気分はもう戦争 (アクション・コミックス)

  • 双葉社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575930313

感想・レビュー・書評

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  • 今、読み返したい一冊なのだが生憎手元にない。
    しかも品切れ中、、、

    仕方ないので『複雑な彼女と単純な場所』所収の「カニを、もっとカニを!」を読んでいます、、、

    株式会社双葉社|本の詳細 | 気分はもう戦争|ISBN:4-575-93031-8
    https://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/4-575-93031-8/smp.html

  • 思えば、世の中を斜めに見るひねくれ根性を身に付けたのは、矢作俊彦のせいかもしれない。聖俗を反転させ、意味を破壊し、無意味なものへこじつけられたスノビズム。歴史や権力はおちょくられ、愛はアイドルタレントに捧げられた。かっこいいかどうかが唯一の基準だったが、何がかっこいいかの定義などなかった。アーガイルの靴下に黒のウイングチップ、キャメルのブレザー、3つボタン上2つがけ・・・
    「大切なのは、人はパンと民主主義のみによって生きるにあらずということだ。米だって食うし酒も飲むし、渡哲也以外のたいていの男は女がいないと生きていけない。流れ者だって生きるには洗面道具が要る。」

  • 「もはや戦後ではない」という時期に起きた中ソ戦争に、なぜか日本人が参加する話。妙なリアリティがすごい。当時の細かい描写も凄い。フィクションだけど、歴史の本として読み応えあり。

  • もう40年近く前の漫画になるけど、混沌とした状況は全く変わっていない。
    フィクションだったけど、恐ろしいほど今の世の中と一致する部分があるような気がする。
    先見の明があるのか、世の中進歩していないのか、どちらなんだろう?

  • 銃声が「パン」と鳴りヘッドライトの光跡が描かれ、大友克洋によってマンガが新しい表現に踏み出した。198×年に起こった(架空の)中ソ戦争の「気分」を描くにはこういう描き手が必要だったのだ。今日のマンガがリアルな肌触りを描けるようになったのはここから始まったように思う。湾岸戦争以降今日に至るまで「対岸の戦争」に抱くバーチャルな感覚とも、ヒッピームーブメントとも違う、本作の「戦争への気分」は、本格的なサブカル消費文化に入る前の80年初頭という時代のまだ70年代の残り香漂う空気を感じられて懐かしい。

  • 最近、矢作俊彦氏が作家になる前、漫画家(ダディグース名義)だった頃の作品を読みました。
    な、なんなんだ!高校生(筑駒なんだね)でデビューしたばかりとは思えない~。
    アメコミのパクリなんだけど、それにしても上手い!センスいい。
    「国家コーラ」のロゴデザインとか、パロディはこうあるべきだなぁなんて感心してしまう。
    なんで辞めちゃったんだろ?

    実は、矢作氏が大友氏の作品を読んで感じたのは
    「(自分が)マンガを描く必要がなくなった」ということだそうです。
    それほど、初期の大友作品には衝撃があったんですね。
    そんな彼らが悪ふざけとも言えるノリノリで描いた『気分はもう戦争』
    デビュー時からファンという大友フリークの友人に言わせると、「『AKIRA』よりも『童夢』よりも好き!」だそうです。
    是非、読みましょう!

  • 20年ぶりに読むと、色々時代も変わったなあ、という感想。<br>この中国寄りのシンパシィ。いまじゃ絶対ありえない。<br>
    このころ、ジャパン・アズ・No1で”ハイテク国家”でロン・ヤスだったけど、日米経済摩擦で、やたらとアメリカの陰謀が喧伝され、”アメリカの51番目の州である日本”というフレーズが繰り返されたもんだよ。その後、バブルとその崩壊、失われた10年を経て、いまじゃ"アメリカのポチ”らしいけど、左翼もぜんぜん進歩がないね。<br>
    最近は、イスラムも力をつけてきて、俺みたいな一般人にも第3話の背景も理解できるようになった。<br>
    <br>
    これを読んだとき、俺も就職したらアメリカン・エクスプレスのカードがもてるようになるぞ、と思ったもんだが、バブルの頃には鬱陶しいほどの勧誘で、ガッカリしたんだよな。こんなんじゃ、”アメックスで飲める店には見えなかったぜ”って言えないじゃん、って。<br>
    それに、今の俺じゃ、「アーガイルの靴下に黒のウイングチップ。キャメルのブレザー三つボタン上二つがけ」には程遠いよな。もっとも、背広は三つボタンなんだけど、ちょっとファッションの上流が違うよね。

  • 2020/03/24

  • 1979年
    CIAの陰謀で、京城(ソウルではない)の大統領が暗殺された
    それで、どういうわけだか中ソ国境における緊張感が一気に高まって
    戦争がおっぱじまってしまう
    要するに、アメリカとソ連の企画した出来レースらしい
    東西冷戦下、緩衝地帯となる東アジアでは
    中国の支配力を弱めておいたほうが
    なにかと都合はよかったのだろう
    しかし実際のところ、この戦争の正体が何であるかは
    最後まではっきりしない

    日本にとっては、それも対岸の火事に過ぎなかったはず
    なんだけど
    学生運動の時代も終わりを迎え
    自分たちの誇りを見いだせなくなっていた若い世代には
    義勇兵として、大陸に渡る者もあった
    近代日本から受け継がれたロマン主義は
    社会の歯車に収まることをヨシとしなかった…のであろうか
    そこで、命のやりとりに人間らしさを見いだそうとした
    そんな彼らの
    実に軽薄な戦争を描いたコメディ作品である
    バカバカしくはあるが
    子供騙しの正義を振り回すよりマシかな
    国士舘出身の「はちまき」
    左翼過激派の「めがね」
    ベトナムに行きそびれた「ボウイ」
    こんなデタラメな取り合わせの3人組がメインで
    珍道中を繰り広げる一方
    作者であるはずの矢作・大友コンビも登場して
    戦争をダシに一山当てようとする

  • もう40年近く前の漫画、混沌とした世界の状況は全く変わっていない。フィクションだけど、恐ろしいほど今の世の中と一致する部分があるような気がする。 先見の明があるのか、世の中進歩していないのか、どちらなんだろう?

    細密な筆致。迫力のコマ割り。洒落た展開。漫画のひとつの到達点。それにしてもこの人の絵の巧さは群を抜いている。クールでコミカルな中にも痛烈な風刺が効いていて、この圧倒的な仕事に改めて大友克洋の偉大な足跡を感じる。

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著者プロフィール

1950年、神奈川県横浜市生まれ。漫画家などを経て、1972年『抱きしめたい』で小説家デビュー。「アゲイン」「ザ・ギャンブラー」では映画監督を務めた、『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『ロング・グッドバイ』でマルタの鷹協会・ファルコン賞を受賞。

「2022年 『サムライ・ノングラータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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