- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575667479
作品紹介・あらすじ
切腹した父の無念を晴らすという悲願を胸に、武家の出を隠し女中となった菜々。意外にも奉公先の風早家は温かい家で、当主の市之進や奥方の佐知から菜々は優しく教えられ導かれていく。だが、風早家に危機が迫る。前藩主に繋がる勘定方の不正を糺そうとする市之進に罠が仕掛けられたのだ。そして、その首謀者は、かつて母の口から聞いた父の仇、轟平九郎であった。亡き父のため、風早家のため、菜々は孤軍奮闘し、ついに一世一代の勝負に挑む。日本晴れの読み心地を約束する、極上の時代エンターテインメント。
感想・レビュー・書評
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フォロワーさんお薦めの一冊。
とても気持ちが清々しくなるお話でした。
ありがとうございます。
この小説は、時代小説のかたちをした、菜々という16歳の女の子が起こした奇跡の物語だと思いました。
鏑木藩の上士風早一之進25歳、妻の佐知23歳、4歳の長男正助、3歳の長女とよの居る家に女中奉公に住み込みで菜々がやってくるところから始まります。
菜々は幼い時に父を亡くし、今は母を亡くしたばかりです。
父は元武家で、轟平九郎の画策により、切腹をしています。
一之進の妻、佐知は露草(俳諧では蛍草)に見とれている菜々に「きれいな花に目が留まるのは心が豊かな証。蛍はひと夏だけ輝いて生を終えます。だからこそけなげで美しいのでしょうが。ひとも同じかもしれませんね」ということばと万葉集の月草の歌を教えて病で亡くなってしまいます。
佐知を慕っていた菜々は、その後も、一之進が江戸で闇討ちの疑いがかけられ投獄されてしまい、正助ととよを引き取り、一人で働きながら、面倒をみていきます。
一之進には、佐知から遺言で「菜々を後添えにと言われていた」ということを打ち明けられていましたが、菜々は、いったんは断っていました。
菜々の周りには、団子の好きな剣術使いの壇浦五兵衛、菜々を慕う従兄の宗太郎、質屋のお舟、儒教学者の椎上節斎、最初は敵だった湧田権蔵などがいて、何かと助けてもらいます。
菜々は、お舟に借りた家に住み大八車を借りて、野菜と草履を売りに行きます。
そしてついに菜々は、轟平九郎と御前試合で真剣にて立ち合うことになります。菜々は五兵衛に剣術の稽古をつけてもらっていたのです。
果たして菜々は…。
菜々の周りには、いつも暖かな、いい空気が漂っていました。菜々は強い精神力と機転を働かせていつも、きびきびと働き、人に幸せを運んでくる女の子だったと思いました。 -
螢草
2015.11発行。字の大きさは、中。
鏑木藩勘定方・安坂長七郎は、轟平九郎の罠にはまり切腹させられた。
その娘・菜々は、ご城下の勘定方・風早市之進のもとへ女中として奉公に出る。
市之進の妻・佐知は、菜々を妹のように慈しみ育てる。
そんな佐知が病にて亡くなる(涙)。
佐知は、幼子2人を菜々に託し、夫に、わたし亡きあとは、菜々を妻にと言い残して亡くなる。
市之進は、藩主交代をきに藩政改革をおこなをとするが、これに反対する平九郎の罠にはまる。
菜々は、市之進を助けるため父が残した平九郎の不正を行った証となる文書をもって御前試合で平九郎と対決する…。
最後は、涙なくては話せぬ…
【レビュー番外】
「蛍草」は、葉室麟さんの本を読むときの入門書としてはとても良い本です。
わたしは、しばらくしたらもう一度読んでみようと思っています。-
やまさん♪こんにちは!
ご紹介ありがとうございました!
時代小説は言葉遣いが難しかったりするので、苦手なのですが、この作品はとても読...やまさん♪こんにちは!
ご紹介ありがとうございました!
時代小説は言葉遣いが難しかったりするので、苦手なのですが、この作品はとても読みやすくストーリーも心が温まりよかったです。
最後ははらはらしましたが、ラストは本当によかった!!!
本当に、奇跡の物語だと思いました(*^^*)
菜々の人柄がよかったのでしょうね!2020/02/12
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鏑木藩、藩士の家に生まれた、菜々は、3歳の時、父親が、城内で刃傷沙汰を起こし、切腹。
赤村の庄屋の娘であった、母親と実家で暮らしたが、
祖父と母が相次いで死に、叔母との折り合いが悪く、従兄弟の宗太郎との縁談を嫌い、風早家の女中として、働くことになった。
当主の、風早市之進には、志の高さに憧れを抱き、深く敬い、妻の佐知には、実の姉とも思い、慕った。
二人の子供達は、可愛く、温かい人達に囲まれて、幸せに過ごしていた。
しかし、奥方の佐知が病没し、しかも、前藩主に関わる不正を糺そうとした市之進に、罠が仕掛けられ、囚われてしまった。
罠を仕掛けたのは、菜々の父親の仇、轟平九郎。
残された子供達を健気に育て、市之進の無実の罪を晴らすため、菜々は、轟平九郎に、戦いを挑む。
周りの人々との、温かい交流。
上手くいきすぎ感は、否めないが、読後感は、良かった。 -
NHKのドラマの最後の2回分ぐらいを見たので気になっていた。主人公の清原果耶と仇役の北村有起哉を重ね合わせて見てしまう。
タイトルの蛍草をホタルブクロと勘違いしていたが「ツユクサ」だそうで、真夏の暑い日の日盛りに涼しげに咲く可憐な青色の花は清原果耶にピッタリである。亡くなった奥方は蛍草を「健気でかわいらしい、命の花が咲いている」と主人公に見立てている。
主人公を助ける3人を間違った滑稽な名前で呼び続けたり、抜けているところもあったりして、主家のためや自分の父の敵討ちという重いテーマの話しを軽く読ませてくれる。 -
爽やかな読後感。
これに尽きます。時代小説としては鉄板ネタを入れ込みつつ、ある意味ではシンデレラストーリーになっている。主人公を取り巻く主要な登場人物の大多数が善人で、「世の中捨てたもんじゃないよね」という気分にしてくれる。あまり時代小説を読んだ事がない人でも、すっと入れると思います。
なお、NHKでのドラマ化は清原果耶が演じていて、年齢や凛とした佇まいは主人公菜々そのものでよかった。
……と、ここまで褒めておいて⭐︎ひとつなのは理由がある。2020年に購入して読んだ際、次の一節で引っ掛かって、読了後ずっとほったらかしだったからだ。曰く、
"じっと見ていたらゆっくりした動きで透明な蝶の羽らしいものが少しずつ出てきた。息を詰めて眺めるうちに、大きな揚羽蝶がじわりと蛹から出てきた。わっ、と声をあげそうになって、あわてて口を押さえた。揚羽蝶はしばらく枝に止まったままだったが、不意に羽を広げたかと思うと、あっという間に飛び立ってしまった。
…本作のもつ内容的な良さとは全く無縁な、単なる一描写だと思う。野暮な事は百も承知です。
でも、
『作者も担当編集者も、本物のチョウの羽化を見た事がないのかな』
…と思ったら時代小説のファンである自分がなんだか悲しくなったんですよね。単にそれだけです。-
腹の水分が羽脈に行き渡り、乾くまでの描写がなかったことですね。わかります。
この手の経験、私にもあります。『神去りなぁなぁ』の中で、山の...腹の水分が羽脈に行き渡り、乾くまでの描写がなかったことですね。わかります。
この手の経験、私にもあります。『神去りなぁなぁ』の中で、山の中で桜祭りをやるのだけど、夜!19時位までやってる。都会と違い、電気も照明もない暗い中、山道を帰る表現にどうしても違和感を感じて、続きが出ても読む気が失せました。編集さん、がんばれ!2023/03/13 -
2023/03/13
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面白かった
漫画ライクな、勧善懲悪+シンデレラのエンターテイメント鉄板ストーリ(笑)
主人公は、武家の出を隠し女中となった菜々。
父親は轟平九郎の画策により切腹。母親もなくなり、風早家の女中として働くことに。
当主の市之進、妻の佐知、長男の正助、長女とよ、と温かく優しく暮らします。
しかしながら、妻の佐知は亡くなり、革新派の市之進には罠が仕掛けられ投獄、住むところも召し上げられてしまいます。
菜々は正助ととよを引き取って、野菜を売りながら、ぼろ屋で面倒を見ることに。
そんな菜々を助けていく周りの人たちが面白く、これまた温かい。
剣術使いのだんご兵衛、質屋のお骨さん、学者の死神先生、駱駝の親分(すべて、菜々の聞き間違い(笑))
そんな中、ことの首謀者は、かつて母の口から聞いた父の仇、轟平九郎。
亡き父のため、風早家のため、菜々は轟平九郎と御前試合で真剣にて立ち合うことに!
だんご兵衛から剣術を習い、さてどうなる?
といった展開です
もちろん、鉄板ストーリなので、結果は言わずもがななのですが、菜々の醸し出す雰囲気、人柄、それに協力する周りの人たちが温かい。
さらにエンディングはとても心温まるハッピーエンド。
これはとってもお勧め -
「日本晴れの読み心地!」直木賞作家が描く、「爽快&軽快」時代エンターテイメント!
と本の帯に書かれていたように、一生懸命で逞しい主人公で、周りの人も良い人たちで、楽しめました。 -
テレビドラマを先に観てしまい、行間に俳優の顔が浮かぶため(ただし主人公菜々役の清原果耶は適役だった)、小説にはなかなか手が届かなかったが、ようやく。
主人公が艱難辛苦の末に宿願を果たすという、王道の時代小説。
父の無念を晴らすべく武家の出であることを隠し、懸命に生きている16歳の菜々が主人公。
しかし、奉公先の風早家の当主も、同じように父の仇に罠に嵌められる。亡き父のため、風早家のため、孤軍奮闘する菜々。
そんな彼女の危機に、たくましい味方が次々と現れる。
読者も、健気な菜々を応援しながら頁を捲り、読後には大いなる満足感に浸れる究極のエンターテイメント。 -
武家の娘が女中に。藩の権力争いに巻き込まれ、すったもんだ盛りだくさんの展開。しっとり品のある文章。辛いだけでなくユーモアのある明るいやりとりもあり、心を痛めすぎることなく読み進めることができた。
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爽やかな読後感に浸れる一冊。
主人公の菜々も真っ直ぐで良い子ですし、何といっても風早家の夫妻が、それはもう心映えが美しく、二人のお子様方がマジ天使で、本当に素敵な家族なのです。
こんなに素晴らしい風早家に悲運が襲い、何とかしようと孤軍奮闘する菜々の姿が、健気すぎます。
そんな菜々を応援する周りの人々も、味わいがあって魅力的です(空耳アワーな呼び名も、逆にほっこりww)。
解説の方が、双葉社の葉室作品はエンターテイメント色が強い。と耳寄りな情報を仰っていたので、是非チェックしようと思いました。
著者プロフィール
葉室麟の作品






コメントありがとうございます。
下記の文は、「あおなり道場始末」の感想文に読後として書いたものです。
螢草を読まれたの...
コメントありがとうございます。
下記の文は、「あおなり道場始末」の感想文に読後として書いたものです。
螢草を読まれたのであれば、他の3冊も読んでみては如何ですか。
双葉社の4作品は、肩ぐるしい時代小説では有りません。
しかし、1番、感動し、涙が出るのは「螢草」ですが、他の3作品もいい作品です。
【読後】
葉室作品というと人間を真摯に見つめた、重圧な味わいが魅力となっていますが。双葉社の4作品は、エンターテイメントに大きく舵を切った作品であります。
第1作〈川あかり〉 なぜか刺客に選ばれてしまった、藩随一の臆病者の成長が描かれている。
第2作〈螢草〉 窮地に陥った主家のために尽くす娘が、藩内抗争に係わって行く。
第3作〈峠しぐれ〉 隣国との境にある峠の茶屋の夫婦の愛情が、さまざまな事件を通して活写されている。
第4作〈あおなり道場始末〉 物語の全編をとおして青鳴3兄妹弟の明朗なやり取りが気持ちいい。 この物語で作者が言いたいのは、家族の絆だと思う。3兄妹弟の衝撃的な事実が暴かれても、彼らの絆は変わらない。というより、より一層、家族の絆が強まる。
やま
お返事ありがとうございます。
図書館に『川あかり』を予約しました。
今、貸し出し中なので、そんなにすぐには手元にきませ...
お返事ありがとうございます。
図書館に『川あかり』を予約しました。
今、貸し出し中なので、そんなにすぐには手元にきませんが、もし、読めそうだったら読んでみます。
時代小説は、難しい言葉遣いなどがちょっと苦手なのですが、もし私にも読めそうだった読みたいです(*^^*)
お薦めありがとうございます!