この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (148ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575942231

感想・レビュー・書評

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  • 下巻。21年1月までの広島。この巻で物語は終わる。
    すずさんの意思がいままでになく伝わってくる。
    姪も自分の右手も家族もなくしていく。戦争までなくしたとき激しく感情を爆発させた場面では、胸をギュッとしめつけられた。あのすずさんが吼えたのだ。
    一番悲しい巻だった。戦争の延長線上に現在があるということ、私たちは忘れてはならないんだということを。

  • ぼんやりしているからわかることがある。最近は「自分は利口者だ」と思っている輩がやたらとネット上で駄弁を弄している。(あっ、俺もそうか。)

  • すずさんの転機のところからずっと涙が止まらんくて誌面がろくに見えやしない。こんなにも切なく、温かい作品には今日なかなか出会えないのではないか。この作品が今、描かれ、誌面に掲載され、出版され、映画化されてヒットしていることの意味を考えると、まだまだこの世界も捨てたもんじゃないって思える。もっともっとたくさんの人がこの作品を知り、世界中に広まればいい。

  • 戦争が始まった巻
    色々な人が怪我をしたり死んじゃったりするこの一冊、広島原爆のシーンや呉の大空襲のシーンも登場する。
    今まではあんまり目立ってなかったけど、空襲とかが始まりだして、登場人物たちにがっつり戦争の色が塗り込められている。すずさんもだんだん狂いだしてくし。
    広島で原爆を受けた人も勿論辛かったろうけど、それを定かな情報もわからず遠くで見守っている人たちも辛かったろうな。。
    終戦のときに、すずさんがラジオ前で叫んでいたのも印象的だった。

  • 読んだのは映画が上映されて、それを見に行って
    漫画も読みたくなってすぐ買って読んだ。
    それを、何回か読み返してる。それぐらい、気に入っている
    戦争でたくさんのものを失ったけれど、それでも生きている

    正直めちゃくちゃ泣けるとか、涙が溢れるとかそんなことはないのだけど
    胸がすごく締め付けられる。当時の方々、皆いろんな人生がありそして亡くなった方が沢山いる
    そんな亡くなった方を沢山見ながら、前を向いて未来を進んでいく
    そんな世の中の現在で、私は生きている

  • すずさんにとって、失ったものの方がはるかに多いが、失わないものもあった。
    それは、あたたかですこやかで安心できる場所。家族が帰る場所であり、家族の帰りを待つ場所である。

    戦争が「日常」になるということ。
    世界のどこかで戦争が起こっていることが「日常」になっていることに、私たちはもっと危機感を持つべきなのかもしれない。

  • 映画は見ておらず映画との比較は出来ない・・・のに、すずさんの声は「CV:能年玲奈」で聞こえてくるから不思議。

    戦時中だって常に日常はあって、その日常の中に前線は忍び込んでくるけれど、そして何ということもなく命も奪われていくけれど、それでもなお日常があって、悲しみも含めて淡々と時は過ぎていく。
    流されるままに生きるすずさんを通して記述されるので余計にそう見えるが、末端の市民にとっての戦争とはこのようなものだったのだろう。

    生前、戦時中はどうだったかと祖母に聞いても、まあ、大変だったよ、というくらいしか返ってこなかったが、こういう日々だったのかな、と。
    井の頭公園に松脂取りに駆り出された際、「こんなことして勝てるのかしらねぇ」と言って大問題になった、とか面白おかしく語ったりしてましたが、それも特殊なエピソードというわけでもなかったのかもしれない。
    死がすぐ隣にあるだけで、市民にとってはそれもまた日常、と。

    徹底して他人事のように描くことでかえって戦争の異質さが浮かび上がるしかけは、玉音放送の一瞬と戦後に太極旗を見たときのすずさんの反応とのコントラストとあわせ、心に残った。

  • 一気に戦争色。飛行機や地形の描写が細かくなってきたと思ってた。この日に行かなければ。この場所に来る時間が少しでもずれていれば。いろいろ思うけど。晴美さん…。径子お姉さんとは最初からいろいろあったけど、これがきっかけでどちらにでも転がったのかもしれないと思う。でも本当にいい人たち。そしてみんなたくましい。そういう時代。辛い中にもほんの少しの微笑ましい出来事と優しい記憶。それで人は生きていけるのだな。

  • 戦況が激しくなりとうとう呉市にも戦火が及び始める。
    広島の呉市は軍港があったため、空襲警報が鳴りやむことはなかった。そして広島と長崎に原爆が落とされる。
    すずとその嫁ぎ先の家族やご近所さんにも普段の生活があり、戦争下だからこそお互いに助け合っているのがよくわかった。
    すずも時限装置付きの爆弾右手を失い、姪の晴美は爆死するという悲しみに暮れながらも焼夷弾で家を全焼した人たちを助けるすず一家。
    広島市の方向に奇妙な形の雲を見る。
    すずの実家を心配するが、すず自身も負傷しているため小林夫妻に様子を見てきてもらう(後に放射能の影響が出る)。
    すずの妹すみからも手紙が届き、無事が判明。すみは原爆症の症状が出てきていた。
    すずはこれまで正義の戦争と信じていたものの正体が、ただの暴力に過ぎなかったことに思い至り、「何も知らないまま死にたかった」と独白し泣き崩れる。
    ここの場面が一番深く刺さった。
    正義と信じていたのに裏切られてしまっていたすずの気持ちは当時の日本国民の嘆きだったんだろう。

    その後世界の片隅で周作に見つけてもらえて感謝して、北条家に帰るとき、戦災孤児を拾い、連れて帰る。

    最後に、上巻でファンタジー?と思っていたあの化け物だが、鬼いちゃんだったのか???鬼いちゃんの冒険物語から飛び出してきたのか???最後の最後にまた登場していた!!!

  • 映画の感想で、「終戦のあの部分が抜けていたのが…」というものをチョコチョコ見かけたけど、そういう事かあ…。ちょっと自分的には唐突な感じもしたんだけど、それがリアルだったりするのかな。

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著者プロフィール

こうの史代:1995年デビュー。広島市生まれ。代表作は「さんさん録」や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞作「夕凪の街 桜の国」、アニメーション映画のヒットも記憶に新しい「この世界の片隅に」など。

「2022年 『ぴっぴら帳【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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