峠しぐれ (双葉文庫)

  • 双葉社 (2017年11月16日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784575668612

感想・レビュー・書評

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  • 伊那半平は、昔、結城藩の勘定奉行に仕えていた身分を隠して妻の志乃とともに峠で茶店を営んでいました。
    志乃も元は結城藩のさる身分の奥方でしたが、今は峠の弁天様と呼ばれて親しまれていましたが、15年前に残してきた娘の千春がいます。

    峠の茶屋には、いろいろな客が現れ何度か事件が起こります。
    そして最大の事件は志乃と、現れて再会した千春、志乃の元夫の天野宮内、両方の身が同時に危ないというとき、半平は恩義のある宮内の方を助けに行く方を選びますが、志乃と千春は一体どうなるのかと思いきや、以前に登場した夜狐一味のおみやの活躍によって予想もしなかった展開をみせますが…。
    半平は無事帰って来られるのか…。

    作者の葉室麟さんの作品を拝読したのは『蛍草』に続き2作目ですが、典型的なヒーロー、ヒロインや悪役のキャラクター造型がどこかファンタジカルで天性の上手さがあり、なごみます。ストーリー展開も、この2作は、時代小説の形を借りたファンタジーのような趣がありました。

    • やまさん
      まことさん
      こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      テレビは、ニュースぐらいしか見ません。
      なお、喜んで頂けると嬉しいです。...
      まことさん
      こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      テレビは、ニュースぐらいしか見ません。
      なお、喜んで頂けると嬉しいです。
      やま
      2020/02/21
  • 「峠の弁天様」と呼ばれる女房と寡黙な亭主が峠の茶屋で生活している。その出自が事件とともに表れてゆく。非道の盗賊群を退治していく亭主、誰にでも功徳を施してゆく女房。遂に過去が明かされ隣の藩の重職との関係もあり、騒動に巻き込まれる。
    剣の達人の亭主の活躍と弁天様の女房の感化により悪人達も善人に変わってゆく。感動的な最後のシーンが嬉しくなる。その後の後日談を読みたくなる一冊。

  • 峠しぐれ
    2017.11発行。字の大きさは、中。

    峠の茶屋で起こる様々な事柄を、半平と志乃がお互いを信じて立ち向かう…。

    結城藩より逃亡して諸国を回った志乃と半平は、5年後やっと結城藩と岡野藩の国境にある弁天峠にて老夫婦が営んでいた茶屋を引き継ぎ慎ましく暮らしていている。
    半平は、雖井蛙流(せいありゅう)剣術の遣い手であり。
    結城藩では、志乃の元夫・元家老天野宮内の反対派の家士であったが。2人は、15年前、志乃の元夫が反対派の武士を暗殺するのを目撃したため、元夫と反対派から追われ藩を離れる。
    女房・志乃は、峠の茶屋で「峠の弁天様」と親しまれている。
    志乃と半平の二人の強い絆が最後まで書かれている。

    妻・志乃は夫・半平を信じ、夫は妻のために命を懸けて妻の元夫の危難を救う。そして、疲れて峠に帰ってくる。妻は、襲撃が有るかもしれない茶屋で夫の帰りを待つ。
    読み終って表紙を見ると涙が出る。

    • まことさん
      やまさん♪こんばんは!

      ご紹介ありがとうございました!
      『川あかり』はまだこないので、こちらを先に読みました。
      最後はどうなるのか...
      やまさん♪こんばんは!

      ご紹介ありがとうございました!
      『川あかり』はまだこないので、こちらを先に読みました。
      最後はどうなるのかと思いましたが、ちょっと大人のおとぎ話のような読後でした。
      『蛍草』もですが、夢がありますよね(*^^*)
      面白かったです。
      どうも、ありがとうございました。

      追伸 今日、TVで『蛍草』のドラマの予告をやってるのを見てびっくりしました(*^^*)
      セリフをきいただけで、「あっ!」とわかりましたよ。
      2020/02/21
    • やまさん
      まことさん
      こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      テレビは、ニュースぐらいしか見ません。
      なお、喜んで頂けると嬉しいです。
      ...
      まことさん
      こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      テレビは、ニュースぐらいしか見ません。
      なお、喜んで頂けると嬉しいです。
      やま
      2020/02/21
  • 面白かった
    夫婦の絆、親子の愛が描かれた物語。
    ストーリとしては出来すぎなところがありますが、ハラハラドキドキで楽しむことが出来ました。

    岡野藩領内で隣国との境にある峠の茶店。
    半平と志乃は10年前から老夫婦から茶店を引き継ぎつつましく暮らしています。
    そんな二人が様々な事件に巻き込まれていきます。
    夜狐お仙に率いられた女盗賊一味との対決。
    榊藩の世継ぎ争いのお家騒動。
    奉納試合に参加する役人の息子への剣術指導。
    そういった事件の中、半平は元武士で、それもかなりの剣の達人。そして、志乃も武家出身で娘を残してきたということが明らかになっていきます。
    なぜ、そんな二人が峠で茶店をやっているのか?
    二人のつらい過去が明らかになったうえで、その過去の因縁からクライマックスの事件へ!
    さらに、志乃が残してきた娘千春と夜狐お仙の娘ゆり。
    その二組の親子の愛がじんわりと感じられます。
    自分たちの大切なものを守るため、それぞれがそれぞれの戦いへ。
    そのクライマックスでは、半平、志乃、千春、お仙、ゆりがどうなってしまうのか、ハラハラドキドキの展開になります。
    そうした事件の中から、母娘の愛情、半平と志乃の絆が浮き彫りとなっていきます。
    最後はじんわりきた!

    これは、お勧め

  • 著者の小説の中では、特にエンターテイメント性の高い作品。
    お家騒動あり、女盗賊あり、数多のチャンバラシーンあり。
    峠で茶屋を営む訳ありの夫婦。次第に明らかになるその正体。
    「ひとが敵にやられるのは、怖気づいて逃げようとしたときだ。守るべきもののために敵に立ち向かう者は、簡単にはやられないものだ」と、敢然と戦いに挑む主人公に痛快感を覚え、一気読みとなる。

  • 峠の茶店を営む亭主・半平と、その女房・志乃。志乃は旅人から峠の弁天様と親しまれていたが、実はかつてある武士の妻であり、娘が一人いた。生き別れになり、娘は母を恨んでいるのか?再会出来るのか?ラストは?葉室さんらしい、いい話でした。

  • 訳あって藩を出奔し、峠の茶屋を営む夫婦の人情話。優れた時代小説を読むといつも思うことだが、舞台設定やテーマが限定される中で、マンネリにならずに読み進められるのは、登場人物のキャラクターが立っているからだと感じる。この峠しぐれも同様で、まるで映画やTVの時代劇を観ているように読み進められた。もし自分が監督だったら半平を誰にするだろう、とか考えるのも楽しい。

  • 訳ありな茶屋の夫婦がとても素敵な信頼関係を築いていて安心感があった。
    後半には夫婦の過去が明かされるが、周囲の人々の優しさに助けられて…というのはお約束。
    最後はハラハラとさせられたけれど、面白かった。

  •  隣国との境にある朝霧峠には小さな茶店があった。主人は四十過ぎの寡黙な半平という男。店を手伝うは三十五、六の志乃という女房。旅人からは「峠の弁天様」として親しまれていた。
     ふたりは十五年前、やむを得ない理由では国を捨て、峠の茶店の老夫婦に助けられ、それ以後ふたりで茶店を守っている。半平は元武士で剣の遣い手でもある。志乃は武家の妻で一人の娘がいた。
     ふたりを討つという侍たち、盗賊夜狐の頭で美しいお仙とその娘ゆり、そしてクライマックスは隣国のお家騒動。

  • 歴史上の有名どころではなく、ある意味では普通の人々の切なくも暖かい生き様を描いた葉室氏の真骨頂的な作品。
    親子の情や、たまたま出会った人のあいだに生まれる信頼関係、身に降りかかった災難に真っ直ぐに立ち向かう姿など、今の基準からすれば理不尽な社会制度が当たり前で、かつ物事が単純であった時代だからこそ成立する人間本来の強さと優しさを描いた物語です。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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