スイッチョねこ (フレーベルのえほん)

著者 :
  • フレーベル館
4.09
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本棚登録 : 155
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784577003077

作品紹介・あらすじ

あくびをしたとたんに、スイッチョを飲みこんでしまった子猫。おなかの中からスイッチョの声が。大佛童話の味わい深い絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 絵本、むかしも、いまも…
    第21回「素朴で誠実なリアリズム―――安泰」
    スイッチョねこ(大佛次郎:文 安泰:絵 フレーベル館刊)
    http://www.hico.jp/sakuhinn/3sa/suiityo.htm

    大佛次郎のおすすめ本5選!映画化もされた『鞍馬天狗』の作者は猫好き | ホンシェルジュ
    https://honcierge.jp/articles/shelf_story/2875

    スイッチョねこ- フレーベル館
    https://www.froebel-kan.co.jp/book/detail/9784577003077

  • 表紙の三匹猫が可愛いですよね。
    この中の1匹が、ちょっとやんちゃな子なのです。
    秋の虫が庭で鳴いているけど、お腹をこわすから食べちゃダメよ、とお母さん猫に言われたのに、好奇心に負けて食べてしまうんですね。
    さて、それからが大変。
    その虫がお腹の中で鳴き出すのです。スイッチョ!スイッチョ!
    仔猫は眠れなくなって泣き出します。
    お母さんと一緒にお医者さんに行きましたが、さてそこからも大変。。。

    くすくす笑って、一緒に心配して、最後はほっとする温かいお話。
    季節感もたっぷりで、言葉もやさしく、何より猫たちの表情がどれもとても愛らしいのです。
    飾り気のない、素朴な文体と絵がマッチした、ほのぼのする一冊です。
    大佛次郎さんというと小説家とばかり思っていたのですが、こんな作品も書いていたのですね。新発見です。
    読んで聞かせる子供がいないのが、たまらないほど惜しくなりました。

    私が大笑いしたのは、お医者さんが登場する場面。
    大きな茶色のにゃんこ先生なのです。
    これなら、すぐにでもキャスティング出来そうですよ。

    でも、仔猫役の子にスイッチョを食べさせるわけにはいきません。
    実写版は、幻の名作ということで。
    すべての猫好きな方に、お勧めの本です。
    どうぞ手にとってみてください。

    • fukusixyaさん
      おさなぎ次郎さんといえば知る人ぞ知るねこ好きサンですね
      絵本も描かれていたとは楽しくなりますね
      読んでみたいです
      おさなぎ次郎さんといえば知る人ぞ知るねこ好きサンですね
      絵本も描かれていたとは楽しくなりますね
      読んでみたいです
      2010/04/20
    • nejidonさん
      ぐりさん、なんとなんと、2010年の4月にコメントをいただいていたのですね!
      今頃お返事して、なんとお間抜けさんのワタクシでしょう。
      実は・...
      ぐりさん、なんとなんと、2010年の4月にコメントをいただいていたのですね!
      今頃お返事して、なんとお間抜けさんのワタクシでしょう。
      実は・・・お返事の仕方がずうううううっと分かりませんでした。ええ、本当なんです。
      【返信】という文字がどこにもない!ない!ないない!
      それなのに今なぜ?とお思いでしょう。
      それは、他の方のブクログにコメントしたら、それに対してお返事があったからなのです。
      お返事の仕方は、つまり、ただ「コメント」というところに書き込めば良かったのですね・・
      というわけで、大変申し訳ないことでした。
      これから一週間くらいは、この話で笑ってくださって結構ですよ。

      さてこの本はお読みになりましたか?
      起承転結のあるお話といい可愛い挿絵といい、季節感といい、すべてがとてもバランスの良い本です。
      また感想などお聞かせくださいませ。
      今度はちゃんとお返事できますので(笑)
      2013/03/08
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      大佛次郎と言えば「猫のいる日々」
      https://www.tokuma.jp/smp/book/b502767.htm...
      nejidonさん
      大佛次郎と言えば「猫のいる日々」
      https://www.tokuma.jp/smp/book/b502767.html
      2021/06/05
  • ねこ絵本。文章の端々からねこ愛がにじみ出ている。文体が古いのも良い。温かい気持ちになる絵本。

  • 絵がとても素晴らしく原画を見たいと思いました.大仏次郎氏が猫を好きでこのような童話を書かれるとは知りませんでした.とても可愛いお話でした.

  • パパと土手を散歩した時、猫がいると、パパが、猫が虫を食べるために居るんだと言った事を、思い出した~

  • 甘くないけど温かみのある猫の絵がいいです。
    お母さんネコの背中の丸みがとても優しくて秀逸。
    文字も微妙に整っていない感じが懐かしい。
    小さい頃よく読んでもらっていたけど、大佛次郎作ということに今気がついた。

  • 歴史小説などで有名な大佛次郎がネコ好きで、
    こんな童話を書いていたとは、つい最近まで知らなかった(^^;)
    昆虫のスイッチョ(馬追虫)が白い仔猫の口に飛び込んで、
    お腹の中でスイッチョ、スイッチョと鳴き出したので、
    白い仔猫は不眠症になってしまい、
    猫のお医者さんの診察を受けることに……という、
    何とも微笑ましいお話。
    かわいくってムズムズします(笑)

  • お医者さんのとらねこがすてき☆
    かわゆいお話です。

  • ずいぶん前に奥さんが大佛次郎記念館で購入。娘にこのたびはじめて公開。文も絵もほのぼのとしていてやさしい。やわらかい。読み聞かせていても楽しい一冊。

  •  小さい子がお医者さまに連れて行かれて「お腹を切らないといけない」などと聞かされたら、どんなに不安なことでしょう。

     この『スイッチョねこ』は仔猫のしろきちが主人公ですが、読者である子供達は、しろきちが経験する困り事を自分の身に置き換えて考えたり、しろきちと気持ちを同じくしてみたり、色々なアプローチが可能な絵本です。

     文を書いたのは大佛次郎(おさらぎじろう)氏。絵は安 泰(やす たい)氏。
    大佛次郎氏は歴史小説などを多く手がける非常に著名な作家ですが、大の猫好きとしても知られ、この『スイッチョねこ』は作者自身にとっても会心の作であったようです。ちなみに、以前書いた記事に『オサラギ事件!』というものがありますので、興味のある方はそちらもご参照下さい。
    安 泰氏の描く猫達は、それぞれ個性が際立つように描き分けられていて、仔猫たちのクリクリした、鈴を張ったような目が印象的。

     仔猫のしろきちは、秋の庭で鳴く虫達に興味深々です。まつむし、すずむし、スイッチョなどが草かげで大合唱をしています。おかあさん猫は「お腹を悪くするから、虫を食べるのはおよしなさいよ」と仔猫たちに注意しますが、しろきちだけは「あんなにいい声なのだから、食べてもうまいにちがいない」と考えます。虫を食べてみようと長いこと草むらにひそんで待ってみたものの、虫を捕まえることは難しく、しろきちは眠たくなって、あくびをします。と、そこへ、スイッチョがしろきちの口の中に飛び込んできたのです。しろきちはビックリして、スイッチョをごくんと丸呑みにしてしまいます。

     ここから、しろきちの身に困ったことや悲しいことが起こるのです。
    猫のお腹の中は夜のように真っ暗なので、スイッチョが四六時中、しろきちのお腹の中で大きな鳴き声を立ててかないません。
    「スーイッチョ、スーイッチョ」という声に、兄弟猫たちも不満を言います。眠れないからあっちに行ってと言うのです。しろきち自身も不眠症になってしまってフラフラです。

     とうとう、おかあさん猫はお医者さまのところにしろきちを連れて行き、どうするべきか診断を仰ぎました。すると、お医者さまのおじいさんとらねこは、
    「虫下しが駄目なら、切開手術でスイッチョをつまみだそうか」などと言うのです。しろきちは恐くなって、わっと泣いてしまいました。

     ひとまずは、虫下しを飲んで様子を見ることになりました。しかし、スイッチョは相変わらず、お腹の中で鳴いています。しろきちは一体どうなってしまうのでしょうか。

     最終的には、しろきちのお腹の中のスイッチョは、ある朝鳴くのをやめてしまいます。
    季節は初冬にさしかかり、冬の到来を感じた野の虫たちも声をおさめている様子。お腹の中のスイッチョも季節の移り変わりを感じ取っているのかもしれません。しろきちも一安心で、兄弟たちと遊べることでしょう。

     しろきちのお腹のスイッチョが虫下しで退治されたわけではないという点に子供達が気付けば、「来年の秋にまたスイッチョが鳴き始めるの?」とか、「しろきちはどうなるの?」といった様々な質問や疑問が出てくるかもしれません。その時、大人の側がどう答えてあげられるのか、試される絵本とも云えます。「来年の秋までスイッチョは生きていて、また鳴き始めるかもしれないね」でもいいですし、「しろきちとスイッチョが一年一緒にいたら仲良くなって、スイッチョはしろきちを困らせないようにたびたび鳴かないかもしれないよ」でもいいと思います。「冬の間にしろきちが風邪をひいたら、くしゃみと一緒に出てきたりして」「胃酸でスイッチョは溶けるんじゃない?」も有りでしょう。子供から問いかけが出てきた時、大人も一生懸命に結末やその後のストーリーを考えてあげることで、来年になって初めての春を迎える仔猫のしろきちの成長が、色んなパターンで見えてくる気がします。

     この作品の良いところは、言葉遣いがエレガントな点にもあります。言葉というのは他者と関係を取り結ぶ上での一番大事な手段ですが、ぞんざいな扱い方をしていると、人間関係自体もぞんざいになりがちです。軟らかくしなやかな姿の猫達が、エレガントな言葉でコミュニケーションをとっているこの絵本は、小さな子供達にもすんなりと受け入れられ、幼児期において美しい日本語に触れる良い機会になることでしょう。


    『オサラギ事件!』の記事はこちらから→http://blogs.yahoo.co.jp/tomo31841211/7912785.html


    所有分は1981年2月発行第9刷。

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著者プロフィール

大佛次郎
一八九七年横浜市生まれ。本名・野尻清彦。兄抱影は天文学者。東京帝大政治学科卒業後、鎌倉高等女学校の教師、外務省嘱託を経て、一九二三年関東大震災を機に文筆に専念。『鞍馬天狗』シリーズで急速に支持を得る。『パリ燃ゆ』『帰郷』『地霊』など歴史と社会に取材した作品も多い。六七年から死の直前まで朝日新聞で『天皇の世紀』を執筆。六四年に文化勲章受章。七三年没。生涯で五百匹の猫を世話したほどの猫好きでも知られる。横浜に大佛次郎記念館がある。

「2023年 『宗方姉妹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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