昭和史 〈戦後篇〉 1945-1989

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  • 平凡社
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  • / ISBN・EAN: 9784582454345

感想・レビュー・書評

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  • なかなか理解しにくく詳細に語られることがない戦後の日本の歴史を

    GHQの統制を中心に分かりやすく理解できた。

    まさに激動の時代であり、現代の基礎を形作ったのはこの時代であり、

    間違いなく限界に来ているのが今だと思う。そして世界史と関わりが一気に深まっていることを感じる。

    ①1945年8月15日(終戦直後)~1951年

    アメリカの占領時代➡戦後日本の骨組み

    GHQによる非軍事化、民主化➡象徴天皇制

    その他軍国主義からの大きな転換、改革実施。

    ②1952年~1960年

    日米講話条約締結からの60年安保闘争にかけての政治闘争時代

    国創りの選択肢

    ①天皇陛下の元、自国軍隊創設による「ふつうの国」への回帰

    ②社会主義国家(ソ連の発想に近い)

    ③軽武装・通商貿易国家➡経済第一主義

    ④東洋のスイス、小日本としての文化国家

    結果的に対外関係(冷戦)上③を選択した

    ③1961年~1965年

    経済発展の時期➡国民所得倍増計画

    ④1966年~1972年

    自信回復の時期

    経済発展が結果して現れる時代

    沖縄返還を持って、戦後は終わる。

    時代は40年周期
    戦後の40年1945年~1992年➡戦後復興からバブル崩壊
    1992年~2032年➡方向性を失った滅びの40年?
    経済大国になって調子に乗った??
    明治維新から発展➡40年
    2度の世界大戦➡40年

  • 昭和史というものを戦前であれ戦後であれまともに学校で教育してこなかったのだなと実感する。というより、「史実」を「自覚」として認識する台座が日本にはそもそも無いのかもしれない。日本人はあまり思考せずにうごめいている生物のような気もしてきた。

  • ちょうど70年談話が出たときに読んでたから、政治家がどこにこだわりを見せるのかが見えてしまったように思う。

  • 2014/11/24

  • 何かの講義の引き写しで、話口調で分かりやすい。最後の解説で日本の戦後の高度成長の牽引役である官僚たち、戦前の軍事エリートに通じるものがある。結局失敗しても責任をとるものがいない、すなわち真のリーダーがいない日本人の体質が今も昔も変わっていないのだ。

  • 大変に面白いんだけど、戦前史と比べると半藤氏の人生と重なる部分も多くなり自身の主観がより強く入っているのが気になった。

  • 昭和史。
    ようやくこの大作を読み終えた。

    太平洋戦争終結までの昭和はとにかく戦争の時代。
    今の世の中からすると考えられないぐらいずっと戦争が続いている時代。
    この頃に生きていた日本人にとっては、戦争状態が日常だったのだろう。

    満州事変、日中戦争の頃の日本は、とにかく大陸との繋がりがものすごく強い。
    大陸は野望という側面もあり、必死の防衛線という印象もあり、
    日本という小国の切実さや悲しさもひしひしと感じる。

    そして外交という面では、日英同盟があり、国際連盟の問題があり、ロシアとの折衝があり、アメリカとの折衝がありと、
    成果はともかく、外交的には、今の日本よりも逞しくは感じる。

    そんな中、どのようにして日中戦争から、軍部すら勝てないと分かっていた対米戦に事態が発展してしまったのか。
    そしてなぜ負け戦を早く終結させることができなかったのか。
    そのあたりが昭和史前半のテーマであったように思う。

    戦後篇は、一転して平和の時代が続く。
    これも極端なぐらい長く続いている。
    なぜか。

    GHQによる抜本的な制度改革と憲法改正。
    そして日米安保条約。
    このあたりの、アメリカの方針、マッカーサの考え、吉田茂の考え、天皇陛下の考え、国際情勢の変化に伴うアメリカの変化、その中での日本の主張と現実の折り合いなど、憲法改正までの紆余曲折は非常に興味深かった。
    憲法というものは、いろんな事情と思想と成り行きとが折り重なったできるものだということがわかる。
    その成立の流れや思想を知っておくことは勉強になろう。

    昭和の後半以降、今日までの約70年間。
    ずっと日本が戦争をせずにやってこれたのはなぜか。
    いろんな理由があるだろうが、一番大きな理由は、たまたま紛争に巻き込まれなかっただけではないかという気もする。
    しかしその背景には、日米安保条約の存在と、日本に駐留するアメリカの軍事力があるのは事実だろう。
    もしバックボーンにアメリカの軍事力も自国の軍事力もなく、平和憲法があるだけだったなら、
    日本が今日まで平和を維持できた可能性はぐっと減るのではないかと思う。
    皮肉なことだが、平和憲法は相応の軍事力とセットになっていなければ、効果を発揮しないのではないかと思う。

    いずれにせよ、昭和という時代がいかに大きく、重い時代であるか、ということは感じざるを得ない。

    幸か不幸か、僕が生まれた昭和40年代以降の昭和というのは、
    同じ「昭和」という年号はついてはいるものの、それ以前の明治~大正から続く歴史の流れからみると、
    なんて呑気な時代なんだろうと感じざるをえない。

    それはもちろん悪いことではないと思うのだが、
    とにかく仕事に、消費にと経済中心に邁進していけた世の中は何によって支えられていたのか。
    今の平和は何によってもたらされているのか。

    平和は無償ではないはずだから、そこをちゃんと考えて自覚していかないと、
    結局は一周回ってまた滅んでしまわないかと、心配になる。

    とにかく、今この歳でこの本を読んだのは良かったと思う。
    自分が生きている時代に一番近い歴史、と今とは続いているのだ。

  • 1945年の戦闘終了から1952年の講和条約締結までについての記述が充実している。特に、GHQの指示で新しい国作りの基礎を築く過程について多くの観点から丁寧に書かれている。世界情勢の変化と米国の都合からGHQからの指示の方向性が変化していった事情、極東国際軍事裁判を巡って当事者の思い、憲法草案をめぐる話、朝鮮戦争による特需で経済が立ち上がったその中味、首相を中心とする政治の動き、昭和天皇の考えなど。
    それ以降は、文藝春秋で過ごした筆者の見聞きしたことを中心に話が進んでいく。筆者は戦後を次のように区分した。1945年から1951年までのOccupied Japan、1952年から1960年の日米安全保障条約改定の騒動までを政治闘争の時代、1961年から1965年まで経済第一の時代、1966年から1972年までは自信回復の時代、1973年から1982年までは日常生活での価値観の見直しの時代、1983年から1989年までを国際化の時代。
    これからの日本に対し、平和で穏やかな国であれと結んでいる。フラットな立場で書かれていると感じられ、学校で教わらなかった昭和後半の歴史を概括することができた。

  • 戦前編が面白かっただけに、少々期待外れ。
    裏話などは面白いが、やや淡々と歴史をなぞっているだけ、という印象。そこから何か学びとれる価値観であるとか、「歴史に学ぶ」点がやや薄い気がする。小生の洞察力が弱いだけかな・・・

  • 著者は以下の言葉でこの本を締めくくっています。
    今の日本に必要なものは何か。一つには、無私になれるか。マジメさを取り戻せるか。日本人皆が私を捨てて、もう一度国を新しく作るために努力と知恵を絞ることができるか。その覚悟が固められるか。
    二つめは、小さな箱から出る勇気。自分達の組織だけを守るとか、組織の論理や習慣に従うとか、小さなところでいばっているのではなく、そこから出ていく勇気があるか。
    三つめは、大局的な展望能力。ものごとを世界的に、地球規模で展望する力があるか。そのためにも大いに勉強することが大事です。
    四つめに、他人様に頼らないで、世界に通用する知識や情報を持てるか。
    さらに言えば五つめは、「君は功をなせ、われは大事を成す」という悠然たる風格をもつことができるか。 
    現在日本にたりないのはそういったものであって、決して軍事力ではない。

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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