『坊っちゃん』の時代 (第5部) (双葉文庫)

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575712445

感想・レビュー・書評

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  • 関川夏央、谷口ジロー『『坊っちゃん』の時代 第五部 不機嫌亭漱石』双葉文庫。

    再読。単行本も持っており、既読ではあるのだが、先日たまたま立ち寄った古本屋で5巻揃いの文庫版の美本を目にし、少し迷いながら購入した。

    関川夏央と谷口ジローの名コンビによる大傑作漫画である。全5巻の完成までに12年の歳月を費やしたというからには大変な労作である。

    第五部は再び夏目漱石が主人公である。胃痛と頭痛で冒頭から不機嫌全開の夏目漱石。胃痛で不調の漱石は転地療養のため伊豆に滞在するが、ついに大喀血し、生死の境目をさ迷う。意識の無い中で見る夢の中に森鴎外、石川啄木、正岡子規、樋口一葉、二葉亭四迷、ラフカディオ・ハーン、そして猫が去来する。

    大逆事件の判決を受けて、幸徳秋水、管野須賀子らが死刑となり、石川啄木も貧困と病の果てに命を落とす。辛うじて死を免れた夏目漱石にも余り時間は残されていなかった。それでも容赦なく時代は巡るのだ。

    『坊っちゃん』が哀しい小説という認識を持ち、改めてこのシリーズを全て読み返してみると関川夏央と谷口ジローが明治という時代に抗えなかった敗者を描いていたことが見えてくる。

    しかし、何時の時代にも敗者は居るが、果たして決定的な勝者は居たのだろうか。我々は時代に翻弄されながら様々な苦難に抗い、生を全うしようと努力し続けている。端から見れば、もがき続ける憐れな敗者に映るのかも知れないが、我々は自身を勝者であると信じているのだ。

    本体価格619円(古本470円)
    ★★★★★

  • 「多少の縁あるひとを見捨てるは恥です。」
    「役立とうと思うは義です。」

    舞台は明治(末期)。登場人物は夏目漱石、森鴎外、石川啄木、幸徳秋水、管野須賀子、二葉亭四迷をはじめとした明治の文学者・思想家たち。それぞれの生きる明治の世相が、時に痛快に、時に物悲しく描かれています。

    登場人物の一言一言が重く深く響く、関川夏央・谷口ジローによる劇画的、というか映画的な超名作です。

  • 1〜5部

  • 明治の文壇史をざっくりと掴んでから読みましたが、登場人物たちを繋ぐ糸の結び方が本当に見事で、ひたすら感心、興奮しながら読みました。
    感傷的になり過ぎず、悠大な時の流れの一片という描き方、それでいて登場人物への静かで温かい眼差しが心地よく、架空のテーマ曲さえ聞こえてくるような、素晴らしい作品でした。

    以前は絵が苦手で手を付けなかったのですが、自分の中でこの作品を味わえるしかるべき時期が来たのだと思います。感謝です。

  • 凜冽たり近代
    なお生彩あり明治人

  • 最終巻は漱石で締め=「坊ちゃん」の時代だからね。岩波文庫『漱石日記』を読んだ記憶がよみがえる。しかし、こうして漫画という媒体で修善寺大患を見ると一層迫力が増す。大逆事件の被告は処刑されて死んでゆく。漱石も啄木も死にゆき、明治は終焉を迎えた。養老氏の解説は難しかったが、日本人の軽さと書かれていることに、維新から明治(富国強兵)、そして昭和の大戦と敗戦後の復興は、良くも悪くも日本人の「軽さ」に負うところが大きかったのではないかと感じた。

  • このシリーズは、第4巻が最もおもしろかった。

  • もし『坊ちゃん』の時代に生まれていたら、私はどういう生き方をしていたんだろう。そんなことを思いながら、ふと気づく。それは、とりもなおさず、戦後の民主主義と平和の日本(その歴史はとても短い)に生まれたのはほんの偶然にすぎない私が、いま、どう生きたらいいのか、という自問でもあるのだと。

  • 漫画では死の世界を彷徨うのがメインだったけど、本人の手記によると死の間は何も無く意識を失う直前と意識を取り戻す直後が一瞬にして繋がっている。これは死は無であるということを示しているのか、それとも完全に死んでいない以上、夢のように本人がただ忘れているだけなのか。そこが特に気になった。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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