勇気の花がひらくとき―やなせたかしとアンパンマンの物語 (フレーベル館 ジュニア・ノンフィクション)

著者 :
  • フレーベル館
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感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784577043059

作品紹介・あらすじ

アンパンマンを生みだしたやなせたかし先生の伝記。

感想・レビュー・書評

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  • 多分、小学校の中学年・高学年を読者として想定した、子供向けの本であるが、大人が読んでも、それなりの読み応えを感じる内容になっている。
    アンパンマンのテレビ放送開始は、1988年のこと。子供を持つ親であれば、テレビアニメを子供と一緒に観たり、キャラクターグッズを買ってあげたり、子供がアニメソングを歌うのを聴いた経験を持たれている方も多いと思う。ジャムおじさんや、ばいきんまんといった、いくつかのキャラクターも、知っているはず。
    テーマソングの歌詞が良いです。

    なんのために生まれて
    何をして生きるのか
    こたえられないなんて
    そんなのはいやだ!

    作詞は、アニメの作者の、やなせたかし。
    これが、やなせさんが、長い間、ずっと考え続けてきた、やなせさんにとって、最も大事なテーマだったのです。その答えを探し続けるためにこそ、やなせさんは、生きてきたのです。
    そして、この本には、それを問い続けることが、やなせさんにとって、どういうことだったのかが、描かれています。

  • 小学生のキミたち。書棚にこのアンパンマンパンの表紙を見つけたとき、ちょこっと揶揄するように笑うくせしてどこか親しみを押し隠すような照れた顔するよね。
    幼児時代(きっと誰もが)、アンパンマンパンに嵌る洗礼を受けてるから、あえて生意気であろうかとするようなこの頃、幼児期のウブな憧れを思い出して過剰反応してしまうのだろうか。
    アンパンマンパンは確かに幼児のおともだちだけども、だからと言ってその周辺全てを「お子様向け」なんて侮らないで欲しい。
    知ろうと思わない限り、見えてこないものって実に多いんだ。

  • 著者が「詩とメルヘン」の編集者だったとは! 知らなかったので驚いたが、その後すぐに、ああそうだったのかと深く納得するものがあった。小難しい言い回しや威圧的な言葉をまったく使わず、大上段の正義を振りかざしたりしない著者の姿勢は、やなせたかしさんや「詩とメルヘン」と同じだ。

    作家として独立した著者が、なかなか仕事がなく苦労していた時代、やなせさんはさりげなく手をさしのべてくれていたそうだ。これは、間近でそういう経験をした人だからこそ書ける、あたたかい評伝だ。やなせたかしさんは、肉親との縁が薄く、つらいことの多かった人生だったということを、亡くなってから知った。本書は、それでも常に前向きに、正しいと信じることを大切に生きた、やなせたかしさんの姿をくっきりと描いている。

  • アンパンマン、侮るなかれ。
    親が子どもに道徳や人生を教えるには持ってこいの教材と化していることが分かった。

    テーマソング歌詞
    「そうだ うれしいんだ
     生きるよろこび
     たとえ 胸の傷がいたんでも」

    この歌詞の部分は、
    学校で嫌なことがあったり、家が嫌になったりと"胸が痛む"ことがあっても、生きているだけで幸せなんだよ、楽しいことは他にもたくさんあるんだよ、

    と子どもに伝えられる良い例。



    また自分の子どもには、困ってる人がいたら手を差し伸べてあげるような人になってほしい。
    それにはアンパンマンを例に伝えることが分かりやすく、良い題材を手に入れた気分。既に0〜1歳児からアンパンマンを通して道徳に触れられていたことに驚いた。


    本の前半部分は、戦時中の話が多いが、
    暗くて悲しいだけの戦争本よりも、戦争のむごさ、寂しさ、悲しさ、怖さが伝わりやすいと思う。

  • やなせたかしが54歳の時に1973年に創刊した雑誌「詩とメルヘン」の編集者だった梯が書いたやなせたかしの伝記。たかしが亡くなった2年後の2015年に出版された。
    章が細かく分かれていて、章の初めにたかしの詩が載っている。親しみ易く読みやすいので、3年生くらいでも楽しんで読むことができそう。

    弟に対する愛おしさとコンプレックス、なかなか才能が認められないみじめさん悲しさなど、生きることの苦しさと素晴らしさがえがかれる。
    たかしの背景には、戦争が色濃くあるので、戦争を軸としても読むことができる。

    私が20代の時に、先に子どもがいた友人が、子どもがアンパンが大好きなこと、アンパンマンマーチを歌ってくれて詞の内容が深くてびっくりしたことを話してくれた。
    ここには、子ども向けなのに、どうしてこんな哲学的な歌詞になったのかも、書かれている。
    先日、2、3歳の子どもがお母さんと手を繋ぎながら、このアンパンマーチを元気に歌いながら歩いていた。
    子ども時代をアンパンマンで過ごした人たちは、アンパンマンの姿を思い出しながら、謎解きのように読むことができるだろう。

    「それゆえ!アンパンマン」がテレビで初めて放送されたのは、たかしが69歳の時だと言う。そう言う意味では、結果がなかなかでない大人、老境に入ったシニアにも勇気を与えてくれる。

  • アンパンマンを生んだやなせたかしの伝記。進路のこと、戦争のこと、創作のこと、いろいろ考えさせられる本です。
    (YA担当/なこ)令和2年1月の特集「紅白の本」

  • アンパンマンの生みの親、やなせ先生の生涯を描いた一冊。
    幼少期の生育歴、弟に対する劣等感、そして戦争経験。
    様々な出来事がやなせ先生を形作り、やがてアンパンマンという国民的キャラクターを生み出していく。
    やなせ先生の追うことでアンパンマンのルーツを知ることができた。
    やなせ先生のこと、アンパンマンのことがもっと好きになった。

  • やなせたかしが著者となっている自伝的な本を読んだことがあるが、(『わたしが正義について語るなら』『何のために生まれてきたの?』)、そしてその本も悪くなかったが、これは、よりやなせたかしの人生と人柄を分かりやすく伝える。
    対象年齢をかなり低くしているので「男の子」にすらフリガナがあり、はじめはちょっと鬱陶しい感じもするが、慣れれば気にならない。
    分かりやすさのポイントは、子ども向けに平易な文章で書かれていることはもちろんだが、
    1.時系列になっていること
    2.やなせたかしの作品を適切な場面で上手く紹介していること
    3.本人が語れない、やなせたかしの人となりの素晴らしさを書いていること
    が大きい。
    更に素晴らしいのは、著者が実際やなせたかしと深く関わった人で、敬愛の情が伝わってくること。
    もっと素晴らしいのは、子ども向けの伝記としては文章が非常に巧いこと。
    子どもは大人より語彙がなく、難しい文章は読めないのだから、大人向けに書く書き手よりある意味テクニックがないといけないのだが、予算的都合か、子ども向けノンフィクションの書き手はなぜか下手な人が多く、分かりやすくても浅かったり、文章自体に魅力がなかったりして、大人が読んで満足できることはほとんどないのだが、これは大人が読んでも子どもが読んでも満足できる本になっている。
    やなせたかしが残した作品にそれほど心を動かされたことのない私でも感動したのだから。
    やなせたかしの功績はたくさんあり、第一は絵本や詩や漫画の作品なのだろうが、このような書き手(編集者やイラストレーター、スタッフなども)を育てたことも立派な功績だと思う。
    作品は素晴らしいが人間的には…という人もいる中で(それはそれで作品を評価すればいいことではあるが)、やなせたかしは尊敬できる人だったと、子どもたちの胸に残る伝記を残せたことは、やなせたかしが本当に徳のある人物だったことを証明するものである。

  • やなせ先生は、ご存命のうちにお会いしてみたかった人だなぁと、この本を読んで改めて思いました。

  • やなせたかし先生を綴った話。借りてびっくり

    …子供向けの話でした。

    ちょっと残念。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『昭和二十年夏、僕は兵士だった』、『百年の手紙 日本人が遺したことば』、『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)、『原民喜 死と愛と孤独の肖像』などがある。

「2020年 『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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