聴竹居: 藤井厚二の木造モダニズム建築 (コロナ・ブックス)

  • 平凡社
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本棚登録 : 89
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582634976

感想・レビュー・書評

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  • 和洋のちょうどいいところ。
    聴竹居を説明しすぎずに、かといってその魅力の
    一部を感じられるように、読みやすく写真で雰囲気を
    つかみやすい本だと感じた。
    藤井厚二氏の建築について取り上げている部分もあり、
    聴竹居や八木邸の見学の前にぱらりと読んでおくと
    より楽しめそうだと思った。

    住宅という変わりゆくものを、
    それでも人々の根幹に多大な影響を与えるものと
    取り組んだ結晶のような、
    その建物の哲学の一端を見ることができる。
    畳のある生活、縁側のある生活、そして日本の気候に合う住宅。
    その中にデザインの美しさが加わって、
    感性が刺激されるのに、きをてらわない、そんな絶妙さが
    やはり好きだと思ってしまう。

  • 参考になった部分を以下に記録します。
    (ネタバレ注意⚠️)



    ⬛︎腰掛式(椅子式)生活を主として、座式(畳式)生活を混用する
    ⇒同一空間の中で、和と洋をぼんやり共存させる

    ⬛︎木造平屋の建物とし、建物サイズを極力小さくする
    ⇒①生活の能率上著しく有利になる
     ②外観と自然が融和しやすい
     ③地震に強い

    ⬛︎夏季の生活の快適性を第一に考える
    ⇒①一屋一室による通風確保
     ②外壁は断熱性に優れた壁を設ける
     ③部屋内の壁面や天井面には調湿に優れた和紙を用いる

    ⬛︎窓の上に大きく突出した軒と庇を設ける
    ⇒夏季の直射日光防止と雨季に有効(日本の気候)

    ⬛︎内外をつなぐ演出と環境調整装置
    ①光を内部に入れ、換気を促進する
    ②変化に富んだ美しい自然の風景を内部から見る
    ⇒引き違い窓が最適

  • 大きくて見通しのよい居室、大パノラマが満喫できる縁側―。近年、天皇・皇后両陛下が行幸啓されたことで話題となった理想の住宅。各室の細部まで初公開づくしの公式ガイド・ブック。(e-honより)

  • 自然を感じる

  • 一般公開に拝見し、室内は撮影NGだったので、購入。80年も前にこんなに進んだおうちがあったなんて!眺めて楽しい一冊。

  • 2015/7/19

  • 京都大山崎にある聴竹居を写真と文を織り交ぜ、その美しさと機能性を紹介した本。大正から昭和初期の日本の建築家として活躍した藤井厚二の作品である。多くの写真を掲載し、その建物のすばらしさが建築に関してほとんど素人の私にもよくわかる。この住居が第二次大戦前、昭和3年に造られたことに驚かされる。日本建築の良いところと急激に入ってきた西洋建築の良いところをうまく組み合わせ、一般日本人の家族が生活するのにふさわしい、快適な「家」を作っている。今の日本の住宅建築の基本がこの頃に作られたのだろう。台所の機能性は今とほとんど変わっていないように思う。
    日本の風土、気候を考えながら作り上げた住居建築の基本形だろう。

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著者プロフィール

松隈 章株式会社竹中工務店設計本部設計企画部所属、公益財団法人ギャラリーA4(エークワッド)企画マネージャー兼務。聴竹居倶楽部代表。1957年兵庫県生まれ。北海道大学建築工学科卒業。設計業務の傍ら近代建築の保存活用やギャラリーA4での企画展をはじめとする数多くの建築展に携わる。主な共著に『「聴竹居」実測図集――環境と共生する住宅』(彰国社)、『16人の建築家―竹中工務店設計部の源流』(井上書院)がある。設計に携わった「瀧定大阪株式会社高槻寮」と保存・修復・再生に関わった「ジェームス邸」で日本建築学会作品選集に選ばれる。

「2018年 『聴竹居 日本人の理想の住まい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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