カリブ海殺人事件 (二見文庫 リ 1-1 ザ・ミステリ・コレクション 刑事コロン)

  • 二見書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576880587

作品紹介・あらすじ

事故死を遂げたハリウッド・スター。捜査にとりかかったコロンボは、車に仕掛けられた奇妙な細工に気づく。野心にみちた歯科医がしるす謀殺のカルテ。-その謎に挑むうち、コロンボの疑惑は四年前の、もうひとりの俳優の怪死にのびていく。二つの死に共通する完全犯罪のトリックとは?カリブ海の楽園ジャマイカで何が起きたのか…。

感想・レビュー・書評

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  • ジャマイカ知り合った リアンドン夫妻の妻リディアに目をつけて夫のトニーの歯の治療中に歯の中に毒を仕掛けたウェズリー。首尾よく心臓発作とされたトニーの死因。リディアと結婚したウェズリー。ウェズリーとリディアの離婚危機。リディアの新たな恋人アレンに毒を仕掛けたウェズリー。アレンの死の時間のアリバイ。ジャマイカでのコロンボの捜査。

  • 事故死を遂げたハリウッド・スター。捜査にとりかかったコロンボは、車に仕掛けられた奇妙な細工に気づく。野心にみちた歯科医がしるす謀殺のカルテ。― その謎に挑むうち、コロンボの疑惑は四年前の、もうひとりの俳優の怪死にのびていく。二つの死に共通する完全犯罪のトリックとは? カリブ海の楽園ジャマイカで何が起きたのか・・・。
    (「BOOK」データベースより)

    本書の最後の「訳者あとがき」にて、本作品は映像化されていないと書かれているが、その後、「新・刑事コロンボ」シリーズで「華麗なる罠」とタイトルを変えてドラマ化されている。ただし、DVD販売はまだのようである。

    さて、何年ぶりに読み返したのだろうか。久々のコロンボシリーズである。刑事コロンボといえば、そのほとんどが倒叙物。殺人が行われる場面から始まり、その犯人をどのようにしてコロンボが突き詰め、追い詰めていくか。その過程を愉しむミステリだ。日本の「古畑任三郎」シリーズは、このコロンボを模倣して創られたもの。コロンボと古畑とではキャラが正反対だけれど。

    本作品の犯人は若い歯科医。何の後ろ盾ももたないただの歯科医・ウェズリー。野心だけは人一倍強い。父の跡を継いで片田舎の歯科医になったものの、そこで終わるつもりはない。チャンスあらば、いつでも食い付いてのし上がろうとしている男だ。
    彼がジャマイカへ旅行へ出かけた際、偶然出会ったのがトニーとリディアの夫婦。トニーは映画俳優で、リディアは都会の歯科医の娘。ウェズリーはリディアに目を付けた。天が味方したというべきか(トニーにとっては敵だけれど)、トニーがジャマイカでの旅行中に歯痛になる。そこにつけいってこの夫婦に近づいたウェズリー。トニーに応急処置を施した。その後、トニーはリディアと海に潜っているとき、心臓麻痺で死亡。悲しみに暮れる未亡人・リディアは、優しく慰めてくれたウェズリーと再婚することになる。

    舞台は4年後に移る。ウェズリーの本性を見抜いたリディアは離婚を考えていた。また、愛する人もできた。俳優のアレンだ。離婚してアレンと結婚するつもりだと、ウェズリーにも伝えている。しかし、大病院の跡継ぎの座をウェズリーが簡単に手放すはずはない。当然、アレンの殺害計画を企てる。それは、歯科医ならではの方法だった。時限装置付きの毒薬をアレンの身体に仕込むのだ。この方法を用いるのは2回目。効果は既に実証済み(とウェズリーは信じている)。

    久しぶりに読み返してみると、かなりいろんなところに”偶然”が散りばめられていることがわかる。いろんな”偶然”。トニー&リディア夫妻とウェズリーとの出会いももちろんその”偶然”の一部。そのときたまたまトニーが歯痛になったのも”偶然”。被害者となるアレンが歯痛でウェズリーのもとに通院したのも・・・。それがなければ犯罪も起きなかったんだけどね。
    そして、コロンボ警部までが同じく虫歯に苦しんでいたというのもまた素敵な偶然(笑)。そのおかげで、事件解決のためのヒントを得ることになる。いろんな”偶然”が味方してくれたとはいえ、最初に細かなところに気づくコロンボなくしては、この”偶然”も役には立たないワケだ。

    トリック自体は今では珍しくもないだろう。時限装置付きの毒薬といえば、簡単なところでは氷に仕込んだものが思い浮かぶ。被害者がお酒などを飲むときに使うであろう氷に、あらかじめ毒をしこんでおく。それが溶けるにしたがって、毒が飲み物に混ざり・・・というもの。これだとアリバイも作れる。医者が仕掛ける時限装置つきの毒薬は、といえばカプセルを用いたものか。飲み込んでしまうと、カプセルが胃液で早く溶けるので半時間ほどしか時間は稼げない(この作品の時代はそうだったらしい。今はいろいろと細工できるのかもしれない)。
    本作品では午後1時に毒薬を仕込み、死亡したのは午後9時頃。実に8時間もの時間を稼いだことになる。医者のなかでも「歯科医」だからこその仕掛けなのだ。

    犯人・ウェズリーは、それほど頭は切れるほうではなかった。そしてプライドが高く気が短い。コロンボとしては、落としやすい相手といえるかもしれない。のらりくらりしているうちに、相手が勝手にブチ切れてくれるから(苦笑)。
    コロンボは相手の弱点をよく知っている。一番触れられたくない部分に触れて、わざと相手をいらつかせる。そうして本音を引き出す。

    ご存じのように、コロンボは登場の際には冴えない刑事にしか見えない。だから相手も最初は油断する。けれど、予想していた行動から外れた動きをするため、殺人犯は次第に動揺し始める。コロンボの遠回しな口ぶりにイライラして、話さなくてもいいことまで話す。理性を失って口を滑らせる。ココまで来たらコロンボの術中にはまったと言えるだろう。

    コロンボシリーズはシナリオから起こした小説であるせいか、読みながら頭の中に映像が浮かんでくる。だから読みやすい。ちょっとしたミステリを読みたいな、というときには打ってつけのシリーズだ。名前とキャラが一致するようになるまでは少し時間が必要だけれど(外国ものは特に名前が覚えにくい^^;)。

    本書が映像化された「華麗なる罠」。テレビで放映したものを録画してはいるが、DVD発売はまだのようである。「新・刑事コロンボ」もDVD-BOX1だけが発売され、その後の作品はいっこうに出てくる気配がない。私のように首をなが~くして待っているファンも多いだろうに・・・。このまま発売されないとすれば、残念なことこの上ない。

    あぁ、そう言えば「古畑任三郎」でも歯科医が犯人というストーリーがあった。トリックは全然異なるけれど。シーズン3で大地真央さんが演じていた歯科医。元恋人を殺すんだよね。「アクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス」という歯周病菌の名前は彼女が古畑に教えたもの。その後のストーリーにも登場するフレーズで、妙に耳に残るんだ(笑)。

  • 4576880586 328p 1998・8・25 23版

  • (メモ:中等部2年のときに読了。)

  • 何を隠そう、刑事コロンボシリーズが大好きだ。これも自分の本でもないのに何度読んだことか。珍しく手詰まり寸前まで追い込まれるコロンボ警部。ラストまで読んで初めて、冒頭に大きな伏線が張られていることがわかる。

  •  読んで思ったことは、いくつか。
     犯罪を犯すならジャマイカで。本当にあのご当地の婦警さんがああいう人間で、警察署長もああならば。婦警さんはこう言うのです。「ジャマイカでは犯罪なんか起こりません。貴方が物を盗まれたと言うのは気のせいです。きっとどこかに落としたんです。ジャマイカではそんな事件なんか起きないんですから。遺失物届をこちらで出しておきますから安心してください」
     ……どう思います?
     ついでに、ホテル関係者とかもあそこまで警察に非協力的というのならば、ジャマイカは絶好の犯罪ポイントですよね。

     犯人が、わけわからん人です。
     投資目的で馬を買ったら、レーススタートと同時に馬が心臓麻痺を起こして死亡、20万ドルで砂漠の土地を掴まされ、買い取った中古車屋は銀行の抵当に入ってた。
     こんな男が完全犯罪を目論みます。あほです。身の程知れよ。自分の運の悪さをよーく鑑みてから悪さはしようよ。
     これを買ったのは五年以上前。読まずに放置しておりました。なんとなく読む気にならなかったのです。

  • 事故死を遂げたハリウッド・スター。捜査にとりかかったコロンボは、車に仕掛けられた奇妙な細工に気づく。野心にみちた歯科医がしるす謀殺のカルテ。―その謎に挑むうち、コロンボの疑惑は四年前の、もうひとりの俳優の怪死にのびていく。二つの死に共通する完全犯罪のトリックとは?カリブ海の楽園ジャマイカで何が起きたのか…。

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