- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582531565
感想・レビュー・書評
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哲学者、詩人、随筆家、小説家、と多くの顔を持つ串田孫一の随筆集。
この本には、これまで発表された著者の随筆から31編が収録されている。各編の終わりには発表時の年齢が記載されているが、主に四十代から五十代、七十代から八十代のものが多いようである。
初めて串田孫一を知ったのは『山のパンセ』という本で、平易で美しい文章にすっかりファンになってしまった。
表題の『緑の色鉛筆』では、孫とおぼしき少女から6色の異なる緑の色鉛筆をプレゼントされた著者が、山々を歩いて自然の風景を写生したかつての自分を思い返しつつ、少女が描くであろう自由な緑の絵に思いをはせる。
なにげない日常の描写を、詩的な雰囲気を漂わせつつ読み物として成立させる手腕はさすがの一言である。ネットで日々雑多な文章に触れて疲弊した心を浄化してくれるような気がする。
巻末の著者紹介を見るに、串田孫一は本当に多彩な人物である。物事を見つめる深い洞察力は、彼の旺盛な好奇心と妥協のない探求心により培われてきたのだろう。
『知ることについて』という一編で、彼は、本当に知りたいと努力して得た知識は、どのような形で得られたものであっても必ず自分の身につく、とし、反対に「知っている振りをするためになるべく苦労の少ない手段を選んで、知った振りをするのに必要な知識だけを手許、口先へ用意しておこうという態度」を恐ろしいことだと述べる。
ノウハウ本に手を伸ばし、わからないことがあればすぐインターネットで検索してしまう私にとって、耳が痛く、考えさせられる言葉である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
哲学者の方の文章はいつも敬遠しがちですが、串田孫一さんは親しみ深さを感じました。
丁寧な暮らしの中から展開される思想や思考が素晴らしかったです。 -
すずめは落ちるのが面白くなったのではないか?
可能性は十分にあると思います。 -
読んでいて何の専門家かわからないほどいろいろな話があり、どれも短くて手軽に読みやすかった
雀の話がよかった -
この本に限った感想ではないが、串田さんの本を読むと抽斗が多いという形容を掘り進めて、抽斗が深く面白い形になっているような感触がある。
手の取りやすい著作は山関連のものが多いが、門外漢からはそれらの固有名詞がどうにも飲み込めず、それでいて魅力的な文面が見受けられるため、自身の抽斗を探る能力の不具を嘆きたくもなる。
氏のエッセイには人柄も文間から偲ばれるが、研究と思索を注いだパスカルの受け取られ方は、あるいは今の自分が彼のエッセイを読むような形なのかとも思う。 -
こんな面白いエッセイかけるようになりたい
自分の生活ではどうかな、と落とし込ませて考えたさせたり、
何かしらの感想を抱かせたりしつつ、すごくスムーズに読ませる文章なのすごい
読みづらさが殆どなかった 誰が読んでも理解しやすく読みやすい文章だと思う
あとすげー人なのに全然嫌味じゃなくて、それもすごかった -
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URLはこちら https://pasobo2002.jimdo.com/2017/10/29/%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6web-%E8%AA%AD%E3%82%82%E8%AA%AD%E3%82%82%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%B3/ 『Jimdo 「はじめてWEBキャンペーン」 』 : で紹介された本。
タイトルの「緑色の鉛筆」で、絵の本だと勘違いして借りました。
中身はエッセイ集。 暮らしで起こったことなどが書かれています。
始めのほうを読んで、今回は中止。
古き良き時代の感覚は、興味深いこともあれば 時代のずれに違和感を感じることもあるということを 今回認識しました。
2017/09/07 予約 9/10 借りる。9/11 読み始め、少し読んで中止。
串田孫一 緑の色鉛筆 (STANDARD BOOKS)
内容と著者は
内容 : ジャンル:エッセイ・対談
雀は落ちるのがおもしろくなったのではないか-。
多才な文人・串田孫一が綴る、驚きと発見をもたらす“ゆるやかな視野の広げ方”31章。
年譜・年表 略歴、もっと串田孫一を知りたい人のためのブックガイド付き。
著者 :
1915〜2005年。哲学者、詩人、随筆家、小説家。
画家、大学教授、翻訳家、人生相談相手やラジオパーソナリティなどとしても活躍。
著書に「山のパンセ」など。 -
自分としては珍しく、著者の興味や疑問の持ち方にとても共感できる。一方で、哲学やフランス文化を背景にしたその判断の仕方は自分にはない方向性で、ほんのわずかな居心地の悪さがある。どうもそれは自分が逃げて流していることに関係していそうで、この嫉妬のような感覚は少し時間をかけてでも何かに昇華したいと思う。
著者プロフィール
串田孫一の作品





