川あかり (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575666526

感想・レビュー・書評

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  • 綾瀬藩に仕える侍、伊東七十郎18歳は、藩で一番の臆病者であり、若侍たちの立てこもりに参加しなかったのがきっかけで、元勘定奉行の増田惣右衛門に、甘利典膳の刺客を命ぜられます。
    そのかわり、稲垣家の娘の美祢17歳を妻にめとらせると言われますが、七十郎は美祢の意中の人物は立てこもりに参加している桜井市之進であることを知っており、それは美祢に直接断り、刺客として出発しますが、途中で川止めにあいます。

    そこで、木賃宿に宿泊し、牢人の佐々豪右衛門、坊主の徳元、猿回しの弥之助、鳥追いのお若、千吉という若者に出会います。そして、親を亡くしたおさとと、五郎のの姉弟がその祖父の薬代を払えずに困っているのを助けることになります。
    七十郎はそこでも臆病者扱いをされますが、とある事件がきっかけに皆から見直され、訪ねてきたお美祢からも「私は、今まで人を見る目がなかった」と告白されます。
    一方、木賃宿の五人は、実は流れ星という名を持つ訳ありの窃盗集団であったことがわかります。おさとと五郎を含めた八人は以前、同じ村で生活をしていた仲間たちだったのです。
    とうとう川止めが終わり七十郎の刺客としての決戦の日がやってきますが…。

    読んでいくうちに、流れ星の面々のキャラクターがよくわかり、心根の優しい為に人を殺められない七十郎とともに愛おしく感じられ、仲間たちとのやり取りがとても楽しかったです。
    お若さんと七十郎は、その後どうなったのかが、気になるところです。

    • まことさん
      やまさん♪こんばんは。

      七十郎が、典膳を討ちに行くとき、手裏剣と針を置いていってしまったのには、ひやひやしましたが…。見事なチームプレ...
      やまさん♪こんばんは。

      七十郎が、典膳を討ちに行くとき、手裏剣と針を置いていってしまったのには、ひやひやしましたが…。見事なチームプレーでした。(*^^*)
      2020/03/04
  • 川あかり
    2014.02発行。字の大きさは、中。

    綾瀬藩小姓組・伊東七十郎は、派閥の領袖の増田惣右衛門から江戸から帰国する家老・望月典膳を討つため刺客を命ぜられる。
    七十郎は、藩で一番の臆病者であり剣術はからっきし駄目である。
    惣右衛門は、七十郎が典膳を殺す事を目的とせず、ただ捨て駒として典膳への刺客とする。

    刺客として、典膳を討つため雨のなか巨勢川まで来たが、あまりの雨で川止めになっている。
    木賃宿に泊まり川止めが明けるのを待つ。
    その木賃宿で知り合い、助け合った者たちが、七十郎の友となり典膳を討ちに行くと我が身を捨てて七十郎を守ろうとする。
    七十郎は、お互い死を覚悟して友を守ろうとする。

    人は、ここまで成長するのかと思い、感極まるものがありました。

    • まことさん
      やまさん♪こんにちは。

      いつも、こちらこそ、ありがとうございます。
      それで、再読の登録のことですが、やまさん、ごめんなさい(__)
      ...
      やまさん♪こんにちは。

      いつも、こちらこそ、ありがとうございます。
      それで、再読の登録のことですが、やまさん、ごめんなさい(__)
      再読して、登録したことがないので、よくわかりません。
      「レビューを編集する」でレビューの字の間違いを直したことはありますが。
      「レビューを編集する」で全文を直すことも可能かとは思いますが、もっといいやり方が
      あるのでしょうね。
      お役にたてなくてすいません。
      どなたか、他の方にもおききになってみてください。
      2020/05/18
    • まことさん
      やまさん♪

      再読記録を使うとよさそうな、気がしますが、表に出てくるかどうかはやったことがないので、わからないです。
      ブクログさんに問...
      やまさん♪

      再読記録を使うとよさそうな、気がしますが、表に出てくるかどうかはやったことがないので、わからないです。
      ブクログさんに問い合わせてみてはどうでしょうか?
      2020/05/18
    • まことさん
      やまさん♪こんにちは。

      ご返答、わざわざありがとうございます!
      再読登録はタイムラインに反映しないのですね。残念でしたね。
      でも、...
      やまさん♪こんにちは。

      ご返答、わざわざありがとうございます!
      再読登録はタイムラインに反映しないのですね。残念でしたね。
      でも、ブクログさんも親切に答えてくれてよかったですね(*^^*)
      2020/05/19
  • 軽いほのぼの系の時代物です。藩で一番の臆病者と自他ともに許す伊東七十郎に刺客の密命が下される。長雨で川止めに遭い、閉ざされた木賃宿でいやいや出逢った有象無象の面々と過ごしているうちに何だか気持ちが通い始める七十郎。さて名うての相手に対し無事に務めを果たすことは叶うのか? 最後までけっこう情けない七十郎の活躍や如何に❔❗

  • そのまま、映像化できるそんな作品。
    映画ならば、監督は山田洋次監督かな・・・。
    主役の伊東七十郎は誰か、藩で一番の臆病者を演じるには、新人の抜擢か・・・。美祢役は・・・。いろいろ想像して楽しくなる。
    内容は、お家騒動と、虐げられた者たちの連帯、そして逆境下での人間信頼、まるで黒沢映画の世界でもある。

    • moboyokohamaさん
      武士にとって手裏剣というのは卑怯な手段なんだなって書いてありましたね。
      そう言われるとそんな気もしましたが、では何故七十郎の父親が手裏剣を教...
      武士にとって手裏剣というのは卑怯な手段なんだなって書いてありましたね。
      そう言われるとそんな気もしましたが、では何故七十郎の父親が手裏剣を教えたのでしょうね。
      目の前にご馳走をおきながら食べてはいけない、なんて。
      ただ単に七十郎を鍛えるためならば下手でも剣術で良かったのではないか。
      父親も子のことを思い、手裏剣技を使うなとは言いながら万が一身を守らねばならない時にはやむを得ないが、と保険をかけていたのだろうなあ。
      七十郎、親の思いを超える技の正しい使い方で正義を成したと思います。
      2020/03/04
  • 読後に清々しさを覚える時代小説である。藩の派閥争いに巻き込まれ、家老の暗殺を命ぜられた藩で一番の臆病者、伊東七十郎。川止めされた木賃宿で知り合った豪右衛門らと過ごす中…

    七十郎が暗殺の日を迎えるまでのストーリーはまるで映画を見るかのように波乱に満ちており、非常に面白い。七十郎の人柄、真っ直ぐな心に胸を打たれ、どうか暗殺が成功するようにと願う自分が居た。

  • 情けなく臆病な主人公に最初は頼りなさしか感じなかったけれど、それでも最後の部分は踏ん張れる強さがある。
    普段とここぞと言う時のギャップから、格好いい!と思っちゃった。
    力を貸してくれる人たちもまた理不尽な人生を押し付けられた苦労人なので、これから幸せになって欲しい。

  • 藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。カエルが顔に飛んできただけで腰を抜かし頭を打つ。しかも、そのカエルを可愛そうだと殺すことも出来ない。

    青年武士たちが藩政改革を唱え立ち上がっても、「怖いから」と参加出来ない。

    そんな彼に与えられたのが「刺客」としての密命。

    権力闘争に巻き込まれ、無理難題を押し付けられる。

    青年を利用する指導者は醜い。


    川止めにより、一癖も二癖もある連中と関わりあいを持たざるを得なくなる七十郎。

    トラブルに巻き込まれ、必死にそれに立ち向かっていく中で、彼は自分でも気づかない「宝」を見つけていく。

    それは自分の中にもあり、すぐ目の前にもある。だが、なかなか気づくことは出来ない。


    他人なれども語らひぬれば命にも替わるぞかし。

    人のために火をともせば、我が前明らかなるがごとし。

    同窓の先輩が薦めてくださった力作に偽りなし。
    図書館で借りたが、読了後購入。


    人は誰かのために生きる時、無限の力が発揮出来るの。

    宿命すら乗り越えていけるのだ。

  • 藩一番臆病な男がまさかの暗殺者として抜擢、その意図とは、また果たして彼は立派にお役目が果たせるのか・・
    まずこのアイデアが面白い。
    臆病者なりの戦い方、臆病者なりの筋の通し方、臆病者ゆえの律義さなどから、彼は臆病だが立派な武士の心を持った男だったことがわかるという趣向が秀逸。
    特に第12章での感動の嵐・・すべてはこの章のラストフレーズのための序章に過ぎないとさえ思わせます。

  • 面白かった!
    正直、マンガライクなエンターテイメントストーリ(笑)

    本作の主人公は、藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。剣術も苦手な人物。
    その七十郎は、派閥争いの渦中にある家老の暗殺を命じられます。
    家老が江戸から帰るところを討つわけですが、長雨で川止めに。そこで、木賃宿で川明け待つことに..
    しかし、その相部屋では、一癖も二癖もある連中ばかり。とりわけ、あやしい5人組。浪人だったり、お坊様だったり、猿回しをしているものだったり、妖艶な姉さんだったり、ヤクザ者だったり..

    この5人と七十郎の関係が深まっていくところが素晴らしい
    七十郎の臆病さ、だめさ加減が川止めの間に起こるさまざまな出来事で印象付けられます。
    一方で、七十郎の武士としての矜持も描かれます。

    そして、いよいよ川明けとなり、七十郎は家老を斬ることが出来るのか?
    といった展開です。

    本物の勇気
    大切なひとを守ろうとする気持ち

    それが最後、ヒシヒシと伝わってくる物語です
    文左衛門の台詞にあついものが込み上げます。

    「大切にせねばならぬ者のことを何と呼ぶか存じておるか」
    「わかりませぬ。教えてください」
    「友だ」
    しびれる....

    とってもお勧め

  • よい

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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