- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582634938
感想・レビュー・書評
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ここに登場する写真は昭和30年代以降のもの。
瀬戸内海に関する写真をいくつか昭和22年小豆島生まれの母に見せた。
「これは、わらじを作る道具だ」「ほかにむしろを編む機械もあった」
「種を叩くこの道具で、悪さをしたら追いかけられた」
などなど、回想法さながらの言葉を聞き出すことができた。
文章より写真が物語る歴史がある。
芸術写真ではなく、民俗学の記録写真として撮影された膨大に資料。
単なる写真集ではなく、コミュニケーションツールとしての写真の資料価値を強く感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮本常一氏の撮影した写真をテーマに日本の風景を眺める一冊。
写真の良し悪しのことはよく分からず、好きか嫌いか、好みかどうかでしか判断できませんが、宮本常一氏の撮った写真は、温かみがあるというのか、気取りがないというのか、日常の風景のそのままを切り取ったような写真で、知らない風景ですら何処と無く懐かしさを覚えます。 -
素敵なスナップ写真がたくさん載っているが、やはり構えない表情を捉えているのが美点だろう。今ではプライバシーや肖像権の問題で、こんな写真も撮影できない。貴重な記録。
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自分が幼少期の写真。改めてこんなだったと、思う。
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この本で宮本さんを知り、民俗学と写真、どちらの在り方もずっと趣味的に持ち続けてた自分の求める感覚と近い感覚の方だったので 長年この方のことを詳しく知らなかった自分を呪いたくなった。畑中さんのコラムも良かった。分かりやすく素敵にまとめてこの本を作ってくださった石川さんに感謝の一冊。
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非常に勉強になる。自分が撮って残したいものはこういう視点のものなのかも。少し経ってから再読しよう。
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民俗学者の宮本常一の写真に焦点を当てた一冊だ。
誰もが気軽に写真を撮れるようになり、発表できる今、写真は「加工して綺麗に見せるもの」「自分の心象風景を表現するもの」として表出しているけれど、まだカメラが貴重だった時代、写真は何よりも記録するものであったのだ、ということを改めて思う。
構図やら露出やらで言ったら決してうまいとは言いきれない膨大な記録の写真のなかに滲む宮本の個性、ジャーナリズムとはまた異なる視点に、そもそも写真とは何かということを考えさせられる。
森山大道、荒木経惟、小林紀晴・・・錚々たる写真家たちもかつては記録写真に軸足を置いた写真を発表していた、という話も興味深い。 -
畑中章宏も執筆していたので、読んだ一冊。写真の側面からの論考が面白かった。
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写真は時代の記録であることを考えさせられる本。昭和の人々の生きざまが宮本が撮影した写真から垣間見える。