この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 2141
レビュー : 196
  • Amazon.co.jp ・マンガ (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575942231

感想・レビュー・書評

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  • 昭和9年の幼少期を経て主に昭和18年から昭和21年1月まで、広島県江波から呉の北条家へ嫁いだ主人公すずの日常を描いた全3巻の漫画です。

    映画も素晴らしかったですが、漫画の方が登場人物のより深い関係性が描かれ読み応えがありました。途中途中にある当時の日常コラムも程良い小休止となり思わずニヤリとします(特に中巻の径子お姉さんの問答集)。

    ちょっと抜けたところもある主人公すずの話し方と性格が、この時代の喧騒を少し落ち着かせてくれます。国自体は戦争の渦にありますが、そこで暮らす人々はあくまでも自分の生活が中心。配給や物資の不足、故郷を離れる寂しさや人間関係の気苦労はあるけれど、モノの少ない生活に工夫を凝らし、何より一日一日を穏やかに過ごそうとする人々の姿が生き生きと描かれています。
    しかしその気持ちを裏切るように、読み進めていく度に戦争の影は刻一刻と日常に迫ってきます。それはすずも例外ではありません。

    私は戦争を歴史としか知らない世代です。この作品を通し、戦争のなかで“普通”に生きようとする人々の“普通”さと、その度量の深さと強さの一端に触れられた気がします。
    多くの人に、長く読み継がれてほしいと願ってやみません。

    ==================
    「みんなが笑うて暮らせりゃええのにねえ」

  • 普通の庶民が 当たり前に普通に生きていく
    それがかけがえのない 素晴らしいこと
    多くのものを亡くしながらも
    胸の温かさを失わぬ
    それが世界の片隅ならば
    片隅にこそ愛はあるのです

  • 2020.01.16


    映画を見た後に、原作を再読できてよかった。
    映画がいかに、原作を大切にしているかがよくわかったし
    そして「平和が良い」「戦争は良くない」とかいう一般論ではなく
    どこか抜けている、ほのぼのとしたすずさんという女性を
    こうも絶望と変貌させるだけの脅威をはらみ
    生活と命を根こそぎ奪っていく愚かさを、ありありと見せつけている。
    漫画は限られたページとシンプルな絵ながら、それが痛いほどわかってしまった

  • (飛び去ってゆく。この国の正義が飛び去ってゆく...ああ...暴力で従えとったいうことがじゃけえ暴力に属するいうことかね。それがこの国の正体かね。うちも知らんまま死にたかったなあ)すずさん。あなたが死ななくてよかった。。。

  • 戦時中のストーリーでしたが、ある家族の出来事。

    画風もほのぼのチックで、時代の流れを想像しつつ読む感じ。

    すずのぼんやり(おおらか)さと、時代の辛さ哀しさ、どこにでも宿る愛、居場所、記憶の器として生きていくこと。
    いろんな想いが描かれてます。


    ドラマの方がラストの持っていき方とか好みでしたが、原作を読んでドラマも厚みを増しました。
    ドラマ見てなかったら絶対に読んでないマンガですが、読んで良かったです。

  • 中巻までは本土に戦争が入ってきて無いのであるが、ついに住んでいる場所が戦場となる。それもほぼ反撃できない一方的な戦いだ。状況は一変し、坂道を転がるように全てが破局的に悪化。終戦となる。
    陛下の玉音放送を聞いたすずさんが、敗戦を受入れられず言う。
    この国から正義が飛び去っていく
    ああ、暴力で従えとったいう事か
    じゃけえ暴力に屈するいう事かね
    それがこの国の正体かね
    うちも知らんまま死にたかったなぁ・・・

    彼女の無念さが良く現れていて、涙がでました
    少しでも多くの人が読んでくれたら嬉しいです。

  • 下巻。21年1月までの広島。この巻で物語は終わる。
    すずさんの意思がいままでになく伝わってくる。
    姪も自分の右手も家族もなくしていく。戦争までなくしたとき激しく感情を爆発させた場面では、胸をギュッとしめつけられた。あのすずさんが吼えたのだ。
    一番悲しい巻だった。戦争の延長線上に現在があるということ、私たちは忘れてはならないんだということを。

  • 主人公のすずさんは大正14年生まれ。今も生きていれば93歳の年齢となる。物語の中では戦時中の生活の様子が描かれており、当時の人たちがどのように暮らしていたのかを知ることができた。
    物語の中で、「隣組」の歌が出て来る場面がある。もともとドリフの曲かと思っていたが、元ネタがあったとは知らなかった。
    この歌を知っているか職場の利用者さんに聞いてみると、知っていると言われ歌ってくれた。
    本当に物語で描かれていたような生活を送られてきたのかと思うと、胸にくるものがある。
    高齢者に関わる仕事をしている人は必ず一度は手にするべき本だと思った。その時代を生きてきた人たちを見る自分の目や気持ちが変わると思う。
    物語では、「居場所」という言葉がよく出てくる。
    普段の生活を安心した気持ちで過ごせ、日常となる(とする)こと。それが幸せなのかもしれないと感じた。

  • 空襲で多くを失った、けれどその中でも挫けず生きようとする強さを持った人々。
    全ての謎が解き明かされた瞬間、心が締め付けられました。最後の終わり方もとてもよかった。

  • 最後まで読んだあと表紙を見るとつらい。春美と右手を失って、径子に責められて、やっと持ち直したと思ったら、戦争が終わって、価値観が反転して、一般市民は気持ちの持って行き場に困る。翻弄されるても、普通の人たちなりの幸せで、生活は続くのです。ラストがカラーページになってほんと良かった。

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著者プロフィール

1968年広島市生まれ。1995年マンガ家デビュー。2004年『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『この世界の片隅に』(双葉社)は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、「THE BEST MANGA2010 このマンガを読め!」第1位などを獲得。ほかの作品に『ぼおるぺん古事記』(平凡社)、『日の鳥』(日本文芸社)など。

「2019年 『この世界の片隅に 徳間アニメ絵本38』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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