- 本 ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784576240671
作品紹介・あらすじ
高校時代にスポーツクライミング選手としてインターハイにも出場した筑波岳。しかし、訳あって大学では競技を続けないと心に決めていた。
そんな岳に目をつけたのは、登山部の部長・梓川穂高。大学敷地内に勝手にテントを張り、コンビニにでも行く感覚で気軽に山登りに行ってしまう変人だった。穂高の手で岳は半ば無理矢理、登山部に入部させられてしまう。
幾度か二人で山を登ったある日、岳のスマホに高校時代のコーチ・宝田謙介からの電話が入る。しかし、そこからは風の音が聞こえるだけだった――。
感想・レビュー・書評
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インターハイにも出場しながら自ら競技者の道を見限った元クライミング選手・筑波岳が、変人と噂される登山部部長・梓川穂高につかまり、成り行きで登山部に入部させられてしまうところから始まる物語。
筑波山に登ることで岳が山登りの面白さに取りつかれていく様子は微笑ましいが、物語の運びとしてはまあありがち。作者さんもそれだけで押すことはなく、そこから高校時代のコーチの滑落死を巡る要素が加わり、そこに二人がそれぞれ抱えた心の秘密が絡んでいって、“青春登山ミステリー”が出来上がる。
ネットで見れば筑波山の奇岩怪石、鍋割山から見える富士山、ゴツイ岩場の宝剣岳などなかなか魅力的だが、登山の話としてはやや薄味。
コーチの死が事故死か自殺かというのはミステリーと言うほどのものではなく、最後は色々なことがうまくつながっていい話風になったが、山登りの面白さに対して二人の秘密と葛藤が辛気臭くて、青春ものとしてはなんとなく盛り上がらず。
カバーの絵が素敵なのだが、単行本の絵のほうがもっと格好いい。宝剣岳にある「トロルの舌」という突き出た岩場らしいが、人が座っている写真見るだけでもかなりビビる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生で余計なひと言だったなと心に引っかかってることってあるよなって、それがもしかしたら相手の人生を変えてしまったとしたら…
久しぶりに山に登りたくなった
登ってる時ってしんどいけど、登りきった時の爽快感はたまらない
だからまた山に登りたくなる! -
久々に読んだ青春を感じる小説。
人ってそれぞれ抱えているものがあって、何かしらしがらみを感じながら生きているんだろうけど、それを解き放ってくれるのが登山なんだな。
下界で生活している時はそうでもないけど、登頂した達成感とそこに辿り着くまでの過程で、登山パートナーと普段できないような踏み込んだ話ができるくらい絆が深まるというか、登山マジックみたいなことが起こるのも体験してみたいなと思った。
そんな今日は山の日。 -
額賀澪さんの著作は青春系が多いってイメージだったので、ほんのちょっとミステリー的な要素を含んだこの本も新鮮な感じでとても面白く読むことができました。
高校までクライミング部でインターハイまで出場した経験のある主人公の筑波岳が、同じ大学のクライミング部の国方晃から、執拗な勧誘に困っていたところ、登山部の梓川穂高という先輩の帽子を拾った(拾ってしまった?)ところから物語が始まる。
クライミング部のコーチと喧嘩別れをした筑波は山を登ることにとても消極的だったのだが、穂高先輩と出会うことでだんだんと気持ちが絆されていく。
そんなときに山登りの途中で喧嘩別れしたコーチの謙介さんからの謎の無言電話があり、その後に聞いたコーチの登山先での訃報。
コーチの死に自分が関係しているんじゃないかという思いを抱きつつ、穂高先輩との登山部の活動が続く。
ちょっとミステリー的な要素もありますが、登山描写もとても素敵で、マップとかで写真を見ながら読んでました。
登山してみたいなという気持ちにもなるし、その時の気持ちの変化の描写も丁寧ですごくいい本だなって思います。 -
山登り☓サスペンス
山登りの楽しさを知らない人はあんま読んでも刺さらないなも。 -
大学で山岳部に入部することになった筑波岳と、その先輩の穂高。高校時代のスポーツクライミングで、お世話になったコーチの死の謎を追いかける。
筑波山、鍋割山、御岳山からの日の出山、木曽駒ヶ岳
物語の舞台になる山。どこも関東からお手軽に行ける山ばかり。実際に登ったこともある山も多く、描写ま身近に感じられました。
軽い山岳小説と、コーチの死の謎解きミステリー。
前半の主人公を勧誘する先輩の存在。主人公とコーチとの関係。SNSへの書き込み。穂高の過去。最後に伏線が回収される様は、軽い居心地よさを感じました。
まぁ、最後は何も考えずに、楽しくお山に登れば良いのだよ。
安全第一ですが。 -
山の描写が綺麗だけではなく、人の小さな心の動きや繊細な感情も大切に描かれていて
ミステリーというカテゴリーではないのにミステリーの要素も感じることができるとても素敵な作品だった
文中の言葉で
"余分なものが剥がれ〜"
と書かれている文章があるのだけれど、この言葉の表現がとても心に刺さりながら日常を生きる自分に優しく馴染んでいった
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そんなに分厚い本ではないのでサラッと読める。 ミステリー要素もあり。
先輩である穂高さんのキャラが良かった。全体的に登場人物みんな優しい人ばかり。
私はインドア人間なので登山はしたことがないけど、やってみたいと思えるほど景色の描写が素敵だった。出てくるのは実在する山なのでネットで写真を検索しながら読むのは楽しかった。 -
山に登っているときの情景描写が素敵で良かった。
著者プロフィール
額賀澪の作品





