トリゴラス (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)

著者 :
  • 文研出版
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784580813922

感想・レビュー・書評

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  • 保育士をしていた時、この絵本を、どうしても子ども達に知らせたくて読み聞かせに使った。
    おそるおそる読んでいくうちにクラス中が静まりかえっていった。
    そして一人の男児が、ハラリと涙を流しているではないか!

    この絵本のレビューを言葉にするのは難しい。
    一人の少年がびゅわんびゅわん吹く風の中に怪獣トリゴラスが襲い来る音を聞く。
    「おとうちゃん‥、おとうちゃん」‥呼んでも相手にしてくれない父親と母親。
    そして大切なかおるちゃんの部屋に巨大なトリゴラスは近づいていく‥。

    読み聞かせで涙を流した男児のその涙は「恐怖」だったんだろうか?
    それともこの絵本の中の「無理解の親」に対してか?
    作品に宿る、少年の内面の繊細さと、好きな女の子に対する暴力性。
    アンビバレントなその両方を抱えて男の子は成長していくのだろう。
    大人になってしまった男性にもぜひ読んでほしい絵本。

    (この絵本の新聞等の書評⇒http://www.cojicoji.com/shuhei/tori.html

    レビューのため再々読。

  • 読む人によって解釈が違いそうだけど、キワドイ作品。暴れまわる少年の想像のトリゴラス、かおるちゃんをさらって街を去る。最後のページで純粋な恋の様な、行き場のない泥臭い性欲の様な、複雑な気持ちを沸かせる。

  • 少年の内面を通して思春期であった昔の自分と重ね合わせ共感するものを感じる。
    怪獣にさらわれた女の子が何だかエロチックである。

  • 「びゅわん、びゅわんという風の音にのって怪獣トリゴラスがあらわれた。だいすきなかお」るちゃんのマンションめがけて、とつげき開始だ!

  • 2017.7.17
    おお。トリゴラス。男の子ならではの空想物語。ドラマチック。頼もしい。男だね。

  • この絵本を、どうしても子ども達に知らせたくて読み聞かせに使った。
    おそるおそる読んでいくうちにクラス中が静まりかえっていった。
    そして一人の男児が、ハラリと涙を流しているではないか!

    この絵本のレビューを言葉にするのは難しい。
    一人の少年がびゅわんびゅわん吹く風の中に怪獣トリゴラスが襲い来る音を聞く。
    「おとうちゃん‥、おとうちゃん」‥呼んでも相手にしてくれない父親と母親。
    そして大切なかおるちゃんの部屋に巨大なトリゴラスは近づいていく‥。

    読み聞かせで涙を流した男児のその涙は「恐怖」だったんだろうか?
    それともこの絵本の中の「無理解の親」に対してか?
    作品に宿る、少年の内面の繊細さと、好きな女の子に対する暴力性。
    アンビバレントなその両方を抱えて男の子は成長していくのだろう。
    大人になってしまった男性にもぜひ読んでほしい一冊。

  • 夜中に外から聞こえる風の音にいろいろな想像をします。ものくらい想像が切なくもあります。

  • 誰に何を伝えたい本なのか、、、 裏表紙を見てそう思った。。。

  • 1978年刊行。シュールな絵本である。闇夜に響く風、鳥怪獣トリゴラスが破壊する街並み、ただ一人の少女を連れ去るトリゴラス。黒を基調にした絵柄が、えも知れない雰囲気をかもし出すのだが…。それにしても、こんな絵本を真剣な目で見ている長男って、いったい…。裏表紙の、窓の外から部屋をのぞき見するトリゴラスの目に、なんともいえない不気味さがある。とはいえ、本書を勧めてきたのは、当時小学低学年の長男である。うーん…。

  • 男子の性の目覚め?最初の布団のシーン。女の子のシーン。トリゴラスというワイルドな存在。どれも象徴的。

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著者プロフィール

1955年、兵庫県姫路市に生まれる。
絵本、小説、評論、翻訳、作詞作曲、演奏など多様な表現を試みる。長崎市在住。
1976年第3回創作えほん新人賞を受賞した『はせがわくん きらいや』(すばる書房/現在、復刊ドットコム)でデビュー。
森永ヒ素ミルク中毒事件(長谷川自身もヒ素の入った粉ミルクを飲んだ)を扱いながら、日本人の生活や心理を大胆に切り取り、斬新な絵本作法で鮮烈なデビューを飾った。
『見えない絵本』(理論社)で、1990年第20回赤い鳥文学賞。
『石とダイヤモンド』(講談社)、『鉛筆デッサン小池さん』(筑摩書房)で、1992年第14回路傍の石文学賞。
『ホームランを打ったことのない君に』(理論社)で、2007年第12回日本絵本賞。
ジャンルを問わず作品多数。2012年、第34回姫路市芸術文化賞。
2013年『およぐひと』、2014年『アイタイ』(解放出版社)を刊行。原発災害に向き合った視点を貫く。
2002年から京都造形芸術大学客員教授。

「2015年 『あなに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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