おれは一万石(11)-繰綿の幻 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575669756

作品紹介・あらすじ

今秋、米の出来高も平年並みに戻ったが、高岡藩の財政はいまだ問題山積だった。勘定頭の井尻は出入りの商人から繰綿相場の話を聞いて、無断で藩の金を「空売り」に投資する。ところが繰綿の値は上がり続けた。家来の不始末に、正紀はどう決着をつけるのか!? 好評シリーズ第11弾!

感想・レビュー・書評

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  • 繰綿の幻 ー おれは一万石シリーズの11作目
    2019.12発行。字の大きさは…小。

    家臣が、上役の許しも得ず、先物取引に手を出し損失を抱えた…。

    高岡藩勘定頭・井尻又十郎は、上役の許しも得ず、藩公金から十両を持ち出して繰綿問屋・郷倉屋の勧めで繰綿(くりわた)相場の空売りを行ないだした。
    高岡藩世子・井上正紀の妻・京は、来月には子が生まれると言うのに、正紀が庭の紅葉を見に京を連れ出した事が原因で風邪を引きこじらせる。昨年に流産しているため正紀は、心配で仕方がない。
    井尻が空売りした後、下がっていた価格が、繰綿を積んだ淡路丸が江戸へ着かないため、繰綿の価格が上がりだした。
    井尻は、いま含み損を抱えている。
    そんな時に空売りした事が藩主・正国の知る所となる。
    井尻は、藩公金の私的流用で腹を切ろうとしていた。
    荷主の蓬莱屋は、淡路丸が難破したと嘘の情報を流し価格を上げようとしている。
    そのじつ蓬莱屋は、淡路丸の繰綿を下ろして江戸の何処かに隠し、淡路丸を大阪へ向かわせていた。
    繰綿は、淡路丸が行方不明で積荷の繰綿がまだ着かないため品不足で繰綿相場は高騰している。
    繰綿の価格が、上げれば上がるほど井尻の損失は大きくなる。
    はたして、繰綿の価格が下がるのか…。
    井尻は、どうなるか…。

    【豆知識】
    〇繰綿(くりわた)とは、綿花から種子を取り除いたものだ。これから糸を紡ぐ。寒冷地では栽培が難しく、繰綿を西国(大阪から西の国々)から仕入れなくてはならない。
    そして、各地の農家では、農閑余業として繰綿を糸にし、木綿を織る。
    ※綿花は開花後、成熟した蒴果(さくか)が開裂し、綿毛に覆われた種子が出てくる。綿毛には長く伸びた繊維と短い地毛がある。繰綿機で実綿から分離された長繊維を繰綿と呼ぶ。〈ウキペディアより〉。
    ※蒴果(さくか)とは、実のうち、乾燥して裂けて種子を放出する裂開果のうちの一形式。〈コトバンクより〉。
    〇先物取引の空売りは、繰綿の価格が下がれば儲かり、上がれば損をする。
    博奕である。
    本来は、ヘッジであるが。

    • seiyan36さん
      おはようございます。
      遅くなりましたが、プロフィール欄に、性別と都道府県を公開しました。

      時代小説にも、相場を扱った作品があるのです...
      おはようございます。
      遅くなりましたが、プロフィール欄に、性別と都道府県を公開しました。

      時代小説にも、相場を扱った作品があるのですね。
      タイトルを見た時に、繰綿は「そうめん」と読むものと思いました。
      2020/02/22
    • やまさん
      seiyan36さん
      おはようございます。
      有難う御座います。
      やま
      seiyan36さん
      おはようございます。
      有難う御座います。
      やま
      2020/02/22
  • 019年11月双葉文庫刊。書き下ろし。シリーズ11作目。繰綿相場の不正操作に巻き込まれた正紀は、これを解決しようと、いつものように家臣、同心山野辺、房太郎らの力を借りて奮闘する。身重の京の助言を受けながら、推理、探索、チャンバラとはらはらどきどきの展開に。安定路線です。

  • 先物取引と江戸城人事に絡む内幕を使ってまたまた御家の一大事。
    ただ今回の問題はちょっと規模が小さくて緊迫感が少ない。敵役が出たと思ったらすぐ凋落。肩透かし感が大きい。

  • 繰綿の先物取引をめぐる、高岡藩とそれを陥れようとする旗本の暗躍。商才を見込まれた両替屋房太郎も、色仕掛けの前には骨抜きにされ、先物で損をさせられそうになるが、同じくつかまされた高岡藩の勘定奉行共々、正紀、山之辺らの必死の調査で、不正の証拠を掴み、大損は逃れ。読売(瓦版のようなものか)での情報合戦など、フェイクニュース跋扈する現代の世相を江戸にも織り込んだものか。

  • おれは一万石シリーズ第11巻。
    嫡男は跡取りだが次男三男は、行先がないと、何者でもない。尾張徳川家の親戚筋といっても同じこと1万石の大名に婿入りした正紀だが、今回はいつもなら石橋を叩き割ってしまうほどの男、勘定がしらの井尻が高尾河岸の倉庫の拡充を目論み、綿花の繰綿の先物買いに手を染めてしまう。
    だがそれは、入念に練られた罠だった。。。。

    江戸時代の経済のあり方を物語の主軸のテーマにしている異色の時代小説。

  • 千野隆司 著「繰綿の幻」、おれは一万石シリーズ№11、2019.12発行。大坂から江戸への繰綿を乗せた荷船を未到着にしたり、偽の読売を販売したりして繰綿相場を動かし暴利な利益を得ようとする悪徳商家にいかに迫るかという物語。井上正紀の妻お京の英知には膝を叩きましたが、全編が相場の話は、私には面白く感じられなかったです。次作は、もっとテンポよく進めてもらいたいです。

  • シリーズ11作目。相変わらずの貧乏藩、一門である老中からと方針の違いがあり、妻の妊娠、部下の不始末と困難ばかり。勘定方井尻が公金を相場に注込んだ。それは怪しい連中が絡んでいた。借金返済期日が迫るなか金と部下を守れるか。

  • 繰綿相場に係る悪だくみを暴く。

  • 先物取引

  • 色んな物が相場で商われるのですね。

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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