きっと可愛い女の子だから (アクションコミックス(月刊アクション))
- 双葉社 (2014年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575844788
感想・レビュー・書評
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柳本は、この春「マンガ大賞2017」に輝いた『響~小説家になる方法~』の作者である。
本書は、『響』で大ヒットをかっ飛ばす前に出された初期短編集だ。
15歳の天才文学少女・鮎喰響(あくい・ひびき)の物語である『響』は、いま私が連載(『ビッグコミックスペリオール』)を楽しみに読んでいる作品の一つ。
『響』のジェットコースター的面白さ(最近やや停滞ぎみだが、コミックス1巻あたりの面白さは非の打ち所がない)に比べると、この『きっと可愛い女の子だから』に収録の5編はまだ「習作」という趣だが、それでも十分楽しめる。
クラスで孤立しているオタク少女、勉強の出来ないガングロギャル、行き遅れの堅物女教師など、普通のラブコメなら脇役にしかならないような女の子達をあえて主役として扱った異色のラブコメ短編集
……というのが、版元がつけた本書の惹句。そのコンセプトは十分奏功している。
いまの時点から本書を読むと、どの短編も『響』の原型、プロトタイプに見えてくる。
とくに、短編「保健室にて」に出てくる黒髪メガネっ娘は「もう一人の響」という感じだし、「図書館LOVER」に出てくる高校文芸部の世界は、そっくりそのまま『響』ワールドである。
『響』が好きな人なら、そのスピンオフを読む感覚で楽しめる好短編集。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あまり可愛くない女の子たちの、恋をして可愛くなった部分。女の子たちが可愛いなぁということより、その部分をキチンと見つけられる男子こそ素晴らしいと思う。
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思わず、ニマニマしてしまう恋愛漫画なので、読んでいる時の自分を見る他人の目が気になっちゃう人は電車や会社の休憩室を避けるか、マスクをした上で読むべき。私自身、友人に肘で小突かれ、「口、ロ」と指摘されるまで、自分の口角が緩んでいるのに全く気付かなかった
オムニバス形式なので、主役は話によって異なっている点が、また読み手の心を刺激する
『関口さん』は、ほぼ教室の空気な地味めの女の子が暴走寸前に追い詰められるほどの恋心に焦がされ、それが破れた時でも自分らしさを必死に保とうとする姿に可愛さを覚える一方で、どうしても受け取ってやれないキモチに気付かなかったフリをしてやれる優しさを見せた男に胸を鷲掴みにされた
『教師と生徒の正しい恋愛』は、男子高校生と女教師って言う禁断の定番であるカップリングを主役に据えながらも、ありがち感が一切なく、同時に、女性のギャップに萌えてしまう読み手をKOするだけのストーリー。普段は毅然としてるのに、アルコールで蓋がズレて「好き」の気持ちが漏れだすって最高でしょう!!この期に及んでも、年下の男の気持ちを試そうとする、往生際の悪さが逆に可愛すぎる
『保健室にて』は、彼氏がクラスの人気者でなくとも、自分に彼女として自信を持ちきれず、さりとて、周囲に所有権を強くアピールできない女の子ならば誰でも一度だけでなく、日に何度も抱いてしまう嫉妬と、人の目なんか気にしない、メンタルが強い男のカッコ好さに昏倒寸前
『図書館LOVER』、これは読み手が期待するハッピーエンドに着陸しないからこそ、ある意味、特に印象が残るかもしれない。恋に落とされた理由がベタってのも良く、フォローとサポートに励む後輩ギャルの台詞も、現在進行形で勇気を出せずに悩んでいる読み手の背中を叩いてくれる。恋愛よりも、女の友情のカタチに重きが置かれている。そして、何より、美少女の「あっかんべー」は最強だっ
『ギャル子さん』、これも学校でも指折りの見た目からして堅物な秀才と、今が楽しければ最高じゃんってスタイルで生きられるギャルが主役で定番、ほんの少しの勇気が互いに足りない二人がぎこちなく距離を縮めていくストーリーも正道。だからこそ、読み手が切ない気持ちになってしまったラストで秀才が見せてくれたホントの気持ちからの行動は最高
書き下ろされている「その後」があったからこそ、満点に限りなく近い五つ星
この台詞を引用に選んだのは、作品内に登場する台詞は全て衝撃的ながらも、これは特にダントツ。粗暴な物言いだからこそ、相手が本気で好きで、共にいたい事をシンプルに表しているから。実際、口にしちゃったら顰蹙を買いかねないが、それでもお手本にはしたい -
タバコの吸殻を取っとく関口さんかわいい。
酔ったら「ふみゅ」とか言う先生かわいい。
まーいーンだけど恵子かわいい。
あっかんべーセンパイかわいい。
ギャルに試されドギマギするリョータかわいい。 -
”関口さん”と”図書館LOVER”がGood!!!
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なかなかに、一見真面目でおとなしく見えたりするけど、うちに秘めた思いは強烈で、ツンデレというか、二人の場面ではストレートに思いを伝える子達の連作短編集。「響〜小説家になる方法」と同じ作者と聞き興味を惹かれ。
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「不器用な大人のためのピュアな恋愛短編集」
このタイトルが、元ネタとなっているであろう某ミュージシャンの、独特のクセのある歌声で脳内再生される人も多いでしょう。本作はまさに、あの歌声のようなマンガ。地味で、ちょっと根暗で、自意識ばかり肥大化していて、周囲の「普通」の人のように振る舞えない主人公たち。彼らが「普通」の人に不器用に恋をして、傷ついたり、一歩進んだりする様子を丹念に描いたオムニバスです。高校生のストーリーではありますが、心の深い部分はそのままに実年齢を重ねてしまった大人にこそ、彼らの考えることが理解できるはず。いわゆる「コミュ障」を自覚する社会人たちに読んでほしい、そして密かに「ああ、わかる…」と思ってほしい…!(鈴木史恵)