かなたのif (フレーベル館 文学の森)

  • フレーベル館 (2024年6月14日発売)
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感想 : 10
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本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784577052976

作品紹介・あらすじ

友だちのいない香奈多と、友だちをなくした瑚子。中1の夏、ふたりは、秘密の場所で出会った。瑚子がつむぐ夢渡りの黒いネコ、ドコカのお話。眠りの中で、いろいろな世界をおとずれるドコカは夢渡りのネコ。願いがかなう「虹のしずく」を探して、ひとりぼっちの誰かの前に現れる——香奈多はその物語を聞くなかで瑚子を知り、大切な友だちだと思うようになる。瑚子もまた香奈多と物語を分かち合う喜びを感じた。ある日、香奈多は信じがたい事実を同級生から突きつけられる。悩んだ末に、瑚子に会って自分の気持ちを伝えようとするが……。

物語をなぞるように重ねた「もしも」のはてで、ふたりが見つけた宝物とは――。

感想・レビュー・書評

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  • 希望があっていいお話。
    いなくなってかなしいと感じるのは、一緒にいられたことが幸せだったから。だからそのかなしいのはその人が最後にくれたプレゼント、大切にしないといけないもの。
    この考え方はずっと私のなかに残ると思う。

  • 2人の少女の物語。もしも世界?パラレルワールド?不思議な物語でした。

  • ちょっとした違和感を感じつつ読み進めると光が見えてくる、そんな物語だった。
    できなかったことやかなわなかったことができた世界。
    もしもの世界。
    パラレルワールド?
    同じ世界で友情を育んだと思っていた2人が実は…
    ひとりぼっちでいた2人の少女。
    その2人が実は周囲の多くの人に助けられ手を差し伸べられていたことを知った時、生きている世界で自分の居場所を見つけて…
    救われた気分で読み終えることができた。
    ときにはもしもの世界、たらればの世界を考えてみてもいいのかもしれないな。

  • 想像力。
    2人とも想像力抜群だから。
    だからこそ唯一無二の存在だったんだろう。
    失われた可能性。
    出会ったことで、失ったことをより強く認識することにもなるんだけど、でも知らないままでは前に進めなかったのかもしれない。
    しかし、どちらの世界でも、別の方法で想像力を使って、前に進んだのは横田さんね。
    たくさん考えたんだろうな。

  • 物語としてとっても綺麗で前向きでよい

  • 香奈多と瑚子に出会えてよかった…
    こんなにも未来を愛おしく、ワクワクさせてくれた。
    相変わらず村上作品は胸に染みるなぁ…

    本作は可能世界の話にまつわる女の子たちのひと夏の宝物探しの物語。中学生の瑚子は図書館の帰りに香奈多に出会う。そしてマイペースで変わった性格で友達のいない香奈多は瑚子に「友だちになろう」と声をかけてもらい、喜んで友だちになることに…
    2人は図書館近くの高台の公園で「夢渡り」の話をするなどふたりの世界で交流を深めていく。しかし香奈多はあるとき、彼女のお世話係でクラスメイトの佑実から「今井瑚子は小学生5年生のときに事故で亡くなっている」ことを告げられる。
    それでは今香奈多が会っている瑚子は
    一体誰なのかー??
    2人の宝物とはいったいー。

    本作は「可能世界」、もしもの世界がたくさん登場する。一見不思議に感じるがそんな世界があると知ることで、私は未来の可能性に溢れた世界にワクワクする気持ちを止めらなかった。常に選択肢を強いられて生活することが多い世の中で、Aを選んだ自分もいればB、Cを選んだ自分もいる。決してAを選んだ自分だけが正しいのではなくて、B、Cの選択肢も選んだ自分も可能世界にはいて、そんな可能世界に生きている自分に思いを馳せると、心の底の方から温かい空気が流れてくるような優しい気持ちになる。そんな自分もいてよくて間違いでないと、強く背中を押してもらえた気がした。可能世界って、とてもステキな世界だな…
    未来を前向きに捉えられるかけがえのない世界だと強く思う。

    私も黒猫ドコカにみたいに、夢渡りをして香奈多や瑚子みたいに虹のしずくを見つけてみたいな。

    村上作品の次の作品が楽しみ!!

  • 続編を先に読んだから私はカナタの方が死んでると思っていたけど、ココも死んでいて…!?え、何これどういうこと!!?確かにカナタとココの出会いはおかしかったな…とぐいぐい読み進めた。生きる世界が違ってもそれを超越するぐらい大好きな人に出会えたことはなんと幸せなことだろう。人はやはり1人では生きていけないね。

  •  イマジナリーフレンドなのか、パラレルワールドなのか?斜め読み。

  • 友だちのいない香奈多
    友だちをなくした瑚子

    2人の中学1年生が1学期の終業式の日、秘密の場所で出会い友だちになる

    瑚子が語る物語に聴き入る香奈多
    誘われて香奈多の家を訪ねる瑚子

    「虹のしずく」を求めて夢を渡る黒猫のドコカの物語をなぞるように、夏休みに交わりを深めていく2人だったが、香奈多にとっての瑚子は、瑚子にとっての香奈多は、じつは……

      そっか。虹のしずくは、ここにあったんだ。

    注目の若手作家1年ぶりの最新作は「ファンタジーのような、SFのような、ひと夏のガール・ミーツ・ガール」の物語(NetGalley「著者からのメッセージ」)

    重層的な構成、行きつ戻りつする時制、「かなた」「ここ」「if」に込められたいくつもの意味

    「もしも」と「現実」のあいだに成立する奇跡に願いをこめて

    人気のイラストレーター げみ によるカバーイラストにも驚きのひとひねり(原画を見てみたい)

    語る姿に風格も感じ、もう新人“ひよっこ”児童書作家とは言わせない

    ちなみに物語の舞台は藤浜市の新森小学校、藤浜中学校──過去作のとなり町、藤沢の片瀬をイメージしているとのこと(著者Twitter情報)

    [既刊=すべてフレーベル館]
    『あの子の秘密』(2019年12月)=第49回児童文芸新人賞(2020年)
    『キャンドル』(2020年12月)
    『りぼんちゃん』(2021年7月)=第1回高校生が選ぶ掛川文学賞
    『きみの話を聞かせてくれよ』(2023年4月)
    『かなたのif』(2024年6月=本書)

  • 二つの世界に生きる香奈多(かなた)と瑚子(ここ)。
    香奈多が語るパートと、瑚子が語るパートが交互に出てきて物語が進んでいくが、どこかちぐはぐな印象を受ける。
    展開するごとに、その謎が判明していくのだが、過去の話の伏線回収と、これからの二人の未来の話のどちらもが温かくてホッとした。
    かなしいことがあっても、かなしいだけで終わらせない。そんな決意が二人の中に共通している。
    それは香奈多のお母さんの言葉でもある。
    「かなしいのは、いっしょにいられたことが幸せだったからなんだって。だからさだからさ、そのかなしいのは、パパが最後にくれたプレゼントなの。すっごく大切にしないといけないものなんだって。」

    そして互いの世界に生き続ける二人を繋げたのは一見、意地悪に見える佑実で。
    「この世に友だちは一人もいない」と信じきっていた二人が、実は色んな人に見守られているという事実は、とても優しく、勇気づけられる。

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著者プロフィール

1991年生まれ。鎌倉市に育つ。2011年より本格的に児童文学の創作を始める。第2回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作『あの子の秘密』 (「ハロー・マイ・フレンド」改題)にてデビュー。2020年、同作で第49回児童文芸新人賞を受賞。2022年、『りぼんちゃん』で第1回高校生が選ぶ掛川文学賞受賞。ほかの作品に『キャンドル』(すべてフレーベル館)。

「2023年 『きみの話を聞かせてくれよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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