っ込む幇間銀八のぼやきとかも笑えます。

    吉原の中は縄張り違いなので三右衛門親分は手が出せません。
    でも、大丈夫。
    吉原独自のシステム四郎兵衛番所の男衆や女郎のお姉さん達が、
    またまた卯之吉を良い方に誤解して、みんなしてお手伝いしてくれます。
    美鈴さんはやはり頼もしい剣の腕前だし。
    吉原で顔見知りの遊蕩仲間が、
    実は寺社奉行所の大検使(町奉行所での与力にあたるらしい)なんて、
    何処までも広がるよ、やり手同心の人脈が・・・。
    本人にその気がまるで無いのに。

    前回の捕り物で逃げ延びた盗人一味の一人が、
    卯之吉の正体に気付いたりと、次回も波乱の予感です。

  • 大富豪同心シリーズ第五弾。吉原遊びを楽しんでいた内与力の沢田彦太郎が、相方となった遊女殺しに巻き込まれ下手人扱いされる。窮地を脱するため思いついたのが、八巻卯之吉に吉原同心を命じ身の潔白を証明すること。だが、三国屋の若旦那は同心として乗り込むことはできない。そこで卯之吉が役者を身代わりにするという奇想天外の策を思いつく…。卯之吉の吉原仲間?に寺社奉行の大検視朔太郎が登場し、展開が広がる。

  • 今回の主たる舞台は、卯之吉が大好きな吉原。同心八巻卯之吉としてではなく、三国屋の若旦那として好きなだけ菊野太夫と遊びながら「仕事」ができるとあって、卯之吉キャラ全開の面白おかしい話になっている。

    南町奉行所内与力である沢田彦太郎が吉原で遊女殺しの犯人扱いをされてしまったのが、そもそもの発端である。殺しの現場は沢田が犯人だとしか思えない状況になっている。真犯人を見つけるために沢田は卯之吉に吉原面番所担当を命じてしまう。しかし、同心になってからも吉原では「三国屋の若旦那」で通してきた卯之吉ゆえ、同心姿で吉原に出向くことはできない。前々作の『一万両の長屋』で活躍してもらった陰間茶屋の若衆、由利之丞に無理を言って手伝ってもらうことにする。となると、由利之丞に夢中の浪人水谷弥五郎も手伝うことになる。弥五郎の意志で由利之丞の護衛を担当する。

    いつも探索を手伝う荒海ノ三右衛門は吉原に入ることはできない。卯之吉に惚れてしまった娘剣豪の美鈴もである。二人がやきもきする様が読んでいて楽しい。また、随所に笑いの壷があり、にやにやしながら読み進めていった。遊び人の朔太郎さんの意外な正体とか、執念深く卯之吉をつけねらうお峰のしたたかさなど伏線も多い。

    放蕩者の役立たずと自負している卯之吉だが、若旦那時代に身につけた蘭方医の知識が今回も役立っているなど、同心としては意外と優秀である。今回は、お大名の三男である源之丞が登場しないのが残念だった。また、美鈴、菊野太夫、お峰、吉原の遊女たち、女性があちこちで見せ場を作っているのもいいと思った。

  • 卯之吉の大好きな吉原が舞台の5巻。
    しょっぱなから沢田の野暮なエロオヤジぶりにうんざりしかかるけれど、濡れ衣着せられて慌てふためき、頼りの卯之吉にまで犯人扱いされて気の毒になり、挙句ベシャッと倒れて泣きながら畳を叩くあたりで可愛いと思ってしまう序盤。
    実はスゴイ人な、卯之吉の放蕩仲間の朔太郎が登場したり、馴染みの菊里の日常が垣間見れたり。
    悪党の火男ノ金左衛門はパッとせず、もっぱら手下の禄太郎の描写が多かった。
    なんだかこの人、読んでる間ずっと『死がふたりを分かつまで』という漫画に出てくる千治という気障なヤクザの顔がイメージとして頭に浮かんでいた。
    何故だろう…?

    今作驚いたのは、弥五郎が(一応?)美男だったということ。
    ムッサいオッサンというイメージしかなく、まさか燻銀の凄みが利いた好い男だと遊女に言われるだなんて…どうも失礼しました。

  • 沢田さま、大災難の巻。
    殺人の汚名を着せられてしまうなんて。
    由利之丞も、なんだかんだ言って頑張った。(色々調子のいいところもあるけど。)それに振り回される弥五郎も大変だw
    新登場の朔太郎も今後の活躍が楽しみ。

  • シリーズ5作目。楽しい。今回は吉原が舞台。NHKでドラマ化された時に、やってた話なので、よけい面白く読めた

  • 退院後の自宅療養中に読了。
    入院中の読書用にと、本好きの叔母から全巻揃いで供与。

    シリーズ5作目。
    吉原を火の海にし、浅草寺の寺銭を盗もうとする火男ノ金左衛門一党の陰謀を卯之吉が暴く!美剣士の美鈴や売れない役者の由利之丞なども大活躍。
    (↑手抜き)

  • 今回は、卯之吉の人任せっぷりが今まで以上に度を超していた。
    でも、なんやかんやで解決してしまうのが面白くて、ついつい読んでしまう。

  • いつも他人任せだけどね、卯之さん。今回はいつにもまして他人任せな上に、完全に他人事。全然事件を解決する気ナッシング( ̄▽ ̄;)沢田様、好きじゃないけど、かわいそう(-_-;)最後は何とかまとめましたが。今回は由利之丞を誉めてあげなくちゃ!美鈴様もお気の毒。名前ばかり大きくなってく卯之さん。何だか不穏な感じで終わりましたが、切り抜けていけるんでしょうか?周りが大変。

  • 卯之吉の代役がまたまた活躍。

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著者プロフィール

一九六八年、栃木県生まれ。武蔵野美術大学造形学部卒業。テレビ局嘱託職員を経た後、CM製作会社勤務。イラストレーターとして広告に挿絵などを描いていたが、一九九五年、フリーライターに転じ、実録物など、数多くの媒体で活躍。二〇〇八年「天下御免の信十郎」シリーズで、時代小説作家として文壇デビュー。人気を博す。

「2021年 『騎虎の将 太田道灌下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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