はぐれ又兵衛例繰控【八】 赤札始末 (双葉文庫)

  • 双葉社 (2023年11月15日発売)
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784575671810

作品紹介・あらすじ

炎のなかにうずくまる猫が描かれた一枚の赤い札。「火を付けるぞ」と脅す目的で貼られるこの火札が、神田佐久間町の三軒の髪結床に貼られていたという。御用部屋の自身の小机のうえに、何者かが同じ火札を置いたのをみつけた又兵衛は、風読みの達人と呼ばれる老風烈廻り同心とともに、火札騒動の謎を追うのだが──。怒りに月代朱に染めて、許せぬ悪を影裁き。時代小説界の至宝坂岡真が贈る、令和最強の時代シリーズ第八弾!

感想・レビュー・書評

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  • 3つの独立した短編。個人的には1冊丸々長編の方が読み応えがあって良さそうに思うのだが。
    ・3分坂の殺し
     南町奉行所の又兵衛は街歩きの途中で、片手を落とされた奇妙な屍体に出会う。対応していた北町の同じ例繰方の根張与力に出会い、追い出される。浪人が犯罪者にされそうになり、又兵衛のお節介が始まる。敵と思った根張与力は・・
    犯罪の陰に幕府の有力者。
    ・赤札始末
     火付を狙って商家に貼られる赤札が、又兵衛の御用部屋の机にも貼られていた。巻き込まれて行く又兵衛。こちらも大身旗本が陰に。
    ・駱駝の瘤
     江戸で駱駝の見世物があり、又兵衛一家も見物に。この駱駝がいつの間にか行方不明に。一方、若い娘達も大勢行方不明。真相に辿り着いた又兵衛は救出に向かう。

    相変わらず最後は上司に処理を頼むのだが、例繰方でもあり功績は認められず。頑張っても報われない又兵衛に同情してしまう。

  • 2023年11月双葉文庫刊。三分坂の殺し、赤札始末、駱駝の瘤、の3つの連作短編。奉行所の例繰方与力でありながら、長元坊だけを頼みにして、たった一人で悪を成敗して弱気を助ける又兵衛路線が固まってきた。が、これはキツイ。少し無理あるかも。大丈夫か又兵衛!。

  • 3話からなる。
    「三分坂の殺し」
    いつも、又兵衛は、陰働き!
    そして、まだら認知症の主税。
    どこまでが、正気なのか?
    又兵衛を足軽のような存在にしている。
    検屍与力 兼 北町奉行例繰方の根張作兵衛。
    又兵衛の行く先々に、出会い、一緒に屋台蕎麦へ!
    情報を話して、立ち去るのだが、奢ると言った作兵衛は、勘定を忘れて立ち去り、又もや、損な役に回る又兵衛!

    話がそれたが、医者の藤安殺しは、大足の手練れ!
    あこぎな商人の難波屋が、町医者と同心殺しに関与と、掏摸のおりくに落とし文を 勘定吟味役の馬場の袂に。
    難波屋の後には、勘定組頭の赤松内記。
    馬場
    を設けて、馬場を登場させ、悪を表沙汰にさせる。

    題名の「赤札始末」
    火事の事を「赤猫」と言うことは、他の時代小説にも出て来る。
    風読みの達人 木梨利兵衛から唐辛子の粉末で、風向きを調べるなどの話を聞くのだが、お守り代わりが、後で役に立つことに……

    町内に内床を持つ髪結いに火事の時、町奉行の書面を運び出す役目があると言うことを、初めて知った。
    そんな髪結床に 火札が張られ、商売が、がた落ちし、床屋株を狙う悪者が……
    そんな悪者に、一人暮らしで隠居を願った木梨が、火札の件を調べて、命を絶たれてしまう。
    与力の又兵衛が、同心の木梨の仇討ちをする事に!
    内与力の沢尻でさえ、そんな話を聞いてびっくりするが、しくじった時は、責任を負わないと!
    又兵衛の味方は、、幼友達だけかと、いつも思う。
    悪を退治するのに、一人の立ち回りは、きついのでは………
    そして、いつも、長元坊から甘い奴!と言われる位に、悪人の命を取らず、身柄を上司に委ねる。
    でも、いつも、かけた梯子を取ってしまうような上司も、裏では、目付筋を説得するのに苦労してくれていたのには、ちょっと、味方になってくれていたんだと……
    お役御免になった、小栗は、罪に問われず、貸本屋に、命を絶とうとした音次郎は、廻り髪結いにと、新しい一歩を歩み出していた。

    「駱駝の瘤」
    駱駝も目新しい動物であった江戸時代。
    象の時には、餌代がばかにならなかったと聞いた事があるけど、……
    駱駝見たさに、蕎麦2杯分の料金。
    又兵衛も妻の静香を連れて行く。
    この駱駝見物を考えた者が、乙女の誘拐犯。
    大店の娘だけでなく、遊女も誘拐して行く。
    江戸から長崎へと 誘拐した娘達を助ける為に、船の上の戦いになる。
    左腕をケガした又兵衛と 大男のヤンとの戦い。
    危機一髪の時、長元坊の動きで、沢尻を動かして、鯨船の御用船も登場で助かった。
    めでたく助かるが、やはり、味方をもう少し欲しいと、願うのは、私だけであろうか?

  • またまた影働きですね。

  • 正直なところ 今回は今ひとつ。
    いつもの又兵衛とは、違うような気がした。 この前まで読んでいた池波正太郎の藤枝梅安も途中から感じたのだが、主人公も回を重ねるごとに年とともに中身と行動も若干の変化をつけて書いているのだろうか。

    ちからお父さんの活躍も今回少ないのが残念です。

    次回は活躍の場を与えてほしい。

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著者プロフィール

坂岡真
一九六一年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している。主なシリーズに「鬼役」「鬼役伝」「帳尻屋始末」「帳尻屋仕置」「照れ降れ長屋風聞帖」「はぐれ又兵衛例繰控」「死ぬがよく候」「人情江戸飛脚」などがある。

「2023年 『うぽっぽ同心終活指南(一)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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