川あかり (双葉文庫)

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  • 双葉社
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レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575666526

感想・レビュー・書評

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  • 藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。カエルが顔に飛んできただけで腰を抜かし頭を打つ。しかも、そのカエルを可愛そうだと殺すことも出来ない。

    青年武士たちが藩政改革を唱え立ち上がっても、「怖いから」と参加出来ない。

    そんな彼に与えられたのが「刺客」としての密命。

    権力闘争に巻き込まれ、無理難題を押し付けられる。

    青年を利用する指導者は醜い。


    川止めにより、一癖も二癖もある連中と関わりあいを持たざるを得なくなる七十郎。

    トラブルに巻き込まれ、必死にそれに立ち向かっていく中で、彼は自分でも気づかない「宝」を見つけていく。

    それは自分の中にもあり、すぐ目の前にもある。だが、なかなか気づくことは出来ない。


    他人なれども語らひぬれば命にも替わるぞかし。

    人のために火をともせば、我が前明らかなるがごとし。

    同窓の先輩が薦めてくださった力作に偽りなし。
    図書館で借りたが、読了後購入。


    人は誰かのために生きる時、無限の力が発揮出来るの。

    宿命すら乗り越えていけるのだ。

  • そのまま、映像化できるそんな作品。
    映画ならば、監督は山田洋次監督かな・・・。
    主役の伊東七十郎は誰か、藩で一番の臆病者を演じるには、新人の抜擢か・・・。美祢役は・・・。いろいろ想像して楽しくなる。
    内容は、お家騒動と、虐げられた者たちの連帯、そして逆境下での人間信頼、まるで黒沢映画の世界でもある。

  • 面白かった!
    正直、マンガライクなエンターテイメントストーリ(笑)

    本作の主人公は、藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。剣術も苦手な人物。
    その七十郎は、派閥争いの渦中にある家老の暗殺を命じられます。
    家老が江戸から帰るところを討つわけですが、長雨で川止めに。そこで、木賃宿で川明け待つことに..
    しかし、その相部屋では、一癖も二癖もある連中ばかり。とりわけ、あやしい5人組。浪人だったり、お坊様だったり、猿回しをしているものだったり、妖艶な姉さんだったり、ヤクザ者だったり..

    この5人と七十郎の関係が深まっていくところが素晴らしい
    七十郎の臆病さ、だめさ加減が川止めの間に起こるさまざまな出来事で印象付けられます。
    一方で、七十郎の武士としての矜持も描かれます。

    そして、いよいよ川明けとなり、七十郎は家老を斬ることが出来るのか?
    といった展開です。

    本物の勇気
    大切なひとを守ろうとする気持ち

    それが最後、ヒシヒシと伝わってくる物語です
    文左衛門の台詞にあついものが込み上げます。

    「大切にせねばならぬ者のことを何と呼ぶか存じておるか」
    「わかりませぬ。教えてください」
    「友だ」
    しびれる....

    とってもお勧め

  • 人は窮地に陥った時にこそ、真価が問われるという。ちょっと変わった人物造形と展開でしたが、表層的なことではない、人として大切なものを描いた作品ですね。藩一番の臆病者であるはずの主人公、七十郎。窮地に陥った彼に何が訪れるか…楽しく惹き込まれましたよ。満足です

  • 藩で一番の臆病者といわれているのに、刺客を命ぜられてしまった。伊東七十郎。
    雨の影響で川止めになっている間逗留する事になった木賃宿では、クセが強すぎる面々と相部屋になってしまい、今後が思いやられる・・という、ところから話は始まります。
    話が進むうちに、相部屋になった一見めんどくさそうな面々も、実はとある事情を背負っている事が明らかになり、彼らと七十郎との妙な絆が生まれていく過程が良いですね。
    七十郎も決してただの臆病者ではなく、人として大切なものをしっかり持っている若者なのです。
    読んだ後は、心が温かいものに満たされるような、そんな気持ちになりました。

  • 勧められて読んでみた。勧めてくれた人には悪いけど、前から私とは好みが違うなぁと思ってたから、あまり期待せずに読んでみた。
    藩で一番の臆病者の主人公 七十郎がどういうわけか、刺客に命じられて死を覚悟しながら赴けば、悪天候続きで討つべき相手が川止めでボロボロの木賃宿に投宿することに。
    そこで出会うわけありな人々に最初は反発しながらも、遂には深く信頼しあい、友となる。

    途中まではあんまりページが進まなかったけど、中盤からはすごく良くなった。
    心に沁みるシーンがいくつもあり、特に明日には川明けで、刺客としての使命を果たす=死ぬ事になる夜、寝付けない七十郎とお若のやり取りがいい。
    葉室麟さんは初めて読んだけど、他のも読んでみたくなった。

  • 潘一番の臆病者の伊藤七十郎が主人公。
    家老を暗殺するように命じられ、暗殺にいくも、川が反乱し家老までたどり着けない。川が静まるまで、近くの宿に泊まることとなり、いろいろ巻き込まれ、助け助けられで進んでいく話。
    葉室作品は毎度登場人物が多く把握しきれなくなるのは何故だろう。宿の中の話が一番面白く、お若を人質に取られたあたりが一番おもしろかった。
    最後は針や手裏剣を駆使して爽快に終わってほしかったが、時代背景なのか七十郎のせいなのか、もたもた感が半端なかった。
    最後に約束は守らねばと自分に言い聞かせるように七十郎が思っていたのはおもしろかった。
    葉室作品のタイトル通り川明かりについても説明があったが、他の作品ほど印象に残らなかったのが残念。

  • 藩で、一番の臆病者と言われている伊東七十郎 18歳。
    真面目で、清廉潔癖な青年が、派閥争いで、家老暗殺を依頼される。
    死を持って、闘わねばならぬのだが、雨の為に、川止めで、木賃宿で、足止めされる。
    そこで、やはり、正義感の為に、盗賊になって、故郷再建を夢見る人と、一緒に生活をして、臆病者なのに、人を、切ってしまったり、女房の浮気を疑って、人を殺した男を役人へ突き出したりと、事件に遭遇していてしまう。

    七十郎が、ぽつりと漏らす、「皆一生懸命生きているのに、哀しいのは、なぜなのだろう」
    題名の「川あかり」、後半、おさとが、日が暮れて、辺りが暗くなっても、川は白く輝いている、、と、、、
    白く輝いているのを見ると、元気になれる。何にもいい事が、無くても人の心には光が、残っていると、思えるから、、、、
    最後に七十郎は、奥の手の手裏剣も、針も、置いて、刺客として、立ち向かう。
    ほんわかと、文章で、書かれており、逼迫さにが、少ないが、武士として、恥じない生き方をしている七十郎に、声援を送りたい気になった。

  • 葉室作品読みまくり。ほんと好き。
    歴史ファンタジーにはまった。日本の歴史。

    今回は、キャラがとても立っているのは他の作品と同じなんだけど、なんといったらいいんだろう、アニメにできそう、というか。
    ほしいキャラがぜったい居る、というか。

    盗賊とか、刺客とか、お嬢とか、素朴なかわいい子とか、妖艶なお姉さんとか、ほら、もうなんかねらってる感じ?

    はあったんだけど、それでもやっぱりいいね。
    今回の主人公の、弱さが強さだ、っていうテーマ?が面白くて、実力隠してたけど実は強かったんですっていう流れで終わっちゃわなかったのが良かった。

    渦巻く幕府の思惑、汚い政権争い、それに巻き込まれた庶民達。葉室作品では、それに真っ向からでないにしろ、あるにしろ、立ち向かう心意気のある人達がドラマを作っていく。

    今回もミステリアスな宿屋の客人達、先行きの見えなさにつられて一気に一日で読んでしまった。
    ぐいぐい読ませるストーリーのおもしろさ。そしてどこかで泣けてしまう、素朴な力強さに完全にはまっているようです^0^//

    川あかり について語った人がまた良くて、暗くなってもきらきら残る川の表面の輝き、それが希望につながるんだと思うと泣けましたよね・・・・

  • 2018.11.10

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著者プロフィール

葉室 麟(はむろ りん)
1951年1月25日 – 2017年12月23日
福岡県北九州市小倉生まれ。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て小説家に。2005年に短編「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞受賞(のち単行本化)、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。
上記以外の代表作に、2018年9月に岡田准一主演で映画化される『散り椿』、第22回山本周五郎賞候補及び第141回直木賞候補だった『秋月記』がある。

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