金子光晴の旅-かへらないことが最善だよ。 (コロナ・ブックス)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 48
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582634556

作品紹介・あらすじ

一冊の本が旅する者の運命を変えた。金子光晴の放浪生活足跡をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 反骨精神…そんな生易しいもんじゃない、人は彼のことを「狂骨の詩人」と言う。
    その放浪と抵抗の人生、100年も前の日本にこんなめちゃくちゃな人がいたというのは嘆くべきかはたまた喜ばしいことなのかは敢えて論じない。しかしあの「深夜特急」のルーツとも呼べる紀行文は私たちなかに眠るボヘミアンの血を沸き立たせる、旅の内容はまぁ薦められたものではないが大切なのはその精神だ。
    「かへらないことが最善だよ!」… エトランゼになりたくて人はまた旅に出る。
    しかし偶然か必然か?最近何かとバトゥハパがひっきりなしに私を誘っている

  • いきることのあぶなかつしさ。夢をもちはこぐことの無謀さよ。
    パリ、ジャカルタ、アントワープなど懐かしい街ばかり。

  • ふむ

  •  昭和3年、金子光晴は妻を伴い、パリを目指して旅に出る。とはいうものの旅費はない。上海からシンガポール、マレー半島、インドネシアを転々としながら絵を売ったり文章を書いたりして旅費を作り、ようやくパリへたどり着く。全5年に渡る、奇妙な放浪の旅。その間の体験は、昭和15年に発表された「マレー蘭印紀行」、昭和40年代に発表された「どくろ杯」、「ねむれ巴里」「西ひがし」に結実した。この本は、金子光晴が巡った香港、上海、クアラルンプール、バトパハ、パリなどを写真家の横山良一がたどって撮影、金子の文章の抜粋も添えられている。昭和初年と今とでは、街の佇まいもかなり変化したが、かすかに残る面影を訪ね、金子光晴の旅に思いを馳せたい。

  • 詩人、金子光晴(1895年 - 1975年)が、妻とアジアを経由してパリに旅行し、しばらく滞在していた時の軌跡を、ふんだんに写真を掲載してたどっている本。
    読めば読むほど、私が想像していた「キリスト教徒で、美しい繊細な詩を書き、夭逝した詩人」とは別人ではないかという気がしました。
    どうやら八木重吉(1898年 - 1927年)と、勘違いしてしまったようです。

    金子光晴は、ほとんど知らない詩人でしたが、この旅行時には詩を捨てて渡航費に充てるお金を工面するために、なりふり構わず生きていたようで、かなり幻滅するような生き様が語られていました。

    詩を捨てて旅行をするというところは、武器商人としてアデンに赴いたランボオを彷彿とさせます。
    そもそも、妻三千代を恋人から引き離すための旅だったらしく、妻とは結婚と離婚を繰り返したとのこと。

    旅行というよりも逃避の感が強く、日本から逃げ出してパリへ向かい、職には手段を選ばず、男娼以外の仕事ならどんな汚いことでもやったという彼。
    数多くの春画を描いていたようで、詩心は破綻しなかったのかと思いました。

    ほとんど知らない詩人ながら、かなり幻滅しましたが、この本の著者は金子氏の大ファンで、足跡を訪ねてこの写真集のような本を作り上げたとのこと。
    すさまじい生きざまには圧倒されました。
    また、当時にしてはかなり時代の先を行っていたような彼の妻、森三千代に興味を持ちました。

  • 金子光晴という人を最近知ってたまたま手にとった。本を読んだことはないので、どの文章もはじめて。金子光晴の本の引用文と写真を組み合わせただけの本。
    なんという苦しくて切ない生き方をする人なんだろう。

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著者プロフィール

金子 光晴(かねこ・みつはる):詩人。1895年、愛知県生まれ。早稲田大学高等予科文科、東京美術学校(現・東京芸術大学)日本画科、慶應義塾大学文学部予科をすべて中退。1919年、初の詩集『赤土の家』を発表した後に渡欧。23年、『こがね蟲』で評価を受ける。28年、妻・森美千代とともにアジア・ヨーロッパへ。32年帰国。37年『鮫』、48年『落下傘』ほか多くの抵抗詩を書く。53年、『人間の悲劇』で読売文学賞受賞。主な作品として詩集『蛾』『女たちへのエレジー』『IL』、小説『風流尸解記』、随筆『どくろ杯』『ねむれ巴里』ほか多数。1975年没。

「2023年 『詩人/人間の悲劇 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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