モリのアサガオ―新人刑務官と或る死刑囚の物語 (1) (ACTION COMICS)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575830408

感想・レビュー・書評

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  • 終わりが見えない死刑制度の是非について、新人であるにもかかわらず凶悪犯ばかりの死刑囚舎房に配属された、漫画「モリのアサガオ」の主人公・及川直樹と共に考える機会があった。僕はこの漫画を手にしたことで、死刑そのものの実態を知ることが出来た。拘置所はまさに"モリ"である。世の中から隔離され、一般人にはわからないような場所に設置されていて、死刑制度の是非について心が揺れ動く主人公と読者はまるで深い森の中を彷徨っている感覚に陥る。午前中に死刑執行される死刑囚は、まるで朝割いて昼以降にしおれてしまう"アサガオ"のようだ。アサガオたちはただ、誰も知ることの出来ない拘置所という名の森の奥深くで刑が執行されるその日が訪れるまで生き続けているのだ。「モリのアサガオ」は、死刑の"今"をつづったまさに衝撃作だ。
    <p>
    http://d.hatena.ne.jp/bokuno-nou/20080316/1205671891

  •  仕事上の必要があって、郷田マモラの『モリのアサガオ――新人刑務官と或る死刑囚の物語』全巻セットを古本で手に入れ、一気読み。

     といっても、『漫画アクション』連載時に雑誌でずっと読んでいたのだが、コミックスでまとめて読み直すのは初めて。

     いや~、やっぱ傑作ですよ、これ。死刑制度の是非を考えるためのテキストとして、これ以上のものは活字の本の中にもなかなかないと思う。
     それでいて、無味乾燥な「学習マンガ」にはならず、エンタテインメントとしての完成度もすこぶる高い。そして、ヘタな文学よりよほど心揺さぶられる感動作でもある。泣ける場面がたくさんある。

     主人公の新人刑務官が、自らの職務の一つである死刑の是非について思い悩み、序盤から終盤までずっと揺れ動きつづける構成がうまい。主人公の迷い・戸惑い・呻吟に合わせて、読者の心も揺れ動き、死刑制度について考えつづけることになるのだ。

     作者が死刑反対・賛成のどちらにもあからさまな肩入れをせず、あえて結論をぼかしているあたりも心にくい。この作品なら、死刑反対派・賛成派どちらにとってもある程度共感できるだろう。

     まあ、ストーリーのところどころに、ご都合主義なところがないでもない。しかし、それは小瑕にすぎず、作品全体は名作と呼ぶに値すると思う。

  • どちらが正しいのか わからない
    マンガでしか表現できない事例だと思った

  • 職場の先輩にお借りして。
    漫画を読むのに、こんなに時間がかかり
    読み進められなくなるとは…。
    DEEPですが面白いです。
    でも体調をみて読まねば…。

  • 元留置所長である父を持つ新人刑務官の及川直樹と、両親の仇討ちとして犯人とその娘を殺害した渡瀬満。渡瀬の死刑が執行されるまでの二人の交流を描いた物語。
    読書メーターでの評価が気になり、レンタルで遂に読了。死刑制度の是非をテーマにした作品なのでやはり重いです。青年誌で連載と、普段少女漫画ばかり読む私には中々慣れない絵。しかし、めっちゃ面白い!いや楽しんで読む作品ではありませんけれども。直樹を通しての死刑囚や他の刑務官の心情がもう、心にグサリときます。まだ満と会ってもいない直樹、これからの展開に期待です。この作品はドラマ化され、さらに「きらきらひかる」も書いている方だとは!!二重に驚いた。しかも「きらきら〜」はドラマオリジナルだと思ってました。全巻読了したら、「きらきら〜」の原作漫画も読みたいな。

  • 全7巻

  • 死刑について考えさせられる。

  • 新人刑務官と死刑囚との話。なかなか重い題材です。全7巻。

  •  死刑囚の刑務官が主人公の物語。

     主人公の及川直樹が、唯一心を許せた友である渡瀬満死刑囚に死刑を執行する場面からはじまり、そのまま8年前に遡ります。
     新任刑務官としてなにわ拘置所処遇部門に配属された及川が、失敗したり戸惑ったりしながら自分の仕事や死刑、そして死刑囚について少しずつ考えるのと平行し、渡瀬満の裁判が進行していきます。

     着任早々の巡回で、いつもと靴音が違うと死刑囚が取り乱すシーンがあります。死刑が執行されるまで閉じ込められている死刑囚がいかに繊細な環境にいるかということを知りましたが、同時に死刑肯定派からすると「そういう心理的な圧迫も極悪非道な犯罪を犯した犯罪者への制裁である」と考えられ、そうすると今度は死刑反対派から「それを肯定することは実質的に死刑以外の刑罰を与えていることにならないか?」と、もう出だしから考えさせられて読む手が止まりました。

     印象的だったのは、毎日謝罪の手紙を書き続けていた死刑囚に、はじめて返事が来たエピソードです。そのとき及川は「もうこれで毎日手紙を書かなくていいですね」と言ってしまい、この不用意な一言でトラブルが発生します。
     謝罪とは何か、反省とは何か。そしてそれがいくばくかでも被害者遺族に通じた”その後”なんて考えたこともありませんでしたが、その思考の間隙を鋭く突かれたように感じました。

     一方で、星山のように全く反省をしていない死刑囚をみていると、やはり死刑制度は必要だとも思えてきます。実際、及川もそちら側に心が振れるわけですが…ただ、そんな単純な処罰感情で肯定しちゃって良いほど単純な問題でないのは、巻を追えば明らかになってきます。

  • 珍しく姉の部屋に置かれていた漫画。死刑囚と刑務官の物語だそうだ。実家に戻ったら読むよ。

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