チリンのすず (フレーベルのえほん 27)

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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784577003275

感想・レビュー・書評

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  • 憎しみからは何も生まれない。やなせさんの絵本はすっと入ってくる。

  • 寝る前に息子と絵本を読みました。

    家族で高知に旅行した際に「アンパンマンミュージアム」で購入した、『チリンのすず』です。


    「アンパンマン」の大ヒットで有名な"やなせたかし"さんの初期の作品です。

    狼の"ウォー"に母親を殺された子ひつじの"チリン"は、ある日"ウォー"を訪ね「ぼくもあなたのような つよいおおかみになりたい。ぼくをあなたのでしにしてください。」と頼みます。
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    "チリン"は"ウォー"の厳しい訓練に耐え、強い獣となり二匹で山々を暴れまわりますが、、、
     或る夜、"チリン"は"ウォー"を裏切り、仇討ちを果たします。

    母親の復讐とはいえ、、、
    親子同然に暮らしてきた"ウォー"を殺したことで、"チリン"の悲しみは、より一層深くなる… という、なんだか辛く悲しい物語です。

    暴力(武力)に対し、暴力(武力)で返しても何も得るものはないんだ… ということを、少しでも息子が感じてくれるとイイですね。

  • ひつじのチリンが、母親を殺したオオカミに復讐を誓い、強くなっていく物語。

    成長すること目標に向かって努力し到達すること。何かを得るために犠牲にしたもの。周りの状況や環境、考え方や価値観なども変わりゆくこと。そしてその時に感じる矛盾。寂寥感。戻れない過去への思慕。さまざまな人生や社会のいろいろを示唆してくれる物語だが、お話としては決して甘くなく、厳しく悲しく救われない物語。

    (ちなみに私は、このお話のアニメ版を幼稚園で見て、その後の人生に影響するほどのトラウマになりました‥)

  • やなせさんの本「わたしが正義について語るなら」で

    「悪者は最初から最期まで完全に悪いわけではありません。

    世の中にはある程度の悪がいつも必要なのです。現実の社会はそういうところが厳しい。ぼくはみなさんが社会に出る厳しさを思うと、そういう絵本も読んだ方がいいのではないかと思って『チリンのすず』を書きました。」

    と、おっしゃっています。


    答えとして殺すという事は絶対に幸せと満足にはなりえない事を添えたうえで
    もし突然怒りや憎しみ、痛みと向き合う時が来たら
    どうする?と問われているように感じました。

    チリンの場合は長い時間側にいてしまった事で敵が大切な存在になってしまっていた訳ですが(ウォーが悪だけではなかった事も大きな理由ですが…)
    現実に大切な人や何かを奪われたとして、遠くから機会を伺い報復したとしても、心が晴れない事はあきらかで。
    大切なのはどの道を選択するかではなく
    心がどう成長するかに尽きると思うのですが(『謝るなら、いつでもおいで』のお兄さんのように)
    心の健全な鍛え方が分からない…。
    分からないから考える。
    良い本というのは考えさせる本だと思う。

  • 色づかいがきれい。

    悪役だけどウォーがすき

  • ひつじのチリンは首にチリンとなる鈴をつけていた。
    チリンはお母さんと一緒に住んでいたが、あるとき、オオカミのウォーに襲われ、お母さんはチリンを守って死んでしまった。
    チリンはオオカミの住む山に行き、自分もオオカミみたいになりたいから、弟子にしてくれと頼む。
    今までそう言われたことのなかったウォーは照れくさくなり、チリンを弟子にした。
    ひつじがオオカミになれるはずもない。
    なかなか、ウォーのようにななれなかったが、チリンには徐々に角が生え、キバが生え、けだものになっていった。
    2匹の恐ろしさはあたりに広まり、チリンの鈴の音が聞こえるだけで動物たちは怖がるようになった。
    そうして、嵐の中、ひつじたちの棲み処を襲うことになった。
    ところが、ウォーの胸を何かが貫いた。
    それはチリンの角であった。
    チリンは自分はウォーにお母さんを殺された、復讐するためにウォーに弟子入りし、ずっとこの時を待っていたと言う。
    ウォーはいつかこうなる気がしていた、チリンになら殺されてもいい、と言う。
    ウォーが死んでから、チリンはウォーはお父さんであり友達であったことに気が付くのだった。
    そして、チリンはもうひつじはないのだった…。

    まさか復讐のためだったとは。
    チリンがもっと早くに気付いてもどうしようもなかったろう。
    報われないし、寂しい。

  • 川越市立美術館でやっている、やなせたかしの世界展に行ってきました。

    読み聞かせの時間があって、大きい本で読んでいただいたんですが、迫力があって、三歳の娘も私も身じろぎもせず聞き入ってしまいました。

    三歳の娘には難しかったと思いますが、弟子入りのときのチリンの笑顔やひつじではない姿になってしまった事、チリンの気持ちの変化など娘がどう思っているか話せるようになった頃また読みたいと思います。

  • ある夜のこと、オオカミのウォーにひつじのまきばが襲われた。
    こひつじのチリンのおかあさんは、チリンを庇って死んでしまう。
    チリンは強いけものになるため、ウォーに弟子入りするが…。
    『あんぱんまん』のやなせたかしによる絵本。


    可愛らしい表紙とは裏腹のシリアスな復讐憚。
    母も父も無くし、ひつじでもオオカミでもない「ものすごいけもの」になったチリンの姿は壮絶。
    見返しのチリンがとても可愛らしいだけに、その落差がひどく刺さる。
    恨みと復讐のやるせなさをひしひしと感じた。

    文を見なくとも絵だけで話の流れがわかる構成はさすが。
    しかし、果たしてこれを子どもに渡したものかどうか。
    こういう話に引き付けられる子もいるとは思うが、自ら持ってきた場合以外はあまりオススメできない。
    大人向けの絵本としたい。

  • やなせたかしの隠れた名作?
    タイトルと表紙からはおよそ想像のつかない壮絶なストーリーに言葉を失います。

  • 衝撃を受けた

著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンかみしばい③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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